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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第九章

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その時外は

「よし……いくぞ」


 ゲート崩壊まではたっぷり時間があった。

 ヒカリの希望でもう一周観覧車に乗ったトモナリたちはゲートの前にいる。


 まだゲートの中である。

 トモナリは少し緊張した面持ちだ。


 それもそのはずで、外の状況が分からないからだった。

 ゲートの攻略そのものは終わり、あとは外に出るだけとなっているが、外の戦いが終わっているのか不明なのである。


 誰かが入ってこられるなら教えにきてもらうこともできるが、もう人が入ってこられない以上はそうもいかない。

 ヒーローズギルドが勝っていればいいけれど、もし仮に終末教が勝利していた場合はトモナリたちは敵地のど真ん中に残されてしまったことになる。


 ルビウスかミヒャルを偵察に行かせることもできる。

 ただもし周りが敵だらけだったら、これから出ていくとバラしてしまうことになってしまう。


 考えたくはないが、ヒーローズギルドが撤退している時の場合を考えて一気に飛び出していくつもりだった。


「せーの!」


 みんなで一緒にゲートから出る。


「‘おおっ! 出てきたぞ!’」


「‘彼は無事だ!’」


「…………ふぅ」


 緊張の一瞬。

 周りを確認したトモナリは剣を下ろしてため息をついた。


 周りにいたのはヒーローズギルドの覚醒者たち。

 どうやら終末教は倒したか、逃げたようであった。


「‘ゲートが消えていくぞ!’」


「‘まさか……攻略したのか!?’」


 中に入っている人がいなくなって、ゲートが制限時間を待たずに閉じていく。


「‘アイゼン君!’」


「‘ダンさん! ……どうして、半裸なんですか?’」


 ひとまず敵のど真ん中でないことに安心したトモナリにダンが近づいてきた。

 それはいいのであるが、なぜかダンは上半身裸であった。


 しっかりと鍛え上げられた体をしている。

 ただ覚醒者としての能力に頼り切っているわけじゃないことがよく分かる。


 体を見せびらかすような人には見えないし、なぜなのかすごく疑問で若干引きつった笑顔を浮かべてしまう。


「‘別に見せつけたいわけじゃない’」


 ダンはインベントリから服を取り出す。


「‘怪我の治療をしてもらっていたところだったんだ’」


「‘怪我? 大丈夫なんですか?’」


「‘この通りだ’」


 ダンは笑顔を浮かべる。

 治療してここにいるということは怪我といってもそんなに重篤なものではないのだろう。


「‘ただ、上半身の装備はもう使えなくなってしまったな……’」


 下半身は装備を身につけたままだ。

 怪我をしたから服を脱いでいたのではなく、戦いの最中に攻撃によって防具を失ってしまったのである。


「‘いったいどんな戦いが……’」


 世界でもトップクラスの覚醒者が身につけている装備がダメになるような攻撃なんて、どんなものだとトモナリは眉をひそめる。


「‘奴はかなり強かった。逃げられてしまったよ’」


 ダンは軽くため息をつく。

 ヒーローズギルドは終末教に勝ったようであるが、サードナイトは逃げてしまったようである。


「‘君の方も……いったいどんな手を使ったんだい?’」


 ダンはチラリとディーニの方を見る。

 終末教の覚醒者四人が、ディーニに拘束されている。


 トモナリと一緒にサントリとディーニが出てきたところはみんなが見ている。

 ヒカリはともかく、二人はどうやってゲートの中に引き込んだのか謎だった。


 戦いに乗じて二人はゲートに入ってきたので、入る瞬間を見た人はいなかったのである。


「‘俺の秘密兵器なんです’」


 いちいちオートマタなんですと説明するのも面倒だ。

 ミステリアスな手札は後々役立つこともあるかもしれないので、多少ぼかして笑っておく。


「‘そうか。まあ、細かくは聞かないことにしよう’」


 終末教の覚醒者を倒して、ゲートまで攻略してくれた。

 恩人であるトモナリに対して、根掘り葉掘り色々聞き出そうとするのは失礼というものだ。


 覚醒者たるもの切り札の一つや二つ持っているものなので、ダンはトモナリの肩を叩いて軽く微笑みを浮かべた。


「‘試練ゲートは攻略された! これより撤収する!’」


 一番の懸念であったゲートの攻略まで終わってしまった。

 これで問題解決。


「‘そいつらは厳重に拘束しろ’」


「‘頼む……治療を’」


 三十代の覚醒者はもう死にそうになっている。

 すぐにヒーローズギルドのヒーラーが治療を始めたので大丈夫だろうとは思う。


「‘後のことはこちらに任せて君もホテルで休むといい。今送らせるから’」


 トモナリは運転手付き、黒塗りで窓にはスモークが貼ってあるゴツい車で最高級ホテルまで送ってもらった。

 だいぶ疲れてはいるものの、ただ戦ったのとは少し違う疲労感がある。


「楽しかったのだ〜」


 貴重な遊園地体験にヒカリは幸せそう。


「ゲートも攻略でしたし、霊薬までもらった。今回は言うことなしだな」


 トモナリはゴロンと広いベッドに横たわる。


「サードナイト……噂には聞いていたけど、ダンさんと戦って逃げ延びるなんてヤバい奴だな」


 ダンは現時点でもかなり強い。

 それなのにサードナイトは倒せなかった。


 どこかで終末教とも戦わねばならない。

 今の力ではサードナイトは倒せない。


「焦っちゃいけないけど、焦っちゃうよな」


「何を焦るのだ?」


 ヒカリが寝転がるトモナリの胸の上に抱きつくように乗っかる。


「んー? 強くなんなきゃなって」


「んふ、トモナリは強いのだ」


「もっと、強くなるんだ」


「じゃあ僕も強くなるのだ」


 ヒカリはトモナリの胸に顔をうずめるとスヤスヤと寝始めた。


「まっ、今は休むか」


 トモナリも目を閉じる。

 疲れているせいなのか、目を閉じるとトモナリもすぐに眠りに落ちてしまったのであった。

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