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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第九章

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能力比べゲート10

「ではではでは! 観覧車の試練と参りましょう!」


 観覧車の中は普通であって、対面する座席があるだけの狭い空間となっている。

 こんなところで何をさせるのだろうか、とトモナリは疑問に思っていた。


「なんて事はありません! 観覧車を動かしていただきたいのです!」


「観覧車を動かす?」


「簡単でございます。観覧車の動力源は魔力です。横にバーがございますでしょう?」


「ああ」


 閉じた観覧車のドアに、何に使うのか謎の手すりのようなものがあった。


「そちらを握って魔力を込めてください! 魔力が一定以上ございましたら観覧車が動き、クリアとなります」


 なんともひねりのない試練である。

 そうであるが故に誤魔化しが効かない。


 純粋に魔力の量が求められる試練となっている。


「そうか。じゃあ観覧車を動かすとするか」


 トモナリはバーを掴んで魔力を流し込んでいく。


「こりゃ……意外と大変そうだな」


 一気に魔力を流し込むのではなく、ちょっとずつ様子を見るように流し込む。

 ただ少し魔力を流し込んだところで観覧車には何の反応もない。


 かなり魔力が必要そうだとトモナリは目を細めてしまう。

 ただここまで培ってきた魔力はまだまだこんなものではない。


 徐々に流し込む魔力を増やしていく。

 すると観覧車全体から軋むような音がし始める。


「僕もやるのだ!」


 ヒカリもバーに手を置く。

 そして魔力を送る。


「しゃーねーな!」


 サントリも同じくバーに手を伸ばす。


「おっ? 来たかな?」


 観覧車がわずかに揺れた。

 動き出す前兆を感じて、トモナリはさらに魔力を強めていく。


「一気に行くぞ!」


「おうともなのだ!」


「オッケー!」


 観覧車が軋むような音が大きくなってきた。

 もう動き出す。


 トモナリたちはバーに魔力を流し込んだ。


「のわっ!」


「大丈夫か?」


「うむ、大丈夫なのだ!」


 トモナリの体感としては七割ほどの魔力を注いだ。

 すると観覧車がゆっくりと動き出し、バランスを崩したヒカリのことをトモナリが抱きかかえるように受け止めた。


 観覧車が回転していき、トモナリたちは少しずつ頂上に向けて上がっていく。


「おめでとうございます! これにて、全ての試練をクリアなさいました!」


『ゲートが攻略されました!

 間も無くゲートの崩壊が始まります!

 残り3:59』


 観覧車が中ほどまで上がってきた。

 その瞬間、トモナリの目の前に試練ゲート攻略の表示と死神が現れた。


「もう手を離していただいても大丈夫ですよ〜」


「これで終わりか。意外と……楽しかったな」


 なかなか大変なこともあったが、アトラクションとして楽しめるところも大きかった。


「楽しかったのだ〜」


 ヒカリはトモナリの膝の上に座って、ニコニコと笑顔を浮かべている。

 少し失敗すれば命を奪われるような危険な試練であったのだけど、ヒカリは楽しんでいた。


 トモナリならクリアできると信じていたし、今時珍しい遊園地のアトラクションはヒカリにとって新鮮であった。


「ヒョッヒョッヒョッ、楽しんでいただけたようでよかったです。遊園地を楽しんでいただいて、私もとても嬉しいです」


 死神に表情なんてものはないが、声色は明るい。


「こちらをどうぞ」


 死神は懐から箱を取り出して差し出す。


「これは?」


 ヒカリが手を伸ばして箱を受け取る。


「サービスのキャンディーですよ! それでは……ごゆっくりお楽しみください!」


 死神は簡単に答えると、笑いながらまるで煙のように消えてしまった。


「ヒョッヒョッヒョッ! ええ! 非常に楽しかったですとも! 名残惜しいほどに……」


 死神の声が遠ざかっていき、そしてただ観覧車が動く音だけが響き渡る。


「おっ、見てみろよ」


「わぁー、きれーなのだぁー」


「……演出なのかな?」


 いつの間にか観覧車は一番上まで来ていた。

 遠くを見つめると山間に日が落ちて、空がオレンジ色に染まっていた。


 これまで空には日も浮かんでいないのに明るいという不思議な状態だった。

 それなのに、ここに来て急に夕焼けの景色が出てくるのはトモナリも知らない話であった。


 ただ、綺麗である。


「これ、キャンディーなのだ?」


 ヒカリがパカっと箱を開けるとブドウのような紫色の丸いものが入っていた。


「……これはキャンディーじゃないな」


 キャンディーと言われると確かにそうも見える。

 しかしそれはキャンディーなんかではない。


「霊薬だ……」


 魔力や能力を上げてくれる超貴重品。

 最後の最後に死神がくれたのはとんでもないものだった。


 驚くトモナリはヒョッヒョッヒョッと笑う死神の声が聞こえてくるようであった。

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