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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第一章

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レベル1でも強いんです4

「俺がどんな気持ちだったか分かるか?」


「……わ、悪かったよ……」


 ここでただカイトを帰してはいけない。

 カイトの復讐心を完全にたたき折っておかなきゃまたこんなことをしでかすかもしれない。


 もしかしたらゆかりにも何かする可能性もある。

 二度とトモナリに近づけないようにしておかねばならないのだ。


「今こいつは肉を欲している」


 トモナリはゆっくりとカイトの後ろに回り込みながら言葉を続ける。


「に、肉って……」


 ヒカリが人喰いモンスターだと勘違いしているカイトは恐怖に怯える。

 目下ヒカリが欲しい肉とは肉まんのことである。


「ただいっぺんにいなくなるのも不自然だと思わないか?」


「そ、そうだな! あまりたくさんの人がいなくなると周りがきっと騒ぐぞ!」


「じゃあ……こうしよう」


 トモナリはカイトの服を掴むと背中をさらけさせた。

 カズキに服を持っといてもらうとトモナリはヒカリの手を取って爪の先をカイトの背中に押し当てた。


「動くな」


 ビクッとしたカイトは何をされるのか分からない恐怖で血の気が引いている。

 トモナリは自分の指もヒカリの爪と一緒にカイトの背中に当てて軽く動かす。


「な、何してるんだ……?」


 ヒカリの爪が這う背中が熱く感じられてカイトは情けない涙声になっている。


「ひっ!」


 一通り動かした後爪をグッと強めに押し当てられてカイトは悲鳴を上げた。


「お前に印をつけた」


「印……?」


「そうだ……この印がある限りお前は俺たちから逃げられない」


「そ、そんな……」


 カイトの息が荒くなる。

 ヒカリは両手で口を押さえる。


「だがチャンスをやろう」


「チャンス? ど、どうすればいい?」


「二度と俺たちに近づくな。俺の母親にも、この町にも二度と足を踏み入れるな」


「わか、分かった! 二度と顔は見せない!」


「忘れるなよ。俺がお前を見逃してやるんだ」


 カイトは泣きそうな顔をしながら何度も頷いている。


「今日のことは誰にもいうなよ? まだ電車ぐらいあるだろうから早く行け」


「は、はい!」


 トモナリが視線を送るとカズキがカイトから手を放す。

 カイトは振り向くこともなく走り出して逃げる。


 一刻も早くこの場を、この町を離れなければならないと一目散に走っていった。


「あ、あの……俺はどうしたら?」


 カズキは困惑したような顔をしている。


「あんたも行け。この町に来るな。俺の目に映るな。そうすれば俺もあんたのこと忘れてやる。だからあんたも俺のことは忘れろ」


「分かった……悪かったな」


 カズキもカイトの後を追うように走って逃げていく。

 これだけ脅しておけばもうトモナリに近づくことはないだろう。


「ぷぷ……ぷぷぷ!」


 誰もいなくなって、我慢できなくなったヒカリが吹き出してしまう。


「印って何なのだ?」


「そんなものないよ」


「やっぱり! ぷぷぷ……」


 トモナリはカイトの背中に印をつけたと言ったけれど、あれは大きな嘘であった。

 トモナリに印をつける能力などない。


 そもそも何の印なのだという話である。

 あれはヒカリの爪で軽くカリカリしながらトモナリが指先に魔力を集めてカイトに送り込んでいたというだけ。


 背中が爪で軽く傷つけられ、それに加えて魔力によって背中が熱く感じたのである。

 訳の分からない印をつけたからではないのだ。


 トモナリの嘘であることはヒカリにはもちろん分かっていた。

 途中からヒカリは笑いを堪えるのに必死だった。


 トモナリの嘘にカイトは一切気付くことなく完全に信じて怯え切っていた。

 危うく騙している途中で笑ってしまうところであった。


「トモナリ、肉まん食べたい」


「そうだな、俺も動いて少し腹が減ったよ」


 回帰前は何もできなかったいじめっこ相手に一発入れてやった。

 なんか少しだけ清々しい気分だった。


 ヒカリも頑張ってトモナリのことを守ろうとしてくれた。


「今日はピザまんも買ってこうか」


「ピザまん!? なんだそれ?」


「んまいやつだ」


「んまいやつかぁ〜」

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