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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第一章

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覚醒4

「……人がいたのか?」


 全く気づかなかった。

 そもそも廃校に忍び込むのはトモナリのように何かの目的を持った人か、イタズラしにきたバカかのどちらかである。

 

 こんな朝からイタズラしに来るやつなんてそうそういない。

 しかもこうしたイタズラをするのは男が多いのだが今の声は女の子のものだった。


「トモナリ?」


「助けに行こう」


 知らない奴がどうなろうと知ったことではない。

 けれど回帰前トモナリは色んな人に助けてもらった。


 これから世界を救うために頑張ろうというのにこんなところで助けられそうな人を見捨ててはいけない。

 トモナリは木刀にまた水をかけると学校の中に戻っていった。


「悲鳴が聞こえたということは……」


 モンスターに遭遇したのだろうという予想がたつ。

 つまりは二階のゲート周辺に人がいるのだろうと思った。


「ヒカリ、お前飛んで外から人を探してくれ」


「分かった! トモナリ、怪我するなよ!」


 トモナリの頭からヒカリが離れて学校の外に飛び出していく。


「うっ! これはまずいな……」


 二階に上がってみようと階段の上を見上げあるトモナリは顔をしかめた。

 教室からスケルトンが溢れ出していて、階段を降りてきていた。


 スケルトンはトモナリを見つけるとカタカタと音を立ててほんの少しだけ速度を上げて階段を降りてきた。


「ここから上に行くのは厳しいな」


 トモナリはスケルトンに背を向けて走る。

 廊下を真っ直ぐに走っていって校内の逆側にある階段までやってきた。


「こっちにはいないな」


 教室に近かった階段はスケルトンがいたけれど逆の方にある階段にはまだスケルトンはいない。

 二階に上がって角から廊下を覗き込む。


 遠くの方にスケルトンが見える。

 階段の方に多くのスケルトンが流れていっていて校舎の逆側に向かってきているスケルトンは多くない。


「トモナリ!」


「ヒカリ!」


 閉じている窓をヒカリがゴンゴンと叩いていた。

 トモナリが鍵を開けるとヒカリが中に入ってくる。


「四階に誰かいるぞ」


「四階だと? しょうがない」


 誰なのかは知らないが面倒なところにと舌打ちしたい気分だった。

 しかし四階にいてはすぐにスケルトンが学校中に溢れて逃げられなくなってしまう。


 トモナリは四階に向かった。


「んーと、あっち!」


 ヒカリが集中力を高めて人の存在を探す。

 さすがはドラゴンでそうした感覚も人より優れているようだ。


「おい!」


 ヒカリが言う教室には誰もいないように見えた。

 けれどどこかに誰かいるはずで、人が隠れられる場所など限られている。


 トモナリは教卓の下を覗き込みながら声をかけた。


「ヒッ!」


「こんなところで何してる?」


 教卓の下に女の子がいた。

 トモナリと同い年ぐらいの子で手には猫を抱えていた。


「ひ、人?」


「人だ。もっかい聞くぞ。こんなところで何してる?」


 もっとガキ、あるいはもっと悪そうな奴ならともかく、女の子はスレたようには見えなかった。

 廃校に忍び込んで遊ぶような子ではなさそう。


 艶やかな黒髪を腰あたりまで伸ばした可愛らしい顔をしていて左目の下に泣きボクロがある。


「その……猫ちゃんが入ってっちゃって……そしたらモンスターが……」


「今時猫かよ……」


 予想もしなかった答えにトモナリは頭を抱えた。


「こんなところに隠れてたんじゃ手遅れになる。早く逃げるぞ」


「あっ……うん」


 怯えたような表情をしていた女の子だが人に会って少しだけ安心したようだ。

 

「トロトロしてるとスケルトンに逃げ道を封じられる」


「で、でも階段はモンスターが……」


「あっちの階段でいくぞ」


 どうやら女の子が逃げようとした時にはスケルトンが階段にいたようだ。

 だからひとまず上に逃げたのだろう。


 そこから逆側の階段へといかないのはパニックになっていたら仕方ない。

 教室から顔を出して廊下を確認する。


 まだ四階にはスケルトンは上がってきていない。

 トモナリたちは逆側の階段まで走って降りていく。


 三階、ゲート近くの階段の方にスケルトンが見える。

 ただ逆側の階段の方はまだギリギリ大丈夫だった。


「モ、モンスターが!」


「俺が道を切り開くから先に行け!」


「でも……」


「でもじゃない! 行くぞ!」


 三階から二階に行くともうすでにスケルトンが逆側の階段の方まで来ていた。

 動く骨に女の子は怯えて立ち止まってしまったが時間をかけるほどにスケルトンは増えていってしまう。


 トモナリは気づかれる前にとスケルトンに近づいて水に濡れた木刀で殴りつける。

 骨が砕けてスケルトンが倒れて周りにいたスケルトンがトモナリに気がつく。


「いけ!」


「うっ……!」


 女の子はトモナリの叱責になんとか勇気を奮い立たせて走り出す。


「邪魔だ!」


 トモナリは邪魔になりそうなスケルトンを木刀で倒して道を確保し、女の子はなんとか階段を降りていく。


「きゃー!」


「おい、なんで戻ってきた!」


「し、下にもモンスターが!」


「……くそっ」


 すぐに追いかけようとしていたら女の子がまた階段を上ってきてしまった。

 もう階段下までスケルトンが回ってきていたのである。


 トモナリは思わず舌打ちをした。

 スケルトンを学校の外に出さないための工作が裏目に出たのだと察知した。

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