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星の姫、世界を渡る~王子の願いと虹色の奇跡  作者: 香名斗星南
第3章 相反する想い

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25 現地の人

「ちょっと行ってみてくるね!」

「えっ!? ちょっ! エリスレルア!!」


 うそだろーー!

 エリスレルアがどこかへテレポートしていってしまった!


 レミアシウスと会話していたこの牧草地の管理人、ロドアル・ラーレスは、目が飛び出そうなほどびっくりした顔をして叫んだ。


『どうしたのだ、彼女は! 消えたぞ!』


 あ…えっと……


『あの子はとても遊ぶのが好きで、そのための魔法ばかり編み出しているんです。

 中でもかくれんぼが得意で、隙を見ては僕を驚かそうとして困ってるんですよ』


 言いながら苦笑いを浮かべたら、ロドアルさんは目を丸くしたあと、おおらかに笑った。


『わかるぜー。俺の5歳になる娘も目を離すとすぐにいなくなるんだ。

 ま、事情はわかった。

 そういうことならうちに来な。先のことはゆっくり考えればいい。

 もうちょっと作業やったら家に帰るんで、それまでに妹さん、見つけとけよ』

『ありがとうございます』


 いい人でよかったー。


「エリスレルア~? どこだー?」


 ロドアルに背を向け、エリスレルアを探すふりをしながらレミアシウスはバッグから結晶の粒を2,3粒取り出して握りしめた。


 どこに行ったのかしらないけど、アイツ宛ならこれくらいで充分聞こえるだろ。


 集中して結晶のパワーを使い、エリスレルアに呼びかけた。


『エリスレルア!! 早く戻って来い!!』


 少ししてエリスレルアが目の前に出現した。


「ただいまー!」

「お前、どこ行ってたんだよ!」

「リュアティスさんのとこ!」

「リュアティス?」

「ユアテスさん、リュアティスっていう名前だったの!」


 なぁにぃ!?


「お前……その……ホントにリュアティスさんのところへ、行ってたのか!?」

「うん!」

「はぁあ!?」


 1000キロ近く飛んだってこと!?


 開いた口が塞がらない。

 ポケッとしているレミアシウスをよそに、エリスレルアはポシェットから3センチ角くらいの結晶を取り出した。


「この石ねー。

 これくらいの大きさでリュアティスさんのところまでテレポートできるよ!」


 マジ!?

 って……


「よく知らないところにいきなり飛んだりして、何かあったらどーするんだ!」


 お前にも、向こうにも!


 かなり本気で怒ったら、エリスレルアはちょっとしょげた。


「…ごめんなさい」


 ちょっと怒りすぎたかな?


「まあいいよ。その話はあとで詳しく聞くとして、ロドアルさんと話をつけた」

「ロドアルさん?」

「あの男の人だよ」


 刈り取った牧草を乾かすために広げている男性を示す。


「いいか?

 僕たちは遠い小さな島国でさらわれて、どこかへ連れていかれている途中で船が難破してここに流れ着いたことにしてある。

 だからここのことはよく知らないし、言葉も通じないって」

「ほほーー」

「ユアテス、じゃなく、リュアティスか。

 リュアティスさんの場合と違ってあの人は普通の人だから、お前はテレパシーで話しかけるなよ。

 即効で気絶して、悪魔の所業だと思われるから」

「……悪魔……おにいさまも悪魔?」

「僕は悪魔じゃないけどテレパシーで話しかけたら死にそうなくらい怯えられた。

 でも、怯えながらも『これは精神攻撃魔法か? 悪魔め!』みたいなことを思っている感じがしたから、『これはうちに伝わっている、言葉が通じない人と話すための魔法だ』って説明した」


 リュアティスさんの場合は自ら発信しているっぽいけど、ロドアルさんはこっちが心を読まないと会話にならないみたいだし。


「ここには『力』っぽいものとして魔法があるみたいだから、ある程度はそれでごまかせるけど、あまり『力』を使うんじゃないぞ?

 説明が破綻して恐れられたら、この世界で楽しく過ごすことなんてできなくなるからな」

「リュアティスさんは、びっくりしてただけだったよ?」

「彼は特別なの!

 普通は、突然頭の中に話しかけられたりしたら、気を失うだけじゃなく、恐怖でパニックになりかねない。その人の心が壊れてしまうことだってあるんだ」


 何か心当たりがあったのか、エリスレルアがうつむいた。


「……セルネシウスおにいさまも、テレパシーを知らない人に対しては、テレパシーは使うなって、よく言ってた……」

「だろ!

 ロドアルさんよりは特別なリュアティスさんにしたって、どこまで耐えられるのかわからないし。

 お前だって、せっかく話せるようになった人がいるのに、その人に怖がられたりしたくないだろ?」

「……うん」


 エリスレルアがしょんぼりしてしまった。

 レミアシウスが何かフォローをしなくては、と焦っていると、ロドアルが声をかけた。


「※&%■★◇◇□*@*△※◎?」

「ロドアルさん」


『作業は終わったのですか?』

『終わったよ。それより、何か喧嘩でもしたのか?

 妹さん、元気がないみたいだが』

『大丈夫です。彼女の悪ふざけに対して少し怒り過ぎてしまいました』

『そうか。じゃ、家に戻るぜ。付いてきな』


 ロドアルさんは、僕に向かってにっこり笑い、エリスレルアに話しかけた。


「※%*●◎■■◆☆▼&※△※&△」


 その言葉は何を言っているのかわからなかったけど、僕には、僕に心配をかけるなと言っているように思えた。

 エリスレルアにも彼が何を言っていたのかはわからなかっただろうけど、彼女の表情が明るくなったのを見て、それが優しい言葉だったということは伝わったのだろうと思った。


 森の小道をロドアルさんに付いて歩いていると。


「あ、そういえば、おにいさま!

 私、リュアティスさんに、ルイエルト星から来たって言っちゃったー!」

「なんだってー!?」


 レミアシウスは思わず立ち止まり、つられてエリスレルアも立ち止まる。

 振り向いたロドアルが、二人を見つめてつぶやいた。


「リュアティス?」


 だが、リュアティスに対して、エリスレルアの発言をどうフォローするかで頭がいっぱいのレミアシウスは、ロドアルの様子の変化に気づいていなかった。

 次回予告〔火急の案件〕

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