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星の姫、世界を渡る~王子の願いと虹色の奇跡  作者: 香名斗星南
第2章 コンタクト

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21 おおよその居場所

 食後、早めに風呂に入り、リュアティスはさっさと寝室にこもった。

 時間的にそろそろコンタクトしてきそうな気がしたのだ。

 ネスアロフはいぶかしげな顔していたが何も言わなかった。


 ナイトウェアに着替えてベッドに座り、「いつでも来い!」としばらく身構えていたが、約束をしたわけでもないのだから思ったとおりには運ばない。

 ベッド横にある北側の窓を開けて外を見ると、東側の空はもう夜空だったが、西側の空はまだほんのりと明るかった。


 窓とカーテンを閉め、寝るには早過ぎるため本でも読むかとベッドを降りようとしたとき、スーッと力が抜ける感じがして、軽いめまいがした。


 来た!!


 ベッドに横になり、魔力を高めていく。


〈〈ユアテスさーん!〉〉


 いつもの頭痛に耐えながらリュアティスが返事のために高めた魔力を放出しようとした時。


〈〈あんなに大きなパワーじゃなくても聞こえます!〉〉


 え?


〈〈調節できるなら100分の1くらいにしてみてください!

 10数えても私の返事がなかったら10分の1くらいにしてください!〉〉


 なるほど。


 フルパワーでなくてもいいということなのだろうが、その、100分の1がどれくらいのものなのかわからない。

 とにかく、抑えて高出力発信を試みることにする。


 そうだな…中型…いや、大型モンスターの小さいヤツを倒すくらいの感じで。


〈〈聞こえますか?〉〉

〈〈聞こえます!〉〉


 おお、よかった。

 これなら話しかけるほうは、そんなに負担ではない。


〈〈もっと弱くてもいいかも。まあいいや。

 えっと、なんだったっけ?

 ……あ、そうだ。

 お昼ご飯は何時でしたか?〉〉


 昼ご飯!?


 痛む頭を押さえながら、とにかく、聞かれたことに答える。


〈〈食べていません〉〉

〈〈え! お腹空かないの?

 あ、お昼とは限らないんだった。

 えーっと……

 ありがとうって言ってくれた時、何時頃?〉〉


 何が知りたいのかよくわからないんだけど。


〈〈12時頃です〉〉

〈〈おにいさま、12時頃ですって!

 12時なのにご飯は食べてないみたいだから12時でもお昼じゃないのかも!〉〉


 いや、昼ご飯を食べようとしていた時に話しかけられたから食べ損ねただけだ。


〈〈12時は昼で、太陽が一番高いところにあります〉〉

〈〈えっ、そうなの?

 12時は太陽が一番高いところなんですって!〉〉


 12時がどうしたんだろう?


〈〈……わかった!

 こっちは1日を24等分した時間が1時間です。

 そちらの時間もそうなのですか、とおにいさまが言ってます〉〉

〈〈その通りです〉〉


 やっぱり二人ともこっちの世界にいるんだ。


〈〈それでー……あと、なんだったけ?

 ……あ、そうだった。

 ここは、牧場の東の島です!〉〉


 !!


 突然、一番聞きたかったことを告げられ、気絶に備えて横たわっていたリュアティスは、飛び起きた。


 牧場の東の島!?


 すぐにでも地図を確認しに行きたいリュアティスだったが、地図があるのは書斎のほうだ。衣類用の小部屋を通り抜ければ部屋から出ずに行けなくもないが、ネスアロフに気づかれる可能性がある。

 何か異変があればすぐに駆けつけられるように寝室の外に待機していると思われるからだ。

 サイドテーブルからメモ用紙とペンを取り出す。


〈〈もう少し詳しく教えてください〉〉

〈〈牧場じゃなくて牧草地ですって!

 牧草地は……東側が断崖絶壁で、海で、そこから見えるところに……切り立った島がいくつかあって……そのうちの一つだ、です!〉〉


  メモ用紙に略図を描いて眺めながら、東が海に面しているこの国にはこんなところいくらでもあるなと考えているうちに、リュアティスは最初の質問の意図に気づいた。


 彼女、いや、彼女じゃなく、彼のほうだろう。

 彼が知ろうとしたのは、僕がいるところとの時間差だ。

 それがわかれば1日の大まかな流れの中で、いつ頃なのかがわかる。

 居場所だって、緯度が不明だから距離はわからないけど、地図があればある程度は絞れる!


〈〈僕がありがとうと言った時、そちらは何時頃でしたか?〉〉

〈〈ユアテスさんがありがとうって言った時、何時だった? って〉〉


 これまでとは比べものにならない長い会話に、リュアティスの意識が薄れはじめた。

 起きていられなくなり、ベッドに横になる。


〈〈13時頃だと思うって!〉〉


 彼らが僕より東にいるってことは確定した。


〈〈……ユアテスさん? 元気?〉〉


 明るく、元気のいい、虹色の『声』。

 もっと聞いていたいけど、無理のようだ。


〈〈……元気…ですが、続きは明日、夜、23時くらいにお願いします〉〉


 言ってから、彼らにその時間がわかるだろうか、と思ったが、リュアティスはそれを伝えることができなかった。


〈〈わかった! じゃ、またねー!〉〉


 それっきり彼女の『声』はしなくなった。


 リュアティスは、メモを握り締めて眠った。

 翌朝、自国の地図を見て、驚愕することも知らずに。


   ☆

   ☆

   ☆


「うそだろ、これ……」


 自分の母の実家の公爵領が北東の海沿いにあるからそこならいいなと思っていたリュアティスだったが、アークレルト公爵領と、すぐ南にある第2王妃の実家のホスフレイル侯爵領、更に南にあるセフィテアの実家のべシス侯爵領の3つが海沿いで集結している場所がある。


 ホスフレイル侯爵領の港町を挟んで、北が母上のご実家、南がセフィテアの実家って……


 エリスレルアの『声』が頭に響いたわけでもないのに、めまいがしそうになる。


 ―――なんの嫌がらせ?


 そこは王都の真東に位置していて、なんとなく、彼らがいる島はその付近にあるんじゃないかと思ってしまったリュアティスであった。

 この物語をお読みいただき、ありがとうございます!


 次回予告〔エネルギーの供給源〕

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