説明会
「それでは、最低限のルールを決めましたので、説明します」
生徒会との模擬戦の日、早朝から僕たち仮天派閥の面々と、生徒会の面々が会議室に集められていた。
「ルール1、殺しはなしです。降参、あるいは気絶、もしくは戦闘続行が不可能と判断した時点で、私か贋作先生が止めに入ります」
説明を行う教師は、仮天鎹。仮天先輩の姉。そのせいか、仮天先輩の様子がどこかおかしく見えた。怯えているようにも、見える。
「ルール2、観客への攻撃は禁止。ルール3、仮天真の試合は観戦なしで行います」
仮天先輩も出る予定なのか、あんまり戦えるイメージはなかったけれど。……そう言えば、久豆里先輩が言っていたか。仮天先輩は前線に出たがらないと。推測するに、周囲に影響を与える異能、あるいは、人に見せられない程の凶暴か。
「ルール4、全5戦、全て1対1での勝負とします。そして、勝利数が多い側は相手に一つ要求を出せます、そしてその要求は可能な限り叶えなければなりません。その覚悟があるのであれば、ここにサインを」
鎹先生が一枚の宣誓書を取り出し、まず聖定坂先輩に渡した。
『受けちゃって良いんですか、歌音さん?怖気づいても言いふらしませんよ?』
「怖気づくのはそちらでは、真?まさか、勝てるとは思ってませんわよね」
『愚問、勝つのはこちらです』
どこか演技掛かったやり取りだが、それ以上に親しみを感じるやり取りだ。特に条件もなく模擬戦を受け入れてくれたし、思った以上に二人は親しい仲のようだ。
「どちらも迷いは無いようですね。それでは規定の時刻になりましたら、体育館に集まってください。お疲れ様でした」
鎹先生は宣誓書を受け取ると、会議室を後にした。
『……はぁ~。緊張した。吐きそう』
「相変わらずでしたわね鎹さん。雰囲気だけなら、一生よりもおぞましいですわ」
鎹さんが去るのを確認してから、仮天先輩と聖定坂先輩が一気に気を抜いたように漏らした。
「そうですか?別に普通の人に見えましたけど」
「だよね。親切そうな人だったよ」
僕の感想に同意してくれた都先輩に向けられた視線は、驚きとただただ引いたような感情が如実に含まれていた。
「正気かあんたら!?」
「正気だったらそんなこと言わないでしょ~」
温盛さんが真っ先に驚愕の声を上げ、久豆里さんが同意し、
「これは予想以上の怪物かもな」
「夢、やっぱりおかしい」
遠津くんが呆れたように言って、竜胆が眉をひそめて言い、
「……なんで朝っぱらからこんな化け物共と一緒の部屋にいなきゃならねえんだ」
「その先輩もそこそこ怖いな……」
八尾先輩が頭を抱えがらイライラしたように言って、帝斗はむしろそれに驚いていた。




