学徒 恋の果てに生まれし怪物
中学1年生当時、好きな男の子がいた。いつも、彼から目が離せなくて、彼を想っていて、彼でしたこともある。ここまでは、おかしいことじゃないと思う。話は、ここからだ。
中学2年生になる頃、私は、私の身体は勝手に、彼の子を『孕』んだ。何人も、何十人も、中学3年生になる頃には何百人も、彼の面影を残す子を、私は『産』んだ。私の胎内から這い出るそれを私は止めることが出来ず、私は生まれてきたそれを、一つずつ殺して埋めた。
明らかに異常だということは自覚していた。それでも、誰に相談して良いのか分からなかった。とてつもない恐怖に怯えながらも、それでも出産は止まらなかった。
その理由はきっと、私が恐怖する以上に嬉しさを覚えていたから、だと思う。彼に似た子供を生むことで、私は彼に愛されていると錯覚するようになっていた。
彼に似た子供を生む度に、恋情は強くなっていって、その度に生む子の数は増えていって、もう殺しても殺しても、間に合わなくて、露見して、怯えられて、気味悪がられて、子供たちは私の友人を襲い始めた。
不幸中の幸い、というべきか、偶然居合わせた戦闘用の異能を持った人が助けてくれて、怪我人も出なかった。私の身に起きた異常を異能と呼ぶことも教えてもらい、制御するためにこの学校に連絡を取ってくれた。
入学の日、心細かった私に声をかけてくれた男の子がいた。心逆夢くん、一目惚れだった。だけれど、また中学の時みたいな日々を繰り返したくないから、必死に湧く恋心を抑えた。せめて、この異能を完全に制御できてから、そう固く誓った。
そんな風に想っていた私は、翌日天啓を得た。
我慢なんてできないのだから、私は心逆くんの子供を産む。産んで、産んで、産んで、私の愛を強めていって、今度こそ結ばれて見せる。
だって、愛は無敵なんだから。私は生まれた子供たちを抱きながら、そう呟いた。




