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神殺しの後日談  作者: 雑魚宮
第四章 派閥
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アンサンブル 二

それを外部から見ていた、アンサンブルの反応は三者三様だった。


「これは……!」

『予想以上、ですね』

「こ、これくらいはそ、想定の内だよ、か、仮天。そ、そうじゃなくちゃ、【管理局】は、み、見向きもしない」


 梵天は心からの驚愕を、仮天は恐怖混じりながらも喜びの笑みを湛え、不浄は当然のことのように頷くに留めた。


「へい仮天、とりあえず怪我人の世話させろ」

『あ!そうですね!先生、お願いします』


 同席していた保健委員、夜見色伽藍に促され、同じく驚愕していた空白に対し、仮天が言った。

 仮天と梵天が、彼らに続いたのを見送った後、不浄は人形ヶ原に声をかけた。


「き、君は、こ、これを見るために同席したのか?に、人形ヶ原」

「当たらずとも遠からず、ですかね。確かに、心逆夢の現在を知りたかったのは確かです。どうやらブランクは解消されたらしいのも収穫でした」


 不浄の問いを否定はせず、しかし肯定もしなかった人形ヶ原だったが、一拍程置いた後、再度口を開いた。


「ですが、私の目的は貴方ですよ、不浄先輩」

「……く、下らない嘘だな。か、仮天やい、一年生の彼らなら、とともかく、僕にそんな価値はない」

「おや?他人の情報には敏感ですが、自分のことには鈍感ですか?」


 心の底から不思議そうに仮天は言う。そんな彼女を見て、尚納得のいかない表情をしていた不浄に対して、人形ヶ原は彼の頬に手を寄せた。


「率直に言います。あなたが欲しい。あなた程の方がいれば、私たち(コレクター)の悲願が叶う。ですから―」


 珍しく、感情を顕わにし、焦ったような表情を浮かべた人形ヶ原に対して、不浄は冷めた瞳でこう言った。


「……い、急ぎ過ぎだな、君は」

「ッ!」


 その言葉で自らの失態に気づいた人形ヶ原は、歯を強く噛み締め感情を抑えようと試みた。


「こ、こうしないか。に、人形ヶ原」


 そんな人形ヶ原を見かねたのか、不浄が提案した。


「き、君が僕たちに協力してくれるなら、い、いずれ、君たちの悲願とやらのために、き、協力する。そ、それじゃダメか?」

「!い、いえ勿論!よろしくお願いします!」


 今までの底知れなさが消え、人間味が見えた人形ヶ原を見て、不浄がくつくつと笑った。



「梵天、運ぶから手伝いなさい」


 梵天くんが伽藍さんに呼ばれて行くのを見送ってから、私は汗を拭いている心逆くんの方へ向かう。

 こほんこほん、と何度か咳払い。機械音声なのだから別に気を使う必要もないんだけどこれはもう癖になっているものだから中々変えられないし別に変えようとも思ってない。


『心逆くん、お疲れ様でした』


 一先ず、彼に労いの言葉をかける。礼儀は大事だ。信頼関係を育むのに、敬意を欠いては成り立たない。


「ありがとうございます」


 そして、彼ははにかみながら礼を返してくれた。そういうところが非常に好感が持てる。お互いに礼を欠かさなければ、自然と良い関係を築ける。十二単さんは少し心配だけど、それについては追々判断すればいい。それより今は。


『早速ですが、感想をお聞きしても?』

「久豆里さんは合格点だけど主軸にするには物足りない、帝斗はセンスはあるし思考力も高いけど経験不足、竜胆は凄まじいスペックだけど技術や精神面がまだまだ、というところですかね。思ったより、レベルは高いと思いますよ」

『久豆里さん以外は同感です。久豆里さんは、心逆くん以外にはもう少しいい勝負ができると思うんですが』


 実のところ、久豆里さんに関しても同感だったのだけれど、心逆くんが問題を正しく認識しているか気になったので、少しカマをかけてみる。


「久豆里さんの問題点としては、自らの特異性に頼りすぎ、ですかね。戦闘技術や経験もそれなり以上にはあるとも思うんですが、一定以上のクラスには、対応される可能性が非常に高い」

『梶谷くん、都一生。一年で言えば、近衛司、黒虎あたりですか』


 心逆くんの返答を受けて、私は生徒でも最上位に位置する強さの持ち主の名前を挙げた。


「ええ。前者二人はよく知りませんが、司と黒の二人は事実、僕の【夢現】を対処できる技を持っている。前者二人も、その程度の技は持っていてもおかしくない」

『実のところ、持っていますよ。梶谷くんは【したあじ(ニコラ・キス)】、都先輩は【死的表現(デッドエンド)】、どちらにせよ規格外の異能です』

「やっぱり、なら久豆里さんも、ある程度の基礎能力の向上が必要ですね」

『やはり、実戦経験は必要になりますよね?』

「ええ、出来るに越したことはありませんが、心当たりが?」


 そんな彼の問いを受けて、私は微笑んだ。期待したとおりの質問だったから。


『ええ。一戦交えてみましょう、生徒会と』


 さて、心逆くんは、あの『死』にどこまでやってくれるのでしょう?期待、していますよ。

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