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神殺しの後日談  作者: 雑魚宮
第三章 敵襲
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エピローグ

「ば、か、な」


 黒の槍を全身に突き刺された中年は、正しく絶体絶命の状況であった。


「な、ぜ?脳は、掴んだ、はずなのに」


 全身から血を流した、死の間際の彼は、呆然とただ疑問を発する。


「残念、その手の扇動は、もう僕には効かないんですよね」


 微笑みを湛えた彼、都一生は、答えを口にする前に、黒にだけ染まったその鋭利な槍で心臓を突き刺す。


「歌音が、僕に道を教えてくれたから、ね」


 心底、幸せそうに。



 どこかの場所で、凪裏明白を含めた男女が円卓を囲んでいた。中央には、大きな棺桶が。


「おいおいおいおい、どうなってんだ凪裏さんよぉ。いくらなんでもうまく対処されすぎだろ」


 態度の悪い、二十そこそこの男が、嘲るように。


「あーあ、大失敗じゃないですか。二人も犠牲者が出るなんて」


 仮面の集団と同じ顔をした女が、つまらなそうに。


「先生を、責めないで。先生は、できる限りのことをやった」


 まだ少女の年に見える、繊細な少女が、庇うように。


「これも、運命かよ。凪裏」


 怒りを堪えながらも、冷静に努めようとする中年間際の女性が、責めるように。


「いいや?生憎、運命を乗り越える人間というのは割りと存在するものでね。少しばかりのズレは許容頂きたい」


 微笑みながら、凪裏は中年の女性に返答する。


「はっ、言い訳かよ。あんたがちゃんとやってたら、その乗り越えた運命とやらも覆せただろ」

「出来なくはないが、リスクがつきものなのでね。ここで無理をすることはない、最後に上手く行けば良い、違うかいミルミキア?」

「……腹は立つが、言う通りだな。次はいつだ、凪裏」


 ミルミキアと呼ばれた中年はため息を吐きながらも、凪裏の言い分を認めた。


「グッドイコォルの蒔いた種が咲いた時かな。今は待とう」

「なら今日のところはもう解散だ。次に呼ぶまで、好きに過ごせ」


 ミルミキアが解散を言い渡すと、凪裏は少女の手を繋ぎ、それ以外の二人は各々別々に去っていった。


「最後に上手く行けば良い、ね。確かにその通りだ」


 全員が消えた後、彼女は独り言を漏らしながら、中央にある棺桶を開けた。


「早く、会いたいよ。フィフィ」


 彼女は愛おしそうに、童女の亡骸の頬をなでた。その亡骸は、まるでつい先程亡くなったかのように生気に溢れていて、血色良く、今にも動き出しそうなくらいで、二十年以上も前に亡くなったものとは思えなかった。



「曼荼羅の、野郎!これでも、勝てねえか!」

「はいはい、暴れないでくださいねー」


 僕たちが校内に戻ると、校内を襲ったらしい何者かは、既に立ち去った後だった。多少の被害はあったようで、何人かが保健室に運ばれていて、僕はその内の一人に用があり保健室に向かった。


「すいません、仮天先輩は―」

「真ちゃん?真ちゃんはそこのベッドですよ」


 保健室というよりも、病院の大部屋のような広さのそこで、先生に聞くと実に簡単に仮天先輩のベッドを聞くことが出来た。


「失礼します」

『心逆くん?どうぞ、入ってください』


 カーテンの外から声を掛けると、仮天先輩が驚きながらも、直ぐに迎えてくれた。

 入ると、そこには既に一人の男性がいたので、お互いに軽く会釈し合う。


『どうやってここが?』

「久豆里先輩から伺いました。保健室送りになったと」

『あのクソチビ……』


 僕が答えると、仮天先輩が小さな声で毒づいた。どうやら何かしらのいざこざがあったんだろう、苦笑しておく。


「良く、彼女の言ってることが分かりましたね?」

「?はあ、まあ」


 男性が不思議そうに聞いてきたので、戸惑いながら曖昧な声を漏らす。ハイテンションな人だったけど、分からないほどじゃないと思うんだけどな。


『それで、あの時の答えを、聞かせに来てくれたのですよね?』

「はい、良ければあなたの下で拳を振るいたいと思います」

『しゃぁ!』


 僕が肯定の意を示すと、すごい勢いで仮天先輩がガッツポーズした。


「最も、自分のため、の意味も強いですが」

『それで結構、私は私のためにこの組織を動かします。私だけじゃなく、メンバーも皆。あなたも自分のために動きなさい』


 ちょっと申し訳なくなった僕が本音で言うと、ガッツポーズを止め、実に先輩らしい態度で応えた。


『改めて、ようこそ、【似た者同士(アンサンブル)】へ』


 手を差し出した彼女の細い手を、しっかりと握る。


『私たちは、貴方を歓迎します』


 にっこりと笑った、仮天先輩を見て僕は、いずれ、この歓待に応えられれば、と少しだけ思った。

ひとまず、第一部完。ということで、ようやく下地が出来た感じです。今後どんどん物語は動いていきますので、ご期待頂ければと思います。

また、全然書き溜めないのでしばらく更新停止します。よろしくお願いします。

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