とある学生のラジオとテストの怖い話
はじめてのホラー小説の投稿です!
ホラーではない?いえ、学生にとってはホラーです!恐怖です!!
※22:00 テストまであと11時間
『みなさんこんばんは、今日も始まりました!〇〇ラジオです!』
ラジオの音量を少し上げる。
「ふわぁぁ」
あくびをしながら俺はまだまだ全然終わっていない目の前の教科書を見つめた。
『問五、DNAはどのような構造をしているか?』
「二重らせん構造」
『問六、ヌクレオチドは、リン酸、糖、あと何が繋がっているものか?』
「知らんがな」
またも大きな壁にぶち当たり俺はシャーペンを放り投げた。
ダメだ、わからん。
問六をぶっとばすと問七をみる。
『問七、DNAの四つの塩基のうちアデニン、シトシン、グアニン、あと一つは何か?』
「……ウラシル!」
なんとか答えを導き出し、手元にあった解答を見る。
『問七 チミン』
次は消しゴムを放り投げると俺は天を仰ぐ。
まだ、テスト勉強は始まったばかりである。
※24:00 テストまであと9時間
『で、〇〇が××だっのよ、やばくない?』
「ぶっ……」
思わず俺は吹き出す。
「この人の話面白すぎだろw」
先程までBGMだったはずのラジオは俺の脳の8割を占めていた。もちろん、目の前の教科書は問十までしか進んでいない。今回の試験範囲である問五十までの道のりはまだまだ遠い。
『やっぱりね、メリハリをつけることが大事だと思うのよ、こーゆー時って』
『そうですね〜、そーゆー〇〇さんはどうなんですか、メリハリ?』
「メリハリ……ね」
俺は全く進んでいない教科書と面白い話が次から次へとやってくるラジオを見比べる。
もし、今中途半端に勉強とラジオを聴けばどちらも納得できる結果にはならないだろう。なら、メリハリをつければいいのでは?今だけはラジオを聴いて、このラジオの番組が終わったら勉強をする。
「素晴らしい考えじゃないか!」
自分の考えに感動しながら俺はパタリと教科書を閉じてラジオを聴き始める。
この時俺は気づいていなかった。深夜テンションで、重要なことを見逃していたことを。そして、それを咎めてくれる人などこの時間帯にはいないことを。
※2:00 テストまであと7時間
『ラジオ〇〇を聴いていただいたみなさん、ありがとうございました!次の放送は来週です!ぜひ聴いてくださいね〜』
番組が終わりズーとノイズの音にラジオが切り替わる。
「よし、勉強だ!」
しっかりと休憩をとった俺は意気揚々と教科書を開く。
「ふわぁああ」
教科書の文字を見た瞬間に襲ってくる眠気。
「やべ、寝そう……」
テスト勉強をしなければならないのに寝ては元も子もないと俺は急いでラジオをつける。
『♪〜』
ちょうど良さそうな音楽を流しながら俺は教科書を見つめる。
「問十一、てぃー、あーる、えぬえー、とはなんのりゃくでしょう……やばい、眠くて文章が頭に入ってこない……てかもう2時じゃん。そりゃ眠いわけだ」
このまま勉強を続けようか?いや、一睡もしないでテストを受けるのはダメだろう。テスト中に寝たら一巻の終わりだ。
「少し、寝て、起きて頑張った方が効率はいいんじゃないのか?」
『♪〜』
いい感じに寝やすい音楽がラジオからは流れている。
よし、寝よう!起きて頑張ろう!
そう即決すると俺はすぐに机にうつぶした。
※5:00 テストまであと4時間
「んがっ」
テストに追われる夢を見て俺は急いで飛び起きる。周りを確認し、俺を追いかけて来たテストがいないことを確認するとホッと息をつく。
「あぁ、夢か……夢じゃないっ!!」
急いで時計を見ると朝の5時。
『……』
ラジオからはノイズ音が流れる。だが焦っているせいで俺の耳にはその音は届かなかった。急いで教科書を開くと怒涛の勢いで解き始める。いまだに問十一で止まっているノートに焦りながらも必死にシャーペンを動かす。
「生物基礎の範囲広すぎだろっ!?」
シーンとした部屋には俺の声とラジオのノイズ音だけが響いている。
なぁ、もうやめてもいんじゃないか?多少出来てなくても一応赤点は取らないはずだ。
思わず心の中に浮かんだ悪魔の囁きに乗りそうになり、急いで首をふる。
ダメだ、お母さんとお父さんに叱られる。
大丈夫だって、こんくらい。
いや、ダメだ!頑張るんだ、俺!
そんな葛藤をしながらも時間は刻々とすぎて行った。
※8:00 テストまであと1時間
顔を洗い、制服に着替えて、朝ごはんを食べ、歯を磨く。一連の流れを終えた俺は安心からか唐突に眠気が襲って来ていた。
「寝るな!頑張れ俺!勉強は全部やった!あとはテストを解くだけだ!!」
あれから2時間ほどかけてなんとか俺は教科書の問題を解き終わった。ドッと押し寄せる疲れと同時に、やりきったという達成感の中、俺は学校へと向かった。
大事なことを見落として……。
彼が消し忘れたラジオはノイズから切り替わり、新しい番組がはじまっている。
『はい、次は失敗談コーナーです!今回はどんな話が聞けるんですかね〜』
『楽しみです!』
『まず最初の一つ目は東京都在住、16才のニックネーム桃麦さんです!』
『どんな失敗をしてしまったんでしょうか?』
『では、読み上げますね〜!「テスト前日になり、テスト勉強を全くしていないことに気づきテスト勉強をはじめたのですが……一教科だけ勉強してて、他の教科の勉強をすっかり忘れてたんです!」』
『まじですか〜、あははは』
『あはははは』
ブチッ
部屋に入って掃除をしに来た彼のお母さんはラジオを消した。部屋にはまた沈黙がおりる。
彼が今日は生物、物理、歴史の三教科のテストがあると知るのも、絶望の悲鳴が響くのも、あと1時間後の話である。
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