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解体戦士スパイナー  作者: 船上机
エピローグ
54/57

シャインシティの夜明け

 ここは現実世界のシャインシティ。平和を取り戻した街には、人々の活気が戻りつつあった。だが、機械結社の残党は、ごく少数ながら未だに活動を続けていた__


 夕刻、繁華街外れ。部活動から帰宅中の少女に、怪しい影が迫る……!

「ネジー!」

「キャーッ!」

 突如として襲いかかるのは、ダークフォースの元戦闘員ネジー。組織と指揮官を失っても、「人々を襲う」というプログラムに従って未だに街を彷徨い続けているのだ。少女に向かってネジロッドを振りかざすネジー。だが次の瞬間、2人の間に別の影が割り込む。


「そこまでだ、ダークフォース!」

 悪行のある所に必ず駆けつける、その男の名は!

「解体戦士、スパイナー!トゥッ!」

 スパナアームのスイングを受け、ネジーは遥か上空へとかち上げられる。

「ネジーッ!?」

 更にスパイナー自身も跳躍し、空中でネジーに数十発のパンチを叩き込む!

「ネ、ネジ〜……」


 ネジーは上空であえなく爆散。着地を決めたスパイナーに、少女が駆け寄る。

「あ、ありがとうスパイナーさん」

「ああ、この辺はまだ危険だから、早く帰るといい」

「はい!」

 少女が去っていくのを確認すると、スパイナーは自らの外見を人間の青年、すなわち玄馬コウジへと変化させた。


 崩壊するダークフォース基地から脱出した後、スパイナーはシャインシティの守護者として活動していた。ダークフォースの残党を倒し、加えて外部からの脅威から街を守ること。それが解体戦士としての使命であり、元破壊闘士としての贖罪でもあると信じて。


 そして普段は、怪しまれないように博士の研究していたアバター実体化システムを使用し、玄馬コウジの姿で街に溶け込んでいる。コウジとしてもスパイナーとしても、少しずつ人々の信頼を得られてきたという手応えはある。だが、あの少女の前でこの姿になるわけにはいかない。あのユキエにそっくりな、言い換えるとユキエのモデルになった少女の亡き兄こそが、コウジのモデルだったのだから。


 コウジは眩い夕陽に包まれた空を見上げる。一瞬、散っていった仲間達、そして戦友達の姿が見えたような気がした。きっと彼らも、天からコウジの活躍を見守ってくれているに違いない。


 突然、腕時計型の通信端末から発信音が鳴る。どうやらまたダークフォースの残党が現れたようだ。早速行かなければ。全ての悪を解体するまで、彼の戦いは終わらないのだから。コウジは走り出しながら、ナットクリスタルを額に翳した。


「マインド・イン!」


(完)

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