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解体戦士スパイナー  作者: 船上机
第8話 果てしなき侵略
32/57

8-4*

燃えさかる火をものともせず、スパイナーは研究所内を捜索する。部屋という部屋はネジー達の襲撃を受け、もはや原型を留めていないほどに荒廃していた。だが同時に、博士の仕掛けたトラップにより破壊されたネジーの残骸も、あちこちに散乱している。その一方で、隅々までスキャンしても博士達はおろか血痕なども見当たらなかった。ひょっとすると、2人はどこかに逃げおおせたのかもしれない。コウジの心に希望が湧いてくるが、すぐにそれを悲観的な考えが打ち消す。これほど激しい火炎と敵に包囲された研究所から、果たして無事に脱出できたのか?それとも何処かに隠れているのだろうか。隠し部屋は一通り調べた筈だが__


そう考えながらコウジが最後に訪れたのは、研究所最奥にある博士の兵器開発室だった。持っていたカードキーでロックを解除し中に入るも、やはり部屋には誰もいない。だが、作業机の中央に、小さな機械がこれ見よがしに置いてある。確かこれは、博士の所持していたホログラムレコーダーか……?


コウジがレコーダーのスイッチを入れると、ホログラムで構成された博士の姿が壁面に投影された。微かに銃撃音が聞こえる所からして、襲撃された後に急いで録画されたもののようだ。

『コウジ……残念だが不意を突かれた。研究成果は別の場所にコピーがあるが、研究所はもう駄目だ。ユキエは一足先に逃してある。無事に逃げ延びていることを祈ろう」

博士が喋っている間にも銃声とノイズはどんどん大きくなり、ホログラムにも乱れが生じ始める。

『コピーの保管場所については、マインドヘルムに座標を送っておく。それからもう一つ、お前にずっと隠していた事を伝えたいと思う。それは__』


博士が隠していた情報を知らせようとする直前、一際大きい銃声と共にホログラムが大きく乱れ、そのまま映像は途切れた。博士は無事なのだろうか。そして、伝えたかった情報とは一体何だったのか。そこに思いを巡らす暇もなく、今度は激しい揺れが研究所を襲った。


振動の原因は、研究所の外にいたバンリャだった。

「そんなに心中したいなら、ここで消えてしまえぇ。万力怒裂土ぉ!」

バンリャが両腕の巨大万力を、スレッジハンマーの如く地面へと叩きつける。その衝撃で地面に亀裂が入り、裂け目が研究所の方角へ向けて走っていく。やがて亀裂は大きな地割れとなり、研究所をあっさりと呑み込む。中にいるスパイナー諸共。


「ブルァブルァ、スパイナー敗れたり。これで破壊闘士の、いや、次期将軍の座は俺のものだぁ!」

地割れを見下ろした後、バンリャは高笑いしながら去っていく。果たしてスパイナーは、本当に地の底に埋まってしまったのか?


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