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解体戦士スパイナー  作者: 船上机
第1話 解体戦士スパイナー登場
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1-2

博士の予言した通り、ダークフォースの再起動にはそれほど時間はかからなかった。シャインシティの街角に突如現れた黒い軍勢。以前と同じ戦闘員の群かと思いきや、それを率いているのはネジーではなかった。黒の素体にオレンジ色の作業服風の装甲、頭部にはヘルメットを被り、ヘッドランプが目の代わりをしているかのように上下左右に動いている。何より特徴的なのはその両腕で、それぞれの先端に巨大な銀色の鉤爪状パーツが装着されていた。彼こそは、工具の一つ「ペンチ」のデータから製造されたダークフォースの機械怪人、その名もペンチダークである!


「グハハハハ!こんなちっぽけなフィールドなど、このペンチダーク様の力で粉々にしてやる!」

そう叫んだペンチダークが両腕を合わせると2つの鉤爪が合体し、巨大なペンチの姿を形作る。その状態で両腕を高く掲げると、開いたペンチの刃と刃の間に光弾が発生、上空へ次々と打ち出され、そのまま雨のように街中に降り注いだ。


「キャー!」

「だ、誰か助けてくれぇ!」

「ネジジジジ!!」

周囲に瓦礫が舞い、人々の悲鳴が飛び交う中、散開した戦闘員達がネジ棒を手に更なる破壊行為を始める。瞬く間に、平和な街は戦場と化した。

「グハハハハ!全く歯応えがなさ過ぎる……ん?」

燃え盛る街を前にして高笑いしていたペンチダークはふと気付いた。人々が逃げ去った歩道の真ん中に、悪の進軍を遮るように1人の男が立っている事に。

「何だお前、死にたいのか?」

「俺の名は玄場コウジ_貴様達ダークフォースを倒す者だ!」

その男、コウジは懐から小さな宝石のような物体を取り出し、それを額にかざし、高らかに叫ぶ。


「マインド・イン!」

額に当てられた六角形の鉱石が白く輝くと、彼の体全体が瞬く間に紺色の鎧で覆われていく。両腕、胴体、両脚、そして頭部。空戸研究所から転送されてきた強化鎧装マインドアーマーが全身に装着されると同時に、胸部中央には額と同じ六角形の鉱石「ナットクリスタル」が光輝き、体全体にマインドエネルギーを循環させる。叫んでから変身完了までのプロセスは、コンマ1秒もかからなかった。


「お、お前は一体!?」

一瞬で姿を変えた謎の存在を前にして、たじろぐペンチダークの問いかけに、彼は堂々と答える。

「俺は正義の解体屋_解体戦士、スパイナー!」



「ス、スパイナーだと!?」

戦士の名乗りを受け、ペンチダークは一瞬唖然とするが、すぐに余裕を取り戻す。

「なるほど、面白い。お前が今回の標的ってわけか。なら試してやろう。ネジー共、やっちまえ!」

「ネジジジジー!!」

ペンチダークの呼びかけに答え、十数体のネジー達が群れをなしてスパイナーの元へと押し寄せる。こちらもお手並み拝見といくか。自らもネジー達に向かって走り出しながら、スパイナーは右腕に力を込める。すると、人間時と同じ形状だった右腕は一瞬で巨大なスパナへと姿を変えた。換装システム、問題なし。


「トウッ!」

ネジーの群れに突っ込んだスパイナーは、スパナアームを大きく振り回しながら周囲のネジー達を弾き飛ばす。更に、残った戦闘員を次々とスパナで上空へと打ち上げ、落ちてきた所にパンチやキックを叩き込む。

「ネジ〜……」

ネジー達は空中で連鎖的に爆発を起こしていく。その爆風を浴びながら、スパイナーは戦闘の感触を確認していた。流石は博士というべきか、シミュレーションと実際の戦闘で手応えはほぼ同じだった。スパイナー自身の動作も想定通り。気兼ねなく全力を出せそうだ。


「フン、なかなかやるな」

戦闘員を蹴散らしたスパイナーは、更に奥へとダッシュを開始。その先に待ち構えるは、その両腕を巨大なペンチへと変形させた機械怪人。

「だがこれならどうだ?」

ペンチダークは両腕の巨大ペンチを持ち上げ、上空へ光弾を連射。複数の黄色い光弾がアーチを描き、流星群のようにスパイナーへと降り注ぐ!

「!!」

スパイナーは右腕を盾のように使って光弾を弾き飛ばしていく。しかし、絶え間なく襲いくる光球を防ぎきることはできず、次々と光が着弾、連鎖的に発生した爆風にスパイナーの全身が包まれていく。


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