アライパの村
コピーが完了した事で俺の手元にスマホが現れる。
「一緒か...。」
それは矢藤の持っているスマホと同じ性能の物だった。
3分の時間指定は中々厳しいが、とりあえず開くか。
「ファッ!?マッキーそれどうしたンゴ!?」
「ん、俺コピー能力あるからさ...お前の能力パクった。」
「は!?チートすぎるンゴ!」
まったくもってその通りだ、まあ時間もないし初期設定だけでも終わらせるか。
「プロデューサーさん初めまして、今日はどんな1日になるかな?楽しみだね!...あっ、そういえばまだ名前を聞いてなかったね...プロデューサーさんの事、なんて呼んだら良いのかな?」
「マッキーで。」
「マッキーさんで間違いないかな?」
「おう。」
そして俺はクエスト、キャラ育成、ガチャ、衣装、召喚の5つの項目に軽く目を通した後スマホが消えるのを待つ。
「もうそろそろか...。」
......。
......ん、あれ?
おかしいな、俺が時間の感覚をミスる事はないはずなんだが...。
消えないな...なるほど、3分間の縛りは戦闘中もしくは召喚能力を発動した時だけ適用されるみたいだ。
クエストやキャラ育成に関しては自由にできる訳か、スタミナとかいうシステムもないから時間の許す限り無限に育成する事ができる訳か。
さて...解除しよう。
俺はプロデューサーの能力を解除する、すると手からスマホが光に溶けるように消えて行った。
まあ、夜寝る前にまた矢藤から能力をパクるか。
暇つぶしにはなるだろう。
「焼けたンゴ!」
「お、いい感じだな。」
俺達はウサギ肉を食べてアライパへと向かった、料理についての感想を言おう。
調味料なしではあまり美味しくなかったと...。
とてもワイルドな味だった。
さて......。
しばらくして俺達はそれぞれ4羽のウサギを括り付けた木の枝を持ち、アライパ村の中へ足を踏み入れた。
【〜アライパ村〜】
そこは木造や煉瓦で作られた家が転々とあり、村の中央には小さな川が流れている。
人気は思ったより少なく、家の前で作業をしている数人を除いて人影は見当たらない。
「なんか、思ってたのと違うな。」
「確かに......ここまで田舎だとは思わなかった。」
とりあえず、NPCに話しかけてみるか。
「お姉さん...俺達、旅をしてるんだけど...この村に宿とかお店はないかな?」
「あら、ようこそアライパ村へ...ごめんなさい、ここは見ての通り小さな村だから何もないの。」
「そうですか。」
「お困りですか?」
何だろう、ただNPCと話してるだけなのにちょっと落ちつかないな。
「実は泊まる所が無くて困ってまして。」
「あらそうなんですか?...うーんでも私のお家は見ての通り狭いので、1人なら大丈夫なのですが...。」
目の前に建っている家は6畳のワンルームと言った所だ...とても6人が泊まれるような物ではない。
「...あっ、村の皆さんに声をかけてきますね!」
「本当ですか?」
「はい、えっと...お名前は?」
「マッキーです。」
「私はコレットです、ではマッキーさんは私の家に泊まってください、他の方々はもうちょっと待っててくださいね!」
そう言うとコレットは村のみんなに順番に声をかけ始めた。
見知らぬ人の為に動いてくれるなんて、良い子だなー。
「おいマッキー。」
「ん?」
「自分だけあんな可愛い子と2人きりとかいい度胸してんな。」
「ああ、とりあえず1発殴らせてくれ。」
「待て、あの子が言い出した事だろ?」
「いいなー。」
そしてコレットは村のみんなを俺達の前に連れて来る。
40代くらいの男女に、10歳くらいの少女、お爺さんが1人と、20代くらいの巨乳の女性が1人。
さて、戦いの火蓋が切られたようだ。
間違いなくこいつらの狙いはあの巨乳NPCだ。
「皆さん心良く引き受けてくれました。」
「ありがとうございます。」
「家まで案内しますね。」
するとニロリンが真っ先に一歩を踏み出す。
「待てニロリン、落ち着け話し合おうじゃないか。」
山塚がニロリンの腕を掴むと、2人の間で火花が舞う。
「何言ってるンゴ、やましい気持ちなんて何もないンゴ!」
「どの口が言うか、お前だけはあの幼女に近づけさせない。」
まあニロリンはそうだろうな...。
極度のロリ好きだからなー...でもあれは流石にヤバイだろ。
「もうあっちに決めて貰えよ。」
俺は決まってるから関係ねーし。
......そして数分後。
議論?の結果、涼介が幼女。
「よろしく、ミナちゃん。」
「はいですー!ミナが作った料理は美味しいので楽しみにするのですよー!」
イカツイ40代男性には山塚が。
「兄さん、いい身体してんな。」
「フッ鍛えてますから。」
ニロリンは40代の女性へ。
「あらあら、狭いとこだけどゆっくりして行ってね。」
「ンゴ...。」
がっちくんがお爺さん。
「ワシはこの村の村長ギルバートじゃ。」
「なるほど、ならこの辺について後で色々聞かせてください。」
そして最後が...。
「アンタ名前は?」
「寛人。」
「そう、よろしくぅ。」
寛人が巨乳の当たり枠を確保した。
「ではマッキーさん、とりあえず家のお風呂で汗を流してはどうでしょうか?」
「ありがとう、助かるよ。」
そして俺達はそれぞれの家に案内され、俺はコレットの家にお邪魔する事になった。