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フリーダムクエスト〜6人の天才ゲーマー達  作者: 青アフロ
【①アライパ村】
6/31

6人の職業

首を傾げるモニカだったが、苦笑いをしながら言葉を発する。


「えっと...残念ながら何度繰り返しても職業は変わりません...それに龍王より強い職業なんてないと思いますよ...。」

「うーん......まあいいか、でも最初から最強ってのも何だかなぁ...。」


するとモニカがホッとした表情で言葉を続けた。


「それは問題ありません、ゲームが開始されると全てのプレイヤーはレベル1からのスタートです...なので先程の様に自由にスキルを発動できるようになるのはゲームを進めてからです。」


「おっ、わかってるねー。」


それならレベル上げで成長してくのも楽しめるし、最終的に最強クラスになれるのがわかっていればモチベーションも上がるしな。


「よし!なら戻ろう。」

「わかりました......では。」


モニカが再び俺をぎゅっと抱きしめると、すぐに元の神殿へと移動する。

今更ながらこのモニカもNPCなのか、もう普通に人と話してる感じだな。


ただやはり神という事もあって、人間とは違い感情の変化に一切負のオーラを感じない。


...しかし、一つだけ気がかりな点があるとすれば。

俺の職業がわかった瞬間の彼女の涙、あれは不可解だ。


あの涙は一体何だったのか......。


「ゲームシステムの説明についてですが、この世界は一部の特殊な職業を除いてアイテムなどを保管するシステムもなければ、お金や乗り物など全てが実物として存在します。」


ほう......つまり実際にアイテムや武器なんかを持ち歩いて旅をする事になるのか。

まあリアリティはあるが中々めんどくさいな。


「ここまでの説明で、何か質問はありますか?」


「そうだなー、強いて言えば7神についてもうちょっと聞きたい所ではあるけど...。」


ネタバレになっちゃうかな?


「説明しましょうか?」

「ゲーム内で調べたらある程度わかるんだよね?」

「はい。」

「なら大丈夫、続けてくれ。」


おそらくこの7神がこの物語に大きく関わってくるだろう事は、何となく理解できた。


なら後から自分達で情報を集める方が楽しめそうだ。


そして俺はその後、モニカから基本的な情報を色々と得た。

一通りの説明が終わりモニカがモニターを閉じると、俺の顔をじっと見つめる。


「それでは他のプレイヤーと共に、このゲームのスタート地点である"アライパの村"へご案内します...他のプレイヤーの方々はもう準備できてる様なので、他に何もなければスタート地点に移動させます。」


さて、いよいよモニカと別れる時が来たか。


「最後に一言だけ...またゲーム内でモニカとは会えるのかな?」

「大輔がこのゲームを楽しんでくれたならきっと。」

「なら良かった。」


その時の彼女の笑顔は、現実世界の人間には真似できない程に純粋な物だった。


「またお会いできる日を楽しみにしてます、大輔...。」


俺の前に光の渦が現れる、おそらくこれに飛び込めばゲームがスタートされるのだろう。


「ありがとう、また!」


そして俺はその渦に飛び込む。

その先は大草原が広がっていて、目の前には一緒にゲームをしていた5人が集まり駄弁っていた。



〜アライパ平原〜



「お、やっときたかマッキー!」

「おせーよ!」

「一応説明は全部聞いとこうと思ってさ。」


みんなちゃんと説明聞いたのかな...。


「俺もう何聞いたか忘れたわ。」

と、いつも通りの山塚。


「でもびっくりだよな、マジでゲームに入っちゃうとか。」

と、相変わらず高身長でイケメンな涼介。


「あああああ、明日から新しいイベントが始まるんごお...俺の限定ミウちゃんがあああああ。」

と1人嘆いている矢藤。


「まあ諦めな。」

と、その矢藤の肩を叩いて慰める寛人。


「とりあえずアライパ村に向かうか...一応この道を真っ直ぐ進めばつくっぽいから。」

と、やる気マンマンのがっちくん。


急にゲームの中に来たのに意外とみんないつもと変わらないな、というか1番現実を嫌ってた矢藤が嘆いているのは大爆笑なんだけど。


「ところでみんな職業何だった?」

「お前が来るまで内緒にしとこうぜってさっき話してとんだ、だからみんな知らないんだ。」

「よしならば俺から行こう...。」


山塚がそう言うと、両手を大きく回す。


「俺の職業は..."ヒーロー"だ!」

「...え、マジ?」

「お前、大分やべーの引いてんな。」

「お前っぽいわ。」


ヒーローって、職業なのか?

RPGゲームには登場しなさそうだが。


「ちなみに何ができるんだ、そのヒーローって。」

「行くぞ...変身!」


山塚の周りに真っ赤な炎のようなオーラが浮かび上がる。

そして全身に真っ赤なスーツを纏った山塚が現れた。


「悪は絶対許さない、正義のヒーロー!!..."ゴリラ騎士(ナイト)!"」


お前それただのゲーム時代のあだ名じゃねーか!

と心の中で思いながら苦笑いをしている俺。


「やべーゴリラ騎士きた...。」

「強いな...。」

「あー、盾決まったな...。」


盾とは、パーティの前線で味方を守りながら戦う防御力の高い職業を表していて一般的には剣士が担当するポジションだ。


まあ名前に騎士って入ってるし、確かに盾はできそうだな。


「合ってるわお前に...。」

「だろ、お前らは俺が守ってやるよ。」

「突っ込んで死ぬなよ。」

「舐めんな!」


さて、次は誰が発表するんだろうか。


「次誰にする、いないなら俺行くけど。」

「おっ言ってしまえがっち!」

「がっちくんの職業とかデュエリストしかないだろ。」

「それが違うんだよなぁ。」

「まじかよ、俺ちゃんとゴリラ騎士なったぞスタートからやり直してこい!」

「いや無理だろ。」


がっちくんがデュエリストじゃないのなら、それに近い職業になるに違いない。

カードを使うという意味では、マジシャンやギャンブラーみたいな職業もRPGには一応存在するしな。


「俺はな..."医者"だった。」

「...は?」

「は?」

「はあ?」

「がっちくんが医者?」

「ない。」

「絶対ない。」

「お前ら治療しねーからな。」

「うわヤブだ、ヤブ医者だ。」


ちょっと待て、このゲームって確か性格や身体能力から最も適正がある職業が選ばれるんだったよな。


まさか現実世界のがっちくんにも医者の才能があるって事か...まじかよ。


「それで医者って何ができるんだ?」

「回復薬作ったり、治療したり...まあヒーラーだな。」

「お、盾と回復決まったじゃんラッキー。」

「じゃあ次は寛人、お前行け。」

「ん?...俺?」

「おう。」

「俺は"忍者"」

「まじか。」

「あーわかる、目立たないしな。」

「確かに、地味だし。」

「...。」


時が止まる......えっ...それだけ?

もっと突っ込んであげよみんな。


「なら次は俺か。」

「おっ、涼介行け!」

「俺は"機械狩人(マシンハンター)"ってやつらしい。」

「マシンハンター?」

「銃使うって事か?」

「銃というか、近代兵器全般を自由に扱えるっぽい...こんな風に。」


涼介の右手に銃が現れると少し先の地面に向かって撃つ、その弾は銃弾ではなく光を放っていて地面に当たった瞬間に緑色の光がドーム状に広がった。


「ビー◯ライフル打てんのか!」

「他にも煙幕とか毒ガスとか使えるな。」

「いいねえ。」


まあSD4をやってた俺らには、1番わかりやすい職業だろうな...涼介は現実の仕事でも機械整備士をしているから天職だろう。


「よし矢藤いけ。」

「おう、俺は"プロデューサー"だった。」

「プロデューサー?」

「何だそれ。」


プロデューサーって言ったら、アニメやゲームの製作者を統括したりアイドルなどをプロデュースする職業だ。

ついにRPG要素が皆無の奴が来てしまった...てかプロデューサーってどう戦うんだよ...。


「それでプロデューサーって何ができるんだ?」

「なんか、このスマホで色々できるっぽい。」

「おま、ゲームの世界までスマホ持ってくんなよ。」

「とりあえず電源入れたら?」

「おう...。」


......。


「プロデューサーさん初めまして、今日はどんな1日になるかな?楽しみだね!」


矢藤がスマホに電源を入れた瞬間、突如全員に聞こえる声で女の子の声が響き渡った。


「あっ、そういえばまだ名前を聞いてなかったね...なんて呼んだら良いのかな?」


な、なんか始まったぞ...。


「えっと、ニロリンと。」

「ニロリンで間違いないかな?」

「ふあああああああああ!」

「ど、どうした矢藤!?」

「な...な...名前を喋った!」

「は?」


「名前を呼んでくれるスマホゲームなんてまずないんご!、しかもこれ女の子を育てて召喚する事もできるっぽいヤバイんごおおお!」


横から覗き込んで画面を確認すると、クエスト、キャラ育成、ガチャ、衣装、召喚の5つの項目が表示されている。


「おっ、いいじゃん召喚しちゃえよ。」

「うーんそれが、まだ召喚できる子がいないぽくて...このガチャってのを回さないといけないんご。」


おいおい、まさか課金しろって話じゃないよな。


「へーそれはどうやって回すんだ?」

「ここから所持金をこのスマホに入れる事ができるっぽい。」


課金しろって事ですね。


「まあ今は何もできないぽいし、マッキーは何だったの?」

「俺?...えっと...。」


やっぱ言わなきゃダメだよな...。


「どうした、そんなに悪い職業だったのか?」

「まあ落ち込むな、ほら言ってみ。」

「いやー...なんかさ..."龍王"だった。」

「......。」


......まあそうなるわな。


「よし解散、みんな行こうぜ。」

「おっそーだな。」

「もう日が暮れるしね。」

「あー早く美少女育成したいんご。」

「こっちだったよな。」


「......おい!!!」


5人はアライパ村に向かって歩き出した。

こいつら楽しんでやがる...。


「いやお前が凄いのは知ってんだけど...流石に引いたわ。」

「龍王って...。」

「明らか主人公みたいな職業しちゃって恥ずかしくないの。」


「おまえらっ!?」

「嘘嘘、ほら行こうぜアライパ村。」

「よっ龍王様!」


こいつら...絶対わざとだろ...。

まあそれにしても、また個性の強い職業が集まったな...頼もしいよまったく。

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