ダメ男達の日常
今年の10月で26歳になった。
その当日、地元のゲーム仲間達や妹......後はゲーム配信のリスナーからおめでとうコメントを頂いた。
対して嬉しくもない、ケーキすら食べなかったその誕生日に妹とやりとりしたメッセージの内容はこうだ。
「0:07 誕生日おめでとう。」
「0:09 別におめでたくない。」
「0:17 一年間無事に生きれたからおめでたいよ。」
終わり。
以降連絡はなし、引きこもってゲームばかりしてる俺を妹は良く思ってないらしい。
無事に生きれたからって煽ってんのか?
まあいい、風呂でも入ってたまにはパチンコでも行くか。
俺の名前は眞木大輔、26歳。
20代に入ると同時に働く事を辞め、大量に稼いだ金で絶賛引きこもりニート生活を満喫中のクズ野郎だ。
俺が外出するのは金曜日の夜に地元のゲーム仲間とゲーセンに集まり、閉店までゲームに金を費やす時。
そしてやる事がないとたまにパチンコ屋に行く、それだけだ。
今日も俺はパチンコ屋で平日の昼間から1人、パチンコを打っていた。
(大当たり!)
「よし。」
俺はタバコに火を付けるとボサボサの頭を軽く掻いて、画面をボーッと見つめながら大当たりを楽しんでいた。
「ゆあっちょー!」
平日の昼間でガラガラの店内で1人、大当たり中に流れる楽曲を口ずさみながら楽しむ俺...。
しかし大当たりが止まると暇になりすぐに携帯を弄る。
そういや金曜だっけ...曜日感覚が麻痺してんな、
グループチャットどうなってっかな。
「12:07 今日はパスで。」
「12:31 集まらんなら俺もパス。」
「14:05 今週はそっち帰れないから無理。」
「14:30 金ない...。」
「14:31 明日仕事だしパス。」
んだよ、集まり悪いな。
まあ社会人だし仕方ないか、最近は1ヵ月に1回集まれば良い方だ。
それに3人は結婚してるしなー...。
(大当たり!)
「よし、いいねえー。」
今日も絶好調だし、帰ったら矢藤の奴でも弄ってストレス発散するか。
俺はグループチャットを再び開くとコメントする。
「14:38 夜誰かSD4やらね?」
SD4とはサバイバルドライブというゲームで、銃で敵を撃って倒していくFPSゲームの事だ。
それから俺のパチンコ台は大量の玉を出し、店を出た俺は愛車のスポーツカーに座りグループチャットを見る。
「14:39 8時からならできるよ。」
「15:07 SD4ならできる。」
「15:08 なら俺もやるわ。」
「15:42 行くしかねえ!」
「16:19 かかってこい雑魚共!」
...。
「16:23 結局全員やるんかよ笑」
俺はそうコメントした後、中華料理屋で餃子定食を食べ家に帰宅しゲームを起動すると直ぐにグループチャットにコメントする。
「17:34 誰かはよ」
「17:36 はえーよ笑」
「18:02 飯食ったら入る」
「18:07 俺10時くらい」
「18:08 はっ?おせーよ」
「18:08 まだ仕事中笑」
「18:12 ブラックだな」
「18:16 ファッ!?」
「18:17 どーした」
「18:17 今起きた!」
「18:18 時間笑っ」
「18:19 やべーねみい」
「18:19 おら矢藤、早く起動しろ」
「18:21 おけ、今つける」
矢藤がログインしたのを確認すると、俺はボイスチャットでグループを作成し招待を送る。
するとすぐに矢藤がボイスチャットに入ってきた。
「はあーい、ジョージィ!」
「HI!George!」
このやり取りに意味はない、挨拶みたいな物だ。
「ういー!...矢藤さーん、今日めっちゃ出た。」
「はっ?...ウラヤマ。」
「明日ワンチャン行くか?」
「金ねえ!」
彼は矢藤直樹、小学生の時に俺と同じ学校に転校してきた。
近くのファミリーイレブンというコンビニで夜勤をしていて、昼間の暇な時によく付き合って貰っている。
極度のオタクで身長165cm、体重は去年100キロを突破したらしい。
ドン引きする程、2次元を愛していて現実の女はいらないと定期的に公言している。
そんな彼に金がない理由はスマホゲームの嫁達に毎月10万以上貢いでいるからだ、うん馬鹿だ。
他の奴らが来るまでの間、俺達は2人でSD4をプレイする。
間合いのない話や時に真面目な話も混ぜながら、敵を次々と銃で倒していく。
そして22時を少し過ぎた頃には、全員がボイスチャットを繋いでゲームをしていた。
何も気を使う事なく楽しめる、こいつらと一緒にゲームをする時間が正直1番楽しい...それは小学生の時から変わっていない。
何故なら俺達にとってゲームは唯一の共通の趣味だからだ。