表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DA:-SEIN ~御伽奇譚~ 「魔石」  作者: 藤乃宮 雅之
25/49

~麗奈と母と頼光と~


 後ろの頼光のBOX席からまた話し声が聞こえた。

「Well. I ask a question,Yorimitsu.」

「何でしょう?」

「What do you think about my daughter?」

「Ma…Mam?!」

 珍しく麗奈が大きな声を上げた。

「I worry about that a Local high school at California where my daughter goes.」

 ちょっと神妙な口調でシャーロットの声がした。

「What are you worried about?」

 頼光も心配そうに尋ねる。

「ア~。今のAmerican Presidentのキチガイがいるでしょ?」

「・・・そうですね。」

「アレのオカゲで移住シテ来たヒトへの差別がヒドくなったのヨ。麗奈も、ちょっとアジア人faceでしょ? コトバもAsian accentだし。」

「そうですか? 僕は全然気にならなかったし・・・て、言うか。え、麗奈さんへのイジメがあるの?」

 頼光は驚いて腰を上げた。

「学生の間ではそんな事は無いのよ。でも、ほら、ママのとこ、ブトウ農園地帯で田舎だから、よそ者に排他的な気風があるの。特に今、大統領が大っぴらに有色人種を見下(みくだ)した発言してるでしょ。民主党が優勢な地域ではあるんだけど、共和党支持層の皆さん対抗意識からか、それに乗っかっちゃって。」

 ちょっと元気なく麗奈が話す。

「だから、ホームパーティーに呼ばれた時に、イエローの子供だって言う陰口をママ聞いちゃったの。」

「ああ、それでショックを受けたんだ。」

「ママ・・・暴れちゃって。」

「勇ましいね。」

 頼光はちょっと苦笑いを浮かべた。

「yes. I don't care, speak badly about who was my husband. But I cannot stand that Insult to my daughter!」

 シャーロットは激高して机をバンバンと叩き、周囲が振り向く。

「Charlotte! Calm down please. The all customers are surprised.」

 頼光は机に体を乗り出してシャーロットをなだめる。

「Oh! ・・・ゴメンナサイ。つい燃えて乱れてシマイマシタ。」

 シャーロットは大きく目を見開いて、手を口の前にかざした。

「・・・それで、ヨリミツにシツモンです。」

「何でしょう?」

「麗奈のコトはまだスキですか?」

「ママっ! 変に蒸し返さないって約束でしょ。頼くんも困るじゃないっ。」

(そうよっ。私も困るじゃないっ!)

 香澄と美幸はシートに体を押し付けて様子をうかがった。

「YesかNoかで答えるなら、答えはYesです。」

 頼光は落ち着いた声で答えた。

「よ、頼くん・・・」

 麗奈が顔を赤らめる。


「あんたたち、大丈夫っ? 真っ白になってるわよ?」

 陽を浴びた吸血鬼のようになっている二人に、加奈が驚いて声を掛ける。

 頼光が続ける。

「でも、今の関係になった事は、麗奈さんと良く考えて話し合って決めたことです。恋人同士じゃなくても、お互い大切に思い合う関係は素晴らしい事だと思うんです。だから、そんな麗奈さんを、僕は大切に想っています。」

「頼くん・・・」

(皆本くん・・・)

(ライコウ・・・)

「Hmm… ニホンの人の感覚はムツカシですね。でも、ワタシの娘を愛していてくれるのワカリマス。ありがとうデス。」

 シャーロットはにっこりと笑って、メロンソーダを口にした。

「頼くん、ありがと。お別れしてはいるけど、私も頼くんのこと大切に想ってるわ。うふふ。何だか照れくさいわね。」

「はは、だね。」

「で、頼くんは、気になる子とかいるの?」

「え? 今、答えるの?」

「いいじゃないこの際。私も頼くんに幸せになってもらいたいし。ほら、4か月間だったけど、私は幸せだったから・・・」

「麗奈さん・・・」

(え、ライコウ言っちゃうの?)

(だ、誰?)

 二人はシートに体をめり込ませるぐらいの勢いで聞き耳を立てた。

「・・・あの。あの二人は?」

「ああ、気にしないでください。ああいう娘たちなんです。」

 結菜に囁かれた加奈は落ち着いてコーラのストローを咥えた。


「・・・気になってる子はいるよ。」

「あら、どんな子? かわいい子かしら?」

「うん、見た目もだけど、性格もかわいいんだ。結構努力家で、人には見せないようにしてるけど伝わってくるし。フィーリングも合うし。」

「へえ。良い子みたいね。うまく行きそうなの?」

「う~ん。どうかな? その子、見た目よりも、あんまり男の子馴れしてないから、ちょっと壁みたいなモノ感じちゃってね。実のトコ、こっちから進めて良いか、相手が整うのを見守ったほうが良いのか、結構あぐねてるんだ。」

 照れくさそうに頼光は頭を掻いた。

「あはは。頼くん、壊れ物扱うみたい。その子のコト大事にしたいんだね。うらやましい。」

(そ、そうなんだ。そんな風に思ってるんだ。)

 二人はドキドキしながら耳をそばだてる。

「その子って、私の知ってるヒト?」

「そこはナイショ♪」

(そこ、重要っ!)

 二人は目を()いて、シートの上から覗く頼光の頭を睨みつけた。


「デモ、アンシンしました。」

 シャーロットはにっこりと微笑んで両手を組んだ。

「ヨリミツが傍にイテくれるなら、麗奈、ニホンでイテもダイジョウブですね。」

「ママ、それはまだ、保留中でしょ? This is a pending case, isn't it?」

(なにっ! どういうこと?)

「どういうこと?」

「I thinking about that Transfer to school in japan my daughter.」

「Really?」

 頼光が驚いた声を上げる中、シャーロットは坦々と続けた。

「It takes time to cure the discrimination that The Madman is proclaiming. I don't want to be discriminated my daughter.」

「Mam…」

 麗奈は神妙な顔つきで母親を見つめていると、シャーロットは途端に明るい口調で話し始めた。

「so, The new semester is from September in America. I'm thinking about transferring to school at that time.」

「私は大丈夫だって言ってるんだけど、ママあれから妙に心配性になっちゃって。」

「ホームパーティーで暴れてから?」

「Yes! ダッテ、娘のことガバガバにされて、だまって見つめてイルだけの母親でイケますかっ?」

「ま、まあ、言いたいことは解ります。」

 真剣なシャーロットに頼光は短く頷いた。

 シャーロットは両手をぽんと合わせて話を続けた。

「When I get that apartment, I will send my daughter to school from there.」

「Do you feel anxious about your daughter living alone?」

 頼光は麗奈をちらりと見てシャーロットを覗き込んだ。

「I don't feel so much. Japan is a safer country than the United States. The Rape doesn't happen every day, right?」

「Ya…Yah. May be so.」

「まだ検討中の事だからそんなに気にしないで。何か話によると、外国籍の人への不動産の手続きとかだけでも結構時間がかかる事だって言うし。」

 麗奈がちょっとため息をついてアイスティーに口を付けた。

「ちなみにそのアパートってどの辺なの?」

「え~と。天神橋駅の西側にあるそうなの。私は良く知らないんだけどね。」

 美幸は自分のスマートフォンをぱっと取って文字キーを打ち込んだ。

『私のウチの近く。ウチが東側の住宅街だから反対側。』

『どういう話だったの? 知らない単語が多すぎて良く分からなかったよ。』

『結論から言うと、9月あたりに麗奈さんがウチの近くに引っ越してくるかもって話。』

「ええっ?」

「あれ、今、香澄の声が聞こえたような・・・?」

 後ろで衣擦れの音が聞こえて、香澄は慌てて身を縮めた。

「・・・う~ん。気のせいか。」

 辺りを見回してから着席する頼光に、麗奈はちょっと意地悪そうに声を掛けた。

「なあに、いつも香澄ちゃんの事考えてるから空耳でも起きたの?」

「はは、そうかも。」

『だって♪』

『はいはい。』


「I'm happy to talk with you. You have removed one of my concerns. Thank you.」

「You are welcome.」

 頼光はにっこりと微笑む。

「ソレデハ、この辺りを一緒にサンポシテくれませんか?」

「ええ、良いですよ。あれからショッピング・モールも、ちょっとさま変わりしたんですよ。」

「そうなんだ。久しぶりね、頼くんと街中(まちなか)を回るのって。」

 席を立つ気配に香澄と美幸は帽子を深く被って、サングラスをぴったりと装着した。

 雑談しながら三人はレジの方に向かって歩いて行った。

「ふう~。」

「き、緊張した~。」

 小声で二人がぐったりと肩を落とす。

(はた)から見てたら滑稽だったよ。」

 加奈がニヤニヤしながら声を掛けた。

「だって、変な方向に話が行くんじゃないかって気が気じゃなかったんだもん。ねぇ?」

「ホント。復縁話なんか出そうな感じだったし。」

「あ、初めて声聞けちゃった。」

 結菜が笑いながらコーラを口にする。

「No.No.No! ここではワタシが出しますっ。ヨリミツのは、ナカに入れてクダサイ!」

 レジの方から声がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ