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文章書き慣れていないので読みにくかったりするかもしれませんがよろしくお願いします。
ーーー礼奈大丈夫かな。
一方、礼奈に玄関まで送ってもらった菜々はしばらくしゃがみこんでいたが、少し落ち着き思考ができるほどになると、何があったかを考えるより先に礼奈の心配をした。
すぐ戻るって言ってたし、ここで待ってよう。…説明するって、どういうことだろ。
菜々が考えを巡らせていると家のチャイムが鳴った。菜々が急いで扉を開けると礼奈が先程と変わらない格好で立っていた。安心して、菜々はまたしゃがみこんでしまった。
「うわぁ!びっくりした。急に出てくるとは思わなかった…って大丈夫?!」
「あ、ごめん、大丈夫。あの、さっきのは?」
「ああ、大丈夫だよ。」
礼奈は優しい声色で笑ってそう言った。きっと菜々を安心させるためだろう。それに安心した菜々はゆっくりと立ち上がりむねをなでおろした。そして先程のことを聞こうと口を開いたが、
「それより、急であれなんだけど明日から一週間くらい学校休むね。今日のことは来週になったらちゃんと説明するからさ。心配かもしんないけど、私が戻ってくるまで絶対ああいうのには会わないって約束するからさ、じゃね!」
急にものすごい勢いの早口で一方的に話し、走っていなくなってしまった。残された菜々は一気に話された内容を理解するのに一度静止し意識がやっと戻ってくると、
「え?」
という間抜けな声を出してまた、動かなくなってしまった。
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(一旦本家に戻って、入り口の封鎖を頼まないと。ルガプトのやつがやったんだ、他が出てくるかもしれない。…父さんに頼めるか?)
菜々の前から急いで離れた礼奈は考え事をしながら全速力で走っていた。10月の今、少し冷たい風が突き抜けていく。
(一度家に戻って…いや、今車を頼んで直行する方が早いな)
そう考えて礼奈は五分ほど全速力で走ったところで停止し、ポケットからスマホを取り出して、あるところに連絡した。
プルルルル、プルル ピッ
軽い音が鳴り電話がつながる。
「どうされました?」
「すぐ本家に戻りたいから車を回してもらえないか?場所は滝坂神社の前あたりにいるから」
「わかりました、7、8分で着きます」
「OK」
プツン
短い電話が終わり、礼奈は連絡した場所に向かって歩き出した。1分もかからないうちに滝坂神社前につき、そして5分ほど待っていると、神社の前に黒いリムジンが止まる。礼奈は運転手が出てくる前にすぐドアを開けて中に乗り込んだ。
「早かったな」
「礼奈様の声が焦ってたので、急ぎました。」
「ありがとう、本家に向かってくれ」
「はい」
礼奈が乗り込み、ドアが閉まった瞬間に車は発車し、運転手の男と車の中で少し話す。
車は2時間半ほど走り、東京の郊外にある大きな門の前に停止した。
「ありがとう、火羅」
礼奈は急いで車から降り、運転手の男に感謝を告げて門の中に入っていった。
(急に戻ってきたから、怒られるかな。でも緊急事態だししょうがねえ)
礼奈は門をくぐった後正面の玄関へ走って飛び込んだ。靴を揃えず脱ぎ捨て長い長い廊下を猛ダッシュする。
途中、たくさんの資料を抱えた人が歩いているのをみつけ、礼奈は声をかけた。
「兄さん!いいところに。父さんどこにいるか知らない?」
「わぁ!れ、礼奈帰ってきてたんだ。えっと、父さんならさっき帰ってきたから広間にいると思うよ」
「わかった!ありがと」
礼奈は兄の零に父・空彦の居場所を聞くと、会話もそこそこに広間へととんでいった。
再び廊下を全速力で走り、目的地である広間に着くと、思い切り襖を開けて
「父さん!!」
と叫んだ。だが、空彦は誰かと話していた。会話の相手はこちら側に背を向けているため顔が見えず、誰かわからない。そして空彦はこちらに一度視線を送ると口を開き話そうとしたが、
「げ、礼奈帰ってきたの?」
先に声を出したのは空彦が話していた相手、礼奈の双子の兄である怜だった。礼奈はいらだった様子でそれに答える。
「なに、帰ってきちゃ悪いの?」
「いや、別にいいけど」
「……礼奈、用があったんじゃないのか。」
なぜか不機嫌な怜と、少し言葉を交わすと、そこで空彦が口を開いた。低めの重い声に自然と背筋が伸びる。
「はい、あの頼みたいことがあって………あちら側との行き来を一度止めてもらえないかと」
「……なぜだ。」
「今日、ルガプト伯爵が“禁忌の子”に手を出そうとして…一応“子”は守りましたが、あの野郎が出てきたということは他が出てくるかもしれません、それで……」
沈黙がやけに長く、礼奈の背を冷たい汗が伝う。そして空彦が再び大きなため息ををついた。
「……………………好きにしろ。」
「ありがとう、父さん!」