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魔王さまは涙もろい  作者: 南部
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一便と居残り組

「で、遠征組は決まったか?」


 海岸の船の上でバルに向かって意思確認をする。ぴくぴく動く犬耳に興味があるが、その下の苦悶の表情を浮かべるおっさんには興味がない。出来るだけ上を見て気を紛らわす。


「70人、どうか……」


 想定より少ない。一応演技で彼を睨みつけ、考えたふりをして時間を稼ぐ。


「わかった。それでは譲歩する代わりにこちらの要望を一個聞き入れてもらう」


 安堵し、うなずくバルを見てラースの顔が浮かぶ。

 あいつが半数と条件を付けたのはこれを見越しての事らしい。不条理な条件で相手を牽制しておいて自分たちの要求を一方的に飲ませるにはこういう小技が必要だとかなんとか。昨夜奴に受け入れ人数の修正を相談した際に種明かしされた。要は保険。逃走組は新しい環境に挑む気概を持つから全員受け入れてもいい。だが、危険を回避するため二便に分けたいとのこと。

 現地で見たことのない病が発生する可能性や、想定外の事態で全滅するのを避けるためだそうだ。からだの頑丈な働き手を一便目にして安定したその後、第二便を受け入れる算段。女の事しか考えていないようで実はそこそこ考えていた。なぜ俺に黙っていたのかと聞いたら”こういった面ではお前を一切信用していない”と言い切られた。


「と、いうわけでこちらからは資金援助と護衛をつける。一時的だが家族を隔てる詫びだ」


 ハトが豆鉄砲を食らったような顔のバルとその取り巻きを放置して空に向けて手を振る。すると猛スピードで空から赤い龍が下りて来た。船に当たる前にふわっと減速すると小さなシルエットに収まった。


「紹介するレッドドラゴンのルナだ」


 ド派手な登場に船の上は水を打ったように静まり返った。このドラゴン、ドラ子がラースと打ち合わせして準備を進めていた助っ人だ。龍種の記憶共有便利すぎる。この記憶共有を使って暇な龍種の一部へ協力を打診してくれたおかげで用心棒には事欠かない。条件は新大陸での互いの尊重。これを決めることで不利益を出さずに暮らせる場を実現する。


「ご紹介に与かりましたルーナリア・アキメアル・サリアと申します。ルナとお呼びください」


 恭しくお辞儀したルナは顔を上げてほほ笑んだ。美女の百点満点の笑顔にバルが戸惑いながらも挨拶を返す。


「バルと申します。代表代理をやっております」


 今更だが彼らを引っ張ってきた代表は稀代の剣豪に切られて死んでしまったらしい。バルは俺が引っ張り出したから代表代行としてここをまとめている。第一便には参加せず居残り組としてこのまま頭を張って貰う事になった。自警団として慣らした腕は健在の様でそこらの獣人よりは強い。フィズの育ての親らしいが彼は犬、彼女は猿で相性が良くないらしい。獣人の相性問題はよくわからん。

 ちなみにリクの親が死んだ代表で、その友人がバルらしい。若頭って言われていたのはそういう理由だった。てっきりバルとリクが親子だと思ったが全く違った。


「さて、自己紹介も終わったようだから俺は帰る。第一便は一週間後に出発予定だから準備を進めてくれ。……そういえばガージスは?」


 特に用は無いのだが、一目も合わせずに帰るのもあれなので確認する。


「あの、ガージス様はリクと一緒にいるかと……」


 先日来た時にもこちらを気にせず茶を啜っていた。何とも・・・


「そ、そうか。それじゃ二人によろしくな!」


 深くは追求せずにその場を立ち去ることにした。


ガージスとリクはそういう仲さ。

リクはガージスの性別を知りましたがそのまま受け入れました。そういう形もあるんですね、という感じ。


日に日に文章書けなくなっていく不思議。これがスランプ?

能力も無いのに陥るのか……

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