掘りましょう♪2
また書いてしまいました(;^_^A
あの妙な疑惑から、数日が経った。
あ、改めて自己紹介を。俺の名は、谷田 恭平。40歳手前のオッサンである。
あの日から、会社の女性社員からは、見事に好奇の視線が突き刺さり、男性社員からは、好意と畏怖の視線が突き刺さり…………。俺の日常は、あの喧嘩友達のお陰で、ガラリと姿を変えたんだ。正確には、新入社員だがな!
畜生、本当にあの出来事の、仕返しじゃないんだよな!?
「あれ? 恭平? 随分と疲れてるね?」
「よっ、真衣…………すまんが愚痴聞いてくれ………」
「何かあったわけ?」
この疑問符を飛ばしまくっているのが、俺の恩人で、頭が上がらない親戚の女性。スラリとして、胸がでかい、中々に綺麗なご婦人だ。家に入り、いつもの客間へ。もうすぐ旦那さんの、晃さんが帰ってくるそうで、夕食に誘われた。すまん、顔に出ていたか……………。
「会社で、妙な疑惑がなぁ」
「あぁ! もしかして、由紀が言ってたBL疑惑? よし、お祝いを」
「ちょっと待て!? 祝いはいらないから、由紀を止めてくれ! あいつアレから、時たま視線が怖いんだよ!?」
「自業自得じゃない? 由紀に対して何をしたのよ、あんた…………それでメル友の妹分にまでキレられて」
「いや、あれは………悪かったけどさ? 創作と現実を混同するとは………」
「あんたの由紀に対するクセ、治しなさいよ? 最近の被害者は、メル友さんなんだから…………あの子を泣かせたら、許さないわよ?」
うわっ、真衣の目がマジだ。真衣の言ったメル友さん、実は真衣とも喧嘩友達の由紀とも、仲がいいんだと。実は俺をモデルにした話も書いて貰ってる。いいお嬢さんなんだよ。……………嫌われるのは、マジで嫌だ。
というか、メル友さんをお前等色に染めて行こうとか、してないよな? 何か最近、怖いんだが…………。
「気を付ける………」
仕方ないだろ? 由紀に対するこのクセは、昔からなんだから。
「あら、うちのが帰ってきたわ、さぁ、ご飯にしましょ」
真衣って、マジで懐広いよな。………胸も。旦那さんの晃さんが着替えて戻って来た。真衣には子供が2人居て、幸せ家族だ。
んで、やっぱりビールが出て、会話はやはり、男らしく…………。
「真衣の胸、でかいですよね?」
「やはりそう思うか?」
二人でニヤニヤしながら、会話をしてたら、いきなり脳天に、強烈な痛みが!?
「なんつー会話をしてんのよ! 子供の前でっ!! 信じらんない!」
その手には、フライパン。いてーよ……………。隣には、うずくまる晃さん。加減してやれ、真衣。
なんて和気あいあい?してたら、喧嘩友達、由紀が旦那さんと来た。こいつは近所に住んでるから、たまに真衣の家で夕食を一緒にしてるらしい。まあ、3人の子供の母親だからな。真衣を先輩ママとして尊敬しまくっているんだ。料理上手な真衣は、皆から頼られてるからな。
「ゲッ!? 何でここに居るのよ!?」
開口一番、中々に酷い言い様だ。
「愚痴を聞いて貰ってたんだよ…………」
「で、制裁したとこ☆」
おい、真衣!? スッ飛ばしたよな!? 今、色々と…………。
「あれ? 子供達は? どうしたの?」
真衣に言われて、初めて気付いた。そういえば居ないな。3人も居れば、賑やかだろうに。
「実家よ、お泊まりで寄越せって煩いのよ、親が」
あぁ、由紀んとこの祖父母は、孫バカだからな。初孫だから、溺愛してるんだってさ。苦労してんな、お前も。
「そうだ、由紀、恭平がさ? あんたの視線が怖いって、相談して来たんだけど…………」
真衣!? 何故にそんな楽しそうな目で、由紀を見てるんだ!? つーか、由紀も何でそんな嫌そうな顔をしてんだよ!?
「あら、そうなの? プフッ、だって〜、恭平のお相手を考えていたら、プフッ、フフフフフフ〜、ダメ〜、笑いが〜」
おいっ!? お前、俺を脳内で餌食にしてたのか!!?
「あの、由紀? 真衣さん? 何の話ですか??」
まだ立ったままの由紀の旦那さんが、困り果てていた。あ、この人は、由紀が好きで好きで、真衣に協力してもらって、感動的なプロポーズをしたという、由紀にだけバカになる妻ラブな、真面目な旦那さんだ。名前は、北村 悠斗さん。俺達は悠斗さんと呼んでる。
「はぁ、野郎はそっちで飲んでて…………、由紀、ツマミ作るから手伝って」
「はいはーい♪」
由紀は真衣が大好きだからなぁ。てか、真衣のやつ、説明を俺に投げたな!?
「で、恭平さん? 疑惑って何ですか?」
悠斗さんと晃さん、興味深々なんだな……………。仕方ないから、俺に疑惑が上がった事、由紀達がややこしい会話をした事を話した。
「それは………同情しますね」
とは、晃さん。あの真衣の旦那さんだけあって、懐広いなぁ。
「由紀がですか? まぁ、お二人は犬猿の仲ですしねぇ、でもあくまで疑惑ですよね?」
そう、疑惑なんだ。疑惑なんだがな!?
「由紀のやつ、仲のいいメル友さんに、暴露しやがったんだよ! いいお嬢さんなのに、あの二人の所為で嫌われたらと思うと…………胃が……」
「「あぁ、確かに」」
この二人も知ってるからな。メル友さんの事を。と、何かキッチンから、会話が漏れてきた。
「やっぱりさぁ、………で、………でしょ? ゆう……が攻めで、恭平が…………なら、………ていうのもアリじゃない?」
…………おいっ!?
ピシッと固まった俺に、二人も怪訝そうなんだが、今の会話、明らかにおかしかったよな!?
「あら、私だったら、恭平を………にして、悠斗さんを…………にするわよ? そうだ! メル友さんが新しいジャンルを開拓するって言ってたし、書いてもらおうか?」
今のは二人にも聞こえたらしい。綺麗に固まっていた。イヤー、だよな?
「野郎ども〜、ツマミ出来たわよ〜」
「どうしたの? 三人共?」
キョトンとした二人には悪いが、原因はお前達だ。
「今、会話が漏れ聞こえてきてな? 俺達の会話をしてなかったか?」
引きつりそうになる頬を無理矢理押さえつけ、平静を保って聞いた俺は凄いと思うぞ。
「ん? 聞こえてたの? メル友さんが新しいジャンルを開拓するって言うから、ネタを提供しようかと……………」
真衣さんや? 何故に視線をそらしたんだ?
「真衣? まさか僕等を提供して書いて貰おうとか、考えてません?」
晃さん、笑顔で怒るの止めてくれ! ブリザードがこっちにも来てるからな!?
「…………えーっと、……テヘ☆」
「「「おいっ!?」」」
ツッコミは何故かヤカンの音で中断された。
時間は9時を過ぎ、ビールはガンガン進み…………自棄酒くらいは許してくれや。既に子供達は自室へ向かったから、今は大人だけだ。
「あら、ビールが無くなりそう………由紀、買い物付き合ってくんない? 野郎どもは酔っ払いだから頼めないし」
「ん? いいよ〜、ちょっと、悠斗! 飲み過ぎないでよ? 明日は休みって言っても、子供達を迎えに行くんだから」
「おう」
悠斗さん、この中で一番、酒に強いから大丈夫じゃないか? 一番飲んだのは、俺だろうよ。
んで、女性陣が外出すれば、やっぱり会話はそういう方へ行く訳で。
「やっぱり由紀って、真衣との会話について行けるだけあって、薔薇の世界も行ける口だったんだなぁ」
ため息と共に、愚痴が出る。仕方ないだろ? まだ姪が純粋だからいいが、腐った連中に染められたらと思うと…………。メル友さん、へーきか?
「真衣は色々読みますからね」
「由紀も平気で色々読みますから…………最近、ニヤニヤしてますけど」
それは恐らく、俺を餌食にしてんだろうよ…………。
「しっかし、男同士のカップルの話なんて、何が楽しんだ?」
全く分からないんだが。つーか、疑惑をつけられた俺からしたら、はた迷惑以外の何物でもない! 百合なら理解できるけど。
「あ、ビールが空ですね、取って来ます」
晃さん、気が利く人だ。愚痴を聞いて貰って、自棄酒して、俺は気持ちがスッキリとなっていた。
「あ、すいません………ついでに空き缶片付けて来ますね」
そう、そこまでは何とも無かったんだ。だが、思い出して欲しい。ここに居るのは、酔っ払いなんだと。
「俺もトイレに………うわっ!?」
背中に衝撃を感じて、俺は床に突っ伏した。ついでに背中に重みを感じる。
「あ、大丈夫? ………っ!?」
「グェ!?」
また背中に重みが。
「たっだいま〜♪」
「お邪魔しまーす、悠斗〜、荷物多いから手伝って〜」
あ、ヤバイ。真衣と由紀が帰ってきた!? この姿勢はまずい!!
俺の嫌な予感は、外れる事なく、無情にも扉が開かれた。
「ただいま〜………」
ガチャン
パタン
一度開いた扉が閉まる。そして、また開いた時には、そこには顔が引きつった二人の女性が、此方を見ていた。
「何をしてるの? 三人重なって」
「あら……見事に重なっているわね」
「真衣……由紀……」
上の二人がよけて、俺も立ち上がる。
「大丈夫? 恭平」
流石、真衣。わかってると笑顔で答えようとしたら、とんでもない爆弾がきた。
「ねえ? 男に組み敷かれるってどんな気分?」
「ちげーよ!?」
「え? でもそう見えたけど?」
「何がだよ!? 由紀、というか、お前がそれを言うな!」
俺が叫んだら、二人は大爆笑してた。俺は二人が盛り上がっている隙に、悠斗さんと晃さんに何が起きたかを聞いた。
「すいません、足がもつれてしまって……………」
とは、悠斗さん。成る程、それで俺が下敷きか。
「助けようとしたら、椅子に足を引っ掛けたんです………」
とは、晃さん。何でこんな時に、ハプニングが起きるんだよ!?
これを聞いた二人が、またニヤリ。
「やだ〜、偶然でこれ!?」
「受けと攻めの両方って〜」
「一番体格がいい悠斗が〜!」
「悠斗が攻めとは、知らなかったわ」
「違います!!」
はぁ、俺、今年の厄が一気に来たような気がする……………。悠斗さんは、由紀から疑惑もらってるし。晃さんは、真衣からニヤニヤされてるし。
「全く………、あ! これをメル友さんに書いて貰おう☆ 名前だけ変えてさ〜」
「お〜、いいじゃない! 真衣、どうせなら色々疑惑入れてさ〜」
「いいね〜」
ノリノリの二人に、男性陣はどん引き。だが何とか俺達は声を絞りだした。
「「「勘弁してくれ!!」」」
女って怖過ぎだろっ!?
この日、どうやら俺には、人生最大のピンチが訪れたようだ…………。
俺は、俺は、ノーマルだぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!(泣)
因みに後日、真衣に聞いたら、メル友さんもソッチに理解がある人だったようだ……………。女って………………。
えー、お読み頂きまして、ありがとうございます!
お恥ずかしながら、続編を書いてしまいました………………。需要はあるのでしょうか??
前作は、とある方の言動に怒り爆発で書きましたが、今回は本来、予定になかった作品です。はい! 絶対に続きは書きませんとも!!(T_T)/ 精神をこんなにガリガリ削るなんて……………恐るべし!
では皆様、どうか楽しんで下さいませ!