そしてそれからその時に
フリーゲームとして公開したものを転載したものです
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単眼っ子がかなり好き勝手なこと言ってる意味不明系短編。
考察に任せます系ですが理解しなくていいです。
単眼っ子がかなり好き勝手なこと言ってますが理解しなくていいです。
直接的な暴力表現はありませんが、自傷行為、自殺、殺人を示唆する表現があります
純文学……? って感じですがホラーって枠でもないので
前作「それがそれでそうならば」を読んでるとさらに楽しめるよ
とりあえず、結果はノーだってさ。
まあ、現地点ではってことだし。
完全に安心はできないのさ。
でも君は喜ぶのかな?
ひどいヒトだ。そういうところは僕に似てる。
僕がこのことでどれだけ腹を痛めてると思ってるんだ。
もういいよ。どうでもいい。それでも僕は。
さて。これから話すことは。
僕がこれから人を殺さなくてはならないかもって話なんだ。
大した話じゃない。本当に大した話じゃないんだ。
僕だけが、抱えて、背負えばいいだけの話。
意味なんてわからなくていい。
なんとなく聞いてくれればいいよ。
本当のことを理解してしまったら、
僕を軽蔑せずにはいられないだろうから。
さて、僕は誰か。物語らしくそういう話から始めようか。
僕は……そうだな。
「そそそ」、この名前で行こう。この話のタイトルの略称。
僕が一人のキャラクターであることを認識すれば、
全てが画面の奥の、楽しい話として変換されるだろう。
いつだって他人の不幸は美味しいのさ。
僕だってそう。君だってそう。皆そうなんだよ。
これについては後で話してみようか。
何から話そう。
僕と言う脆弱で最低の生命体は、その存在を辺りに知らしめないとやっていけないのさ。
肥大したプライド、偏った常識、間違いだらけの正義感。
僕の心には数年前から穴が開いている。
一番わかりやすく言って「穴が開いている」んだ。
それを人は病気だと言うんだけど、それに名前を付けるのはたやすいこと。
心に穴が開く、その条件。それはなるべくしてそうなるわけで。
その穴がある地点で僕は自分を普通ではないと認めなければならない。
いや、この地点で僕は死ぬべき人間とレッテルを貼られるのさ。
病名は何でもいい。それっぽい薬とそれっぽい手帳。
この穴を埋め合わせるために僕は手段を選ばない。
薬でも、道楽でも、快楽でも、××でも。
それらに共通するのは「依存する」こと。
僕は自分で自分を保てないから必ず何かに依存するのさ。
そうだな、例えば僕は君に依存してる。
自分で自分を大切にできないから他人から大切にしてもらう。
僕は賢いから、愛想の振り方はわかるんだ。
それで君を釣った。君は僕より普通寄りの人間だが、僕と会話できる地点でちょっと危ないのかもしれない。
僕はそれを利用した。悪い奴だろう。批判されるのは今更の話だ。
僕を認識してしまっただけで、君の負けなんだ。諦めてもらいたい。
それにしても、「優しさ」ってなんだろうね。
僕はよく「優しい人」って言われるんだけど。
それは僕が丁寧に最低限の常識から言葉を選んでるだけで。
てか常識って何さ?教えておくれよ。
百通りの人間がいれば百通りの考え方があるんだ。
それなのに、そのなかから共通した認識を用意してさ。
僕は偏った意見を持たないように、いろんな人の意見を知ってきたつもりさ。
でもそれは、自分を苦しめるばかりだ。
「相手の意見を尊重しよう」
「相手が怒った時はそれなりの理由がある」
「自分が相手に怒った時は、自分に理由がある」
これは僕の常識なんだが、これのせいで僕が自分にしか怒りを向けれなくなった。
自分の自我が、とってもちっぽけなものになってしまった。
自己価値が人より低いらしい。
でも、その反面、僕はプライドが高い。
だから事あるごとに苛立ちを覚える。
その怒りがすべて自分に向くわけだから、
心に開いている穴が、僕を酷く苦しめる。
僕の腕には切り傷が残っている。
自分で切ったやつさ。
それだけ話すと狂人かと思われるんだけど。
僕は僕なりの正しい理由を持って腕を切ったんだ。
理由はざっとまとめるとこの二つ。
・心の痛みが酷すぎて、外傷でごまかしたかった。
・心の痛みを形にして残したかった。
この穴が生み出す痛みと言うのは、本当に計り知れないもので。
君は「自分は死ななければいけない」と義務感に襲われたことはないのかい?
本当に?
まあ僕はこれが時折あるんだけど、これびっくりするほどつらいんだ。
人から見たらわからないんだよ。だから見せびらかすためにも腕を切るんだ。
別に腕を切るだけじゃなくてもいいや。
処方された薬飲みまくったり、酒に逃げて嘔吐したり。
でも僕としては正しいことをしていると思ってるんだ。
「死ななかっただけ、僕は偉い子」そう信じて疑わないよ。
まあこんな成りだから結果としてうっかり死んでも構わないんだけどね(笑)
ところで僕は愛されてる。
きょうだいが一人いるんだが、そいつは会話が下手でね。
僕以上に強い自分の世界を持っていて。
僕がこの世で最低の存在だとしたら、そいつが僕の次に最低だ。
僕は良い子だから人の悪口なんて言えないが、そいつの悪口だけはたまにこぼれてしまう。
まあ親に迷惑かけてばかりのそいつみたいになりたくないと、僕はとても良い子に振る舞った。
だから、僕の周りには僕を愛してくれる人がそこそこにいる。
クズの僕としては十分な人数だろう。
だから僕を愛する人が、僕を傷付くのを見たくないと、僕の自傷行為を止めるんだ。
それっておかしくない?僕は自傷行為をしないといけない状況なのに、
それ以上に良い子を振る舞えと?鬼畜か?
僕を愛する人達は結局僕を傷つける。
良かれと思った正義感と愛情が僕を苦しめる。
さて、僕は何を間違えたのか。
僕は君を利用するために君を手に入れたのに僕は君に苦しめられてる。
君は僕の心の穴を埋めるだけの存在なのをわきまえてほしい。
しかし……きょうだいはあんなに最低な人間なのに親には愛されてるんだよな。
なんでだろう。親が子に向ける無限の愛情はどこから湧くんだ。
到底理解できない。なぜなら僕は
僕と言う人間は自分しか見えていない。
僕に限った話ではないと信じたいのだが。
人間はいくら恵まれた環境でも、どうしても悩みが生まれる。
人を羨むことは安し。しかしその人もまた何か悩んでる。
なんだっけ、どっかの宗教でもどこかの恵まれた王子様だってすごく悩んでたじゃないか。
それを理解できてない人があまりにも多すぎるのではないか?
僕を羨む人はそこそこにいるだろう。現に僕は恵まれてると思う。
だけど君が僕の立場になってごらん。あまりのつらさにすぐに自殺すると思うよ。
でも僕は自殺してない。偉い偉い。早く死なないかな。
しかしながら自殺と言うのは人間に与えられた素晴らしい選択肢だと思う。
死こそ救済だと信じて疑わないよ。赤子は生まれた悲しみに泣くのだから。
身近な人が自殺したら、気持ち程度の愛情から悲しむのだろう。
しかしながら僕は自殺しか選択肢が無かったのなら責めやしない。
「どうして私に相談してくれなかったの」などと自分勝手なことは言わない。
人は人を救えない。理解し合えない。
だから、埋め合わせるだけ。心の隙間を。お互い作られた綺麗なもので。
まあ、僕の場合心にあるのは穴だから、底なしなんだけど(笑)
しかし親の言い放った「残された人間のことを考えろ」って言葉だけは恨めしい。
わずかながら残った僕の良心が痛んで、逃げ道を塞がれてしまったのだ。
つらい。
さて、ここまで話した通り僕は最低の人間だ。
生きていくために、必要な人間を愛してるつもりで利用してる。
自殺は素敵だが他殺はダメだと思う。
妄想の中ではいくらでも殺してるけどね。
まあ妄想しすぎてそろそろ現実との境目が怪しいかな……(笑)
で、そんな他殺はダメだよと言う僕だが。
今度あれを殺すことになると思うんだ。
いやまだ断定じゃないけどさ。将来的には。
僕としてはそいつを人間として判定して良いのかわからないんだけど、
世間体としては……人間……なのかな?
法律上はセーフだけど、皆の常識や正義感からするとアウト。
あ~~~。困った。僕はこれ以上自分の価値を下げたくないから人殺しにはなりたくなかったんだが。
でも、僕だけが我慢して頑張ることで身内は平穏になれるわけだし、
何より僕が生きていくためである。
そして君が……。
いや、何でもない。僕だけが頑張ればいい。
本当にそれだけなんだけど。
僕がねちっこいから未だうじうじ悩んでる。
さて、過去の話をしよう。
「それがそれでそうならば」って言う話をちょっとだけ振り返る。
まあ大した話じゃない。別に知らなくてもいい。
あれは混乱して自分を殺しまくるだけの話だからさ。
あのネズミ達は、汚いものなんかじゃなくて、本当に美しい、僕の憧れだったんだ。
皆が羨ましかった。一番汚いのは僕だった。
さくらんぼだなんて、僕にはとても高級過ぎたね。
でも欲しかったんだ。羨ましかったんだ。
だから手に入れた。賢いふりして手に入れた。
その代償はわからない。
結局水の精霊のことは今でも嫌いだし、正直になんてなれやしない。
ひまわりだって僕に何を伝えたかったのかわからずじまい。
でも、綺麗だったと思う。僕の見てきたものは綺麗だったと思う。
この世界は自分以外のものが綺麗に見えるようになっている。
僕のひとつしかない目では正しいものなんてはじめから見えやしなかったんだ。
ああ、もう。わからなくていいや。
僕の世界は僕だけの物。
泣いても、笑っても。
魔女になりたかった。
僕に性別を問うのはおかしい話だし、
性別なんて区切りで僕を分けてほしくない。
ただ、魔女という存在になりたかった。
魔法使いにはもうなれやしないから。
悪魔の尻にキスするだけなら容易いものだと思う。
誰だって、駅のホームから飛び降りたい気持ちを抑えて生きている。
自分を良くも悪くも認められたらどんなに楽だっただろう。
これは後先考えなかった僕の罰。
死ねやしないのに死ぬ気で暴れた僕の罪。
ここまで聞いてくれてありがとう。
本当に大した話じゃなくてごめんね。
君は僕を軽蔑するかな?
それでも僕は、君のことを。
嘘みたいな、誰かの受け売りでしか物を語れない僕だけど、
一瞬でも信じてくれてありがとう。
それから、長い月日が経ち、僕の視点は切り替わる。
その時、は過ぎ去ったのだ。
「私は生きていて良いんですか?」
いいんだよ。死ぬ必要はない
「私は社会から不必要な存在です」
それでも僕は君を必要としている
「死んで消えてしまいたい」
それこそ彼女の思う壺さ
「こんなにも苦しくて仕方ないのに」
僕も死は美しいものだと思っていた
「死んでしまえば楽になれる」
でも
「狂ってしまえたらどんなに楽か」
彼女を見ているとそうとは思えないんだ
「悲しみのどん底で」
だからこそ、君には苦しみながらも生きていてもらいたい
「こんな残酷な世界で」
生きてるだけで、君は褒められるに値するんだよ?
「どうして」
どうしてだろうね 思ったより僕って残忍な存在かもしれないね
あれからどのくらいの時が経っただろう。
僕は変わった、と思う。
相変わらず未熟だけど、少しくらい変われたと信じたいんだ。
あの時の僕は死にたかった。辛くて苦しくて仕方がなかった。
いやまぁ今でも死への美徳みたいなものは感じてるし、
衝動に駆られて身を投げてしまいたい時だってあるさ。
でも、今は。生きる理由を見つけた。
お前そんなこと言ってどうせまたすぐ死にたくなるんだろって?
はは、否定しないよ。それもまた僕の歪な一部だからね。
生まれてすぐの僕は、誰かの代弁者でしかなかったんだ。
僕は僕であり僕じゃなかった。
それがそれでそうならば。これは確かに僕達の記憶なのだろう。
愛と生と死と呪い。僕達はそういうのを混ぜ合わせた
「誰かを殺さなくてはいけない」それがかつて僕に課せられた存在理由だった。
そのためだけに生まれた存在だった。そう、その時は。
それは僕を生み出した彼女が抱えきれないものの一部だった。
その時の僕の性は「不明」であり、かなり彼女に寄った存在だった。
当時の僕の発言を振り返ると、現在の僕の思考とはかなり異なる発言をしている。
あの時は、確かに死こそが理想だと信じて疑わなかった。
それだけ僕は不確定な存在だった。不安定な自分に苦しんだ。
そう、僕は、誰の心にでも静かに居座るだけのモノだったんだ。
なんだってどれだってどんな生き物だって、価値と設定は後から固まる物だ、そうだろう?
そう、僕は彼女の一部で彼女そのものであった。
だから、彼女を見捨てたのが、君であったから、僕は君を酷く憎んだ。
僕はきっと君を愛していたんだろう。
だけど今は嫌いだよ。はっきり言えるね。
彼女を苦しめているし、助けにも来ないからさ。
自分勝手だろ?ああ、そうさ。僕は人間になるべく自分勝手になろうと誓った。
僕は「両性」を有した。そして彼女とは別々の個体となった。
彼女が殺しきれない存在を殺すための、彼女の一部でしかなかった僕。
彼女の悲痛な叫びを、代わりに吐き出すだけの存在でしかなかった僕。
酷く苦しみ抜いた先には、光なんてなくて、相変わらず在るのは暗澹と阿鼻叫喚。
それでも、僕は「個」を手に入れた。
それは、きっと「生きる」ことに意味があるから。
その意味ももうわかってる。
彼女を救う事だ。
僕の一部であり僕を創った僕を苦しめた僕を生み出した
そんな彼女はついに狂気のどん底に辿り着き、他人を食い殺している。
僕は止めなければならない。
相変わらず女々しい僕ではあるが、できるだけ雄々しくあろう。
彼女は雄々しいものが苦手だからね。
僕は声をあげよう、誰かの精神世界で静かに怯えるのはもうやめだ。
いいかい?壮大なきょうだい喧嘩はとっくに始まっているのさ。
彼女を救うんだ。
方法はまだ模索中。僕はあまり頭が良くないから名案が出てこない。
殺してでも止めるべきだけど、僕を生み出すほどの力の存在に、僕が叶うわけがない。
そう、正直勝算がないのだ。
既に絶望的な状況にはあるのだけれども、こうして今僕が在るのだから、
諦めてはいけない。頑張らなくてはならない。
なんて言うと逆に心が折れそうになるので。元々僕はメンタルが脆弱なので。
もっと柔らかい言葉にしたい。
……「出来る限りのことはしよう」。
うん、このくらいでいいや。
ゆっくり、焦らず、力を蓄えていこう。
暴力では何も解決しない。会話での和解を目指そう。
生憎彼女は僕のことを嫌ってないから会話はできるみたいだし。
僕だってそりゃあ一発であいつを止める魔法でもあるなら授かりたいくらいだけどね。
でも、まあ、これでいい。
僕は僕を楽しむ。
そして昔苦しんだ僕を、「つらかったんだね、忘れないよ」と抱きしめる。
否定しない。許してやる。これは彼女が不可能なことだ。
あれもそれもこれも全て僕であり君であり彼女である。
大儀な言葉を使うなら、全てを愛している。
君が好きな言葉だっただろう?
これでいい。これでいいんだ。
僕の目は真実だけを見るために、ひとつしかないんだ。
愚かな単眼お化けの葛藤を君はどこかから見ていてくれよ。
僕の名前はそそそ。Eの旋律に奏でられた淡い夢。
この作品の略称だけでなく、これから続くであろう惨めな物語の全ての総称さ!
さあ、今日もまた
勝ちの見えない、無謀なきょうだい喧嘩と洒落込もう。