そのオオカミ、バキュラ
ギャグが限界です。
これまでも面白くはなかったと思いますがもう考えつかない。
「…消えた…?」
もののけ様がいたはずの場所には、何もない。ただ茂みが広がってるだけだった。
「八千代さん!?なんで?だって今ここに!」
突然の事態に取り乱す私。そんな私と違って、八千代さんは冷静だった。
「大丈夫だよ、さとちゃん。もののけは気まぐれだからね、きっといつか戻ってくるよ」
…そんなこと言ったって…
それよりも、さっきのは気のせいだろうか。八千代さんが、さっきのもののけ様と同じ、恐怖と悲しみが複雑に入り混じった表情を一瞬だけ見せたのはーーー。
「…さ!もうこんな時間だし、帰ろうか、さとちゃん」
ぱぁっと、いつもの八千代さんの表情に戻った。私は安心して頷き、ずっと思っていたことを口に出した。
「八千代さん。ここ、どこっすか?」
「…」
「…」
無表情のまま見つめ合うこと、数十秒。先に口を開いたのは、八千代さんだった。
「ええ!?さとちゃんも知らないの?私はてっきり知ってるのかと…」
「必死で逃げてきたんですから、わかりませんよ!八千代こそ、かっこよく現れたから知ってるんじゃないかと…」
「私は必死でさとちゃんを探してたから…」
あはは…と苦笑いする八千代さん。私は溜息をつきながら言った。
「じゃあ、仕方ない。バキュラを呼びましょう」
言い終わる前に私は小指を口に持って行った。かぷっと軽く噛み、大きく息を吸う。
ピィイイィイイイイーーーー!!!
周囲に私の口笛が響き渡った。それと同時に沢山のカラスが飛び立ち、私の前に一匹のニホンオオカミが現れた。
[何か用か?さと]
「うん、あのね実は…」
今の状況を話し終えると、バキュラは大きな溜息をついた。
[はーーーーーー……
それより皆さん!今きっと疑問に思ってますよね!ニホンオオカミって何だ。と!実はな、ニホンオオカミはまだ絶滅してないんだよ。山奥にひっそり暮らしてて、まあ普通の人間はまず気づかないだろうな。
そしてこのニホンオオカ[ちょっと待てェ!]
「…なによ」
[…なによ。じゃねえよ!いつまで溜息吐かせる気だ!?酸欠で死ぬわ!」
「それよりも今のモノマネ、もしかして私のか?二度とやめろ」
「おい!なんか扱い酷いぞ!?俺これからお前らを送ってやるんですが!?」
ギャーギャーうるさいな、相変わらず。で、話が脱線したがこのニホンオオカミは化けオオカミでな。死なないんだ。
正しく言うと、寿命が来ない。もともと100歳で死ぬこのニホンオオカミだが、こいつはなぜかもう200歳も生きてる。
本人曰く[気合い]でここまで生きてるらしい。100歳を超えると死にそうなくらいめまいがしたらしいが、そのうち一周回って元気になったらしい。
まあ長い説明はこれくらいにして…
「家までよろしく!バキュラ!」
「たのむよ」
[…わーったよ!そのかわり、肉喰わせろよ?」
大きな遠吠えと共に、バキュラは私の家に向かって走り出した。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
ニホンオオカミのバキュラは体長約2メートルです!でかいね!