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第二話:父親の裏切り。

「お父さん。食堂はどこなの」恵太はいった。


「もうお兄ちゃんたら、食いしん坊なんだから」貴子は恵太をたしなめた。


「ふたりとも、ちょっとだけお父さんの研究室にこないか」


「いいけど。父さん、なにかあるの」


「ちょっとな……」正樹はいった。


※※※


正樹の研究室の中に入った恵太と貴子は、研究室のゴミの山を見た。


「ふたりがくるから、助手に掃除させたのがマチガイだったな」正樹は落胆していた。


恵太と貴子は、研究室のゴミの山を見てた。

ゴミの山からはいろいろ変わったものがでてきた。

コーヒーカップの底にスプーンがたてに突き刺さっているものが多数。裏がえしになっているテレビやパソコンや携帯電話。

これらは、人が作ってできるものではなかった。

そんなヘンなゴミの山を見て、恵太は背筋につめたいものがはしった。


「父さん、これなに……」

「ああこれか。転送装置の実験で失敗したやつだ。でも、この失敗の山から改良を重ねて、あとすこしで転送装置が完成する」


「お父さん、おめでとう」

「ありがとう貴子」正樹はいった。正樹は、おおきな布に包まれたものに近づいた。そして布を取ると、中からでてきたものは、転送装置だった。


「これが、私が作った新しい転送装置。どうだ美しいだろう」


正樹は自慢げにいった。

恵太は、その装置はとてもイヤな感じだった。

「でも、まだ最後のテストがのこっている」


「最後のテスト……、父さん、それってまさか……」恵太はイヤな予感がした。

「そうだ。お前たち兄妹がはいるのだ。貴子、そんな不安げな表情をお父さんにみせるな」


「だってお父さん、あのゴミの山みたいになったら……」貴子はいった。


「なんだ。そんなことか。大丈夫だ。人では一回だけしたが、成功した」

「イヤだ。オレと貴子はそんなモノに入らない」

「お父さんのいうことを聞かないなんて、わがままになって」正樹は、ポケットからピストルみたいなのをだした。恵太はオモチャだと思った。正樹はピストルを撃った。弾はゴミの山に当たった。


「はやく中に入った」正樹はいった。恵太と貴子は、嫌々ながら転送装置の中に入った。 

「まちなさい正樹博士。いったい、なにをしようとしているの」和歌子と研究所の職員たちが、正樹の研究室に入ってきた。


「これは和歌子所長。ちょうど、転送装置による実験をはじめようと……」


「正樹博士、はやくやめなさい」和歌子はいった。職員たちは正樹を取りかこんだ。


「どうしたのですか。私がなにかしましたか」


「正樹博士。あなたにスパイ容疑がかかっています」職員のひとりがいった。


「そうですか……。バレちゃしかたがない」正樹は、和歌子のところにきた。


「正樹博士、なにをするのです」


「和歌子所長、心配しなくて大丈夫だから。ちょっとあなたに人質になってもらうだけです」正樹は、和歌子に近づいて、ピストルで和歌子をおどした。


「和歌子所長に職員のみなさん。私が作った転送装置の成果を、私の子供たちといっしょにお見せしましょう」


正樹は転送装置のスイッチを押した。

転送装置の中に入れられた恵太と貴子は、転送装置のドアを叩いていた。和歌子は、正樹の手をどけようとしてふたりを助けようとした。


「和歌子所長、そうはさせませんよ」正樹と和歌子は揉みあいになっていた。その拍子に、正樹のもっていたピストルが撃たれ、弾が転送装置に当たった。

転送装置の調子がおかしくなった。


「うわー」


「タスケテー」


恵太と貴子の悲鳴が、転送装置のなかから聞こえた。 

※※※


恵太と貴子は、転送装置の中にはいなかった。


「はやくもうひとつの装置を見て」和歌子はいった。職員たちが、すこし離れたところにあった転送装置を見つけた。中からは、恵太と貴子が倒れていた。


「ふたりは気をうしなっただけです」職員のひとりがいった。


「はやく病院へ連れていきなさい」和歌子はふたりが運ばれるのを見た。


「これで実験が成功しました」


「あなたを告訴します」和歌子は正樹にいった。


「それはできません。なぜなら、私はここを出ますので」正樹は和歌子を押しのけると、ピストルを向けたまま研究室の隅のほうにきた。そこにあったのは、さっきあった転送装置がひとつだけあった。


「いまの実験を見て、複数の人間が転送できることが証明することが出来ましたから和歌子所長に職員のみなさん。私が消えたら、みなさんにパイナップルをさしあげますので。ではさようなら」正樹は消えた。


「所長、なんで果物なんか送るといったのです」


「みんなはやく、この研究室から出て」和歌子は職員たちにいった。


「どうしてです。たかがパイナップルでしょ……」


「あれがいったパイナップルは、果物なんかでなく手榴弾のことよ。形がパイナップルに似ているからそういうのよ」


和歌子たちは研究室から出た直後、研究室は大音響とともに吹っ飛んでいった。 

※※※


このことが、恵太と貴子の人生が変わるとは、知るよしもなかった。

第二話をお届けしました。まだはじまったばかりですが、よろしくお願いします。

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