ドリームランドの扉の鍵Ⅲ
「これより第九三回緊急義妹会議~兄を思う会~を開催します!今回議長は私、麻貴が務めさせてもらいます」
「「「「お~」」」」
麻貴の部屋に置かれた簡易式のコタツで麻貴を除いた義妹たちはそれぞれリラックスした状態で麻貴の声にこたえた。
「なんでそんなやる気がないの!」
「だってさ~」
面倒くさそうに葵が手をあげて発言した。
「あのにぃにだよ?誘うといってもどうせお母さんにあげるとかじゃないの?」
「そうですよ。そもそもあの妹想いなお兄さまが私たちに不平等になるようなことをするなんて考えられませんの」
葵の言葉に棒アイスを頬張る茉奈が続いた。
「てか、なんで夏なのにいまだにコタツが出てんだ?」
「そうね。いい加減片付けなさい麻貴」
「香菜に絢お姉ちゃんも今はそんなことはどうでもいいの!」
「あ、ごまかした」
「ご、ごほん。話は戻るけど…この声を聞いてもまだその態度を保ってられる?」
そう言って麻貴が取り出したのは一つの音声レコーダー。
「ぽちっとな!!」
麻貴の変な掛け声とともに音声が再生され始めた。
『どう…かな。さっそくばれ……し』
「ノイズばっかりで聞こえませんの」
「しー。少しずつ良くなるから」
『…誘うにしてもどうやって言おうかな?なんか緊張してきた』
「なんかデートのお誘い前の台詞みたいね…」
「アオちゃんもそう思う?問題はここからなんだけどさ」
『恥ずかしいけど男としてちゃんと言わなきゃな。あいつ喜んでくれるかな。他の義妹たちにはなんか申し訳ないけどな』
ブツン
そこの音とともに音声は切れた。
「「「「………………………」」」」
義妹の中で重い沈黙が流れる。
「今回の議題はだれがちぃ兄誘われるかです」
その言葉に義妹たちの目は鋭い眼光を放った。




