闇夜を飾る純愛のオーロラⅩⅩⅡ
あれはたしか俺―前園敏樹がまだ小学校に上がる前だった。
やんちゃしたい時期で、親父がつけていたボディーガードなんかをまいて、よく空き地とかに遊びに行っていた。
ある日、渡良瀬のおじさんが俺より二つも下の女の子を連れてきた。
そう、それが怜央だ。
名前はだけは聞いていたが、なんていうか驚いた。
だって男だと思ってたんだよ。
まさか、こんなに華奢な女の子だとちっとも考えていなかった。
にしても、本当に人形みたいに可愛かった。
なんか渡良瀬のおじさんが海外に出張とかで家で預かることになったらしい。
俺と怜央はすぐ仲良くなった。
年が近いってこともあったからかな。
ある夏の日だった。
俺は怜央を連れて、家を出て、空き地に遊びに来ていた。
もちろん、見張りはまいて。
「ねぇねぇ、おにいさま?勝手に外でてきちゃって」
「いいんだよ。いつもしてるし。それより、ほら。見てみろよ」
そこには透明な白い石が。
怜央はぱっーと笑顔を咲かした。
「すごいきれい」
「だろだろ?なんならひと…」
一瞬にして俺の世界は暗転する。
激痛と目眩が俺を襲う。
血が視界を一瞬にして、世界を赤くする。
男が気持ちの悪い下種じみた笑みを浮かべていた。
妙に頭がさえていた。
自分の置かれている状況がすぐに分かった。
怜央はどこだ?
怜央の方に目をうつすと彼女は泣いていた。
大丈夫だ。
そう言いたかった。
でも、声はかすれた息として虚しさを置いて行くだけだった。
なんとか彼女を安心させようと必死に手を伸ばした。
あと、ちょっと。
そう思った瞬間、怜央が転がった。
泣き声にいらついた男が彼女を殴ったのだ。
意識が一瞬にして煮えたぎる。
俺は渾身の突進を男に決める。
不意打ちだったのが功をそうして、男をなんとか転ばせることができた。
俺は泣きじゃくる怜央の上に覆いかぶさるように倒れた。
「てめぇ!」
怒り狂った男が近くにあった鉄パイプで俺を殴りつける。
でも、俺はただ微笑んだ。
怜央を不安にしない為に。
そして、俺は一言…たった一言を呟いた。
「大丈夫」
そこで俺の意識は飛んだ。
その後、俺らは3時間後に警察によって救出されたらしい。
俺と怜央は一週間、同じ病室で過ごした。
毎日、包帯を巻いた痛々しい彼女の顔を見て過ごした。
でも、怜央は言うんだ
「おにいさま、かっこよかった」
って
かっこいいわけないだろ
俺のせいで怜央は怪我をしたんだ。
おれが弱いせいで、怜央は泣いたんだ。
俺が無責任に彼女を連れだしたから、怜央はこんな不運なめにあったのだ。
俺が彼女を思ったから、いけなかったのだ。
だから、俺は決めたんだ。
もう彼女を泣かせない。
「怜央……大好きだった
そのためなら俺の想いだって消してやるって。




