闇夜を飾る純愛のオーロラⅩⅧ
「…ってことをあの千尋が言ってたんたぜ?驚きだろ」
「な、なな、なぁっ!」
敏樹から教えられた千尋の心からの想いを聞いた渚は顔を真っ赤にしていた。
凰華の名前が一緒に出たのは多少納得いかなかったがそれよりも千尋が少なくとも自分を意識していることが心から嬉しかった。
「千尋もやっと周りの女に興味を持ち始めたんだと思うぞ」
「お、おんな……」
敏樹の一言に余計に顔を赤くする渚。
敏樹は面白そうな表情で渚を見ていた。
「で、でも!なんで急にあいつがそんなことを。しかも…僕なんかに」
「そりゃあ渚ちゃんは可愛いからね」
「ふざけたことをほざく口は殴れば治るか?」
「ありゃ~ここは冷静なのね」
敏樹は苦笑した。
額には冷や汗を浮かべている。
多少、敏樹のふざけた台詞で冷静になってるとは言え、千尋の言葉の影響かまだ顔が赤い。
この状態でこれ以上ふざけると言葉通りの行動に出かねない。
流石の男でも渚の一発は恐いのだ。
なんせ女子生徒を不良集団のボスから助けるために気絶するまで殴った結果謹慎になったことだ。
この不安定状態での一発は命にかかわる。
「どうした。顔色が悪いぞ」
「う、ううん!そんなことないさ!それより何の話だっけ?」
「あ、あいつがなんで急にそんなことを言ったかだ…」
「そりゃあ、やっぱりあれがあったからでしょ」
「あれってなんだ」
「え、妹さんとのあの件だよ」
「?何だそれは。僕は知らないぞ」
「あれ、妹さんの件知らないんだっけ?」
「だから、何の話だ」
「実はかくかくシカジカで…」
ここで敏樹が伝えた事実がこの先にどう転ぶかは神のみが知る采配だった。




