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絶対妹大戦  作者: 長門葵
10章~闇夜を飾る純愛のオーロラ~
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闇夜を飾る純愛のオーロラⅧ

「俺と付き合ってくれ!!」


「はぁ?」


千尋は突然の申し込みに素頓狂な声をだしてしまう。


だが、先ほどから敏樹の醸し出す雰囲気は真剣そのもので、そんなやつの口から出てきたお願いそんなことなんて理解できるわけもない。


「ま、前園くん!!何を言ってるんですか!!」


「そうだよ!!いくらにぃにがかわいくて優しい人だからって男だよ?」


「そもそも、私たちがいます。前園さんになんかお兄さまは渡しません!!」


「お、久々の登場だなまな。今までどこにいたんだ?」


「お兄さまが可愛すぎて失神してただけですわ!!」


「そうか・・・・・・」


その一言だけで五女の未来がとてつもなく心配になってきた千尋だった。


「って、そうじゃない」


首をふり、もう一度自分の親友を見る。


その男は妹たちの声にも微動だにせず、ただ必死に頭を下げるだけだった。


千尋は小さく息を吐き、一歩前に出た。


「やってもいい」


「ちょっ、お兄ちゃん!?」

「にぃに!?」

「お兄さま!?」


「ほ、本当か?」


敏樹はほっとしたような顔を見せた。


「ただし、条件がある」


その声に敏樹の表情はまた数学の賞金問題と向き合う教授のような気難しいものになった。


「・・・わかった。なんでも言ってくれ」


その声にはピンと張られた緊張感が感じられ、死ねと言われたら実行しかねないのではと思えるほどの忠実性を感じる威圧感がある。

千尋はウィッグで長くなった茶色の髪の毛をかきあげため息まじりのあとの言葉をつづけた。



「お前が俺に嘘をついてまでこんな事をした理由を包み隠さず全て吐け。それが俺のだす唯一の条件だ」



いい終わると千尋の顔には小さな笑みがあった。


敏樹も最初は呆けた顔をしていたが、すぐに頭をかきながら苦笑をうかべていた。


「お前には叶わないな。敵でなくて本当に良かった」

「それはこっちの台詞だ。それに何年お前の親友やってると思ってんだ。すぐにわかったさ」


2人して笑い出した。


そこにいた妹たちは不思議そうにそんな2人を見た。

「で、理由は?」


「・・・・・・」


敏樹は少し迷ったような素振りをみせたが苦笑とともに重い口を開けた。


「今日のパーティー・・・建て前では穂江田産業との協定を祝してってことになってるんだか・・・親の狙いというか、パーティーの本当の意味は全く別なんだ」


「というと?」


「お見合いだ」


「なるほど」


千尋は納得したように頷くが、絢は理解できないと首を傾げた。


「それで、なんでちぃくんと前園さんと付き合うことになるんですか」


「いやぁ・・・・・・ね。俺は、まだ学生で婚約者とかはまだ早いと思うんよ。まだ、千尋たちと馬鹿していたいんだ」


「??」


その説明を聞いても疑問符を頭の上にうかべ、ちんぷんかんぷんな顔をしている絢に敏樹のかわり千尋が言葉をつづける。


「前園はその婚約の話を破棄するために彼女がいるとでも言ったのか、もしくは言うのか。どちらにせよ彼女役が必要だった。それを頼むには前園の家の事情を知っていることが必須条件だ。渚に頼むにはそのへんの説明がいるし、無愛想なところがあるから難しいと考えたんだろう」


「む、無愛想とは失礼な」


「そしたら、私たちでもいいじゃないの」


「お前たちは前園の両親に知られてる。だから嘘をつき続けるのにはいささか難しくなる。それにそんなこと俺と親父が許さない」


「・・・ですが」


「まぁ、今日1日だけだから千尋を貸してよ」


納得いかない表情をつくる絢だったが、兄の苦笑をみてため息をつく。


「1日だけですよ」


そう言い残し、高級車の中に戻っていった。


まなや葵もその後に続いた。


「じゃあ、頼むわ。親友」


「あとで飯でも奢れよ」


拳を軽くぶつけ合い、二人は車に乗り込んだ

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