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絶対妹大戦  作者: 長門葵
10章~闇夜を飾る純愛のオーロラ~
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闇夜を飾る純愛のオーロラⅥ


間宮家から出発するのに渚に色々な説明をしたり、妹たちが何台目に乗るかなどで少々手間取ったが全員が無事に目的地に向かっていた。


かなりの言い争いとなった席順だが一台目に英司とその仕事仲間が。


二台目には詠子と麻貴、香奈、そして前園家専属メイドが数名。


三台目に千尋をはじめその他メンバー


残り二台に他の使用人がのっている。


「にしても・・・僕にはまだ信じらんない」


渚は呆けた顔をして目の前の出来事を再確認している。


千尋もつられて苦笑いをうかべた。


「俺も最初は信じられなかたったよ」


「まぁ、それが現実だから仕方ないさ、鬼ヶ島ちゃん」


「お前は他人ごとのように言うな?」


「まぁ、実際他人ごとだし・・・ね」


敏樹はわざとらしく肩をすくめ、「あはぁ〜」とアメリカンコメディに出来そうなセリフを口にした。


「ま、前園さん」


千尋と共に高級車に乗車していた絢、葵、まなが敏樹に近づく。


「あの件はどうなっているんですか?」


「ああ、大丈夫。問題はないよ」


敏樹が千尋に意味深な目線を送る。


千尋はそんな視線に気付くことなく、妹たちが敏樹と何を内密に話しているのかを必死に聞き耳をたてて、盗み聞こうとしていた。


「この様子だとバレることもなさそうだしね」


相も変わらずにやにやとしてい敏樹に渚が声をかける。


「おい、前園。なんでこの車だけ違う道を走ってるんだ?」


その疑問が渚の口からでたときに何故か妹たちがいの一番で反応した。


敏樹は相も変わらずにやにやしているが、千尋は妹たちのその反応が気になり、少し強めの口調で敏樹に言い寄った。


「なんか嫌な予感がするんだが・・・これはどういうことだ?」


どすのきいた千尋の声に妹たちはびくっとして縮こまったが、敏樹は平然とした顔つきのままだった。


「なに。簡単な話だよ。千尋は一応ビジネスパートナー的な立場で出席してもらうんだ。そのための着替えをしてもらうだけだよん?」


「聞いてないんだが」


「言ってないもん」


疑いが晴れない表情で次に絢を見た。


「・・・絢」


「・・・はい」


「前園が言ってることは本当なのか」


「えぇーと・・・」


しどろもどろしている絢にたたみかけるように千尋が一言


「お兄ちゃんはうそをつくこは嫌いだな」


「うっ!」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


二人の間に無言の時が流れる。


「前園さんが言ってることは本当だよ」


ふたりの沈黙を破ったのは二人の声ではなく、絢の隣に座る葵のものだった。


「本当に?」


「本当に」


千尋は葵のはっきりとした発言に負けたようでため息をつきながらも「わかったよ。信じるよ」といいながらシートに倒れるように背中を預けた。


妹たちはほっと胸を下ろす。


渚が千尋に近づき、小さな声でつぶやく。


「どうみてもあの態度は何かあるだろ」


「そう思うか?」


「ああ、間違いないとおもうぞ」


「だけど、あれ以上は強く聞けないしな。絢なんて泣き出しそうだったし。葵が何にもないってんなら信じなきゃな」


「いつも思うが、お前は妹さんたちに対して甘々だな」


「そうか?確かに俺は兄として出来ることはすべて出来るよう努力してきたが、兄として当たり前のことだろ?」


渚は呆れたようにため息をついた。


千尋はその態度に大きな疑問符を頭にうかべながら、首をひねる。


「お、もうそろそろつくよ〜」


そんな敏樹の間の抜けた声と同時に車は静かに停車した。


「はいはい、降りて降りて」


半分敏樹に押し出されるような形で千尋は車からおりた。


車を降りて千尋の目に入ってきたのは意味も理解できないものだった。


なぜかグラウンドの中央にある巨大な試着室。


その隣に並ぶメイドたち。


まぁ、そこまではいいとする。


グラウンドの中央にある時点でおかしいと言うツッコミは前園敏樹の人間性から考えて、なしという方向にするとしても、千尋にはどうも納得いかないものが並んでいた。







なぜかメイドたちのうしろに準備してあるのがどれもドレスだった。




「な、なんだ?」


あまりのメイドとドレスの数に蹴落とされ、千尋が後込みしていると敏樹がにやついて肩を軽く叩く。


「これ、全部、お前の着替えだから」


「は?ふざけん・・・」


「連行してください」


「はっ!!」


敏樹が指をならすと絢と葵が千尋の腕を拘束する。


「お前ら!!ぐるだったのか!!」


「てへっ」


「だけど、嘘はついてないでしょにぃに?」


「ここまで来て男らしくありませんわ。お兄さま」


そんなことをいうまなの手には化粧セットとトランクからはみ出るぐらいのドレスが


「ささ、いこう」


「レッツゴー」


「やめろぉぉぉぉおぉおぉぉぉおぉぉおぉぉぉおぉおぉぉぉおぉぉおぉぉぉおぉおぉぉぉおぉぉおぉ」


千尋の絶叫は夜空のグラウンドによく響いた。

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