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絶対妹大戦  作者: 長門葵
10章~闇夜を飾る純愛のオーロラ~
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闇夜を飾る純愛のオーロラⅣ

パーティー当日。


「なんか・・・いつの間にかこんな大所帯になったんだい?」


「・・・・・・すまん」


千尋が頭をかきながら率直な言葉を吐き出す。


目の前には間宮家だけではなく英司の同僚数名、そして渚が加わっていた。


「まぁいいけどさ」


「すいません、前園くん」


絢が純白に彩られたドレスに身を包んで、2人の前に現れた。


「いやいや、本当に大丈夫だって」


笑いながら敏樹が首をふる。


「でも、こんな大人数・・・どうするんだ?」


「ん、ちょっと待ってて」


そう言って敏樹は携帯をおもむろに取り出し、どこかに電話をかけていた。


「・・・うん。

・・・をあと二台くらい・・・そう・・・。・・・が文句?・・・して黙らしておいて。・・・ありがとう」


何か不穏なやりとりが聞こえた気がしてならなかったが、そこは大人の対応。


「何も聞こえなかった」


千尋はそう言ってみんなの話の中に戻っていった。


そこへ敏樹もすぐに戻ってきた。


「大丈夫そうだよ」


「そうか、苦労かけるな。主に親父が」


「いいって。こっちから言い出した事だしね。それよりさ・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


二人の視線の先には電柱に隠れたり、顔を出してこちらの様子をうかがったりと忙しい人影があった。


「鬼ヶ島ちゃんは何をしとるのかな?」


「まぁ、思春期の女子の悩みってとこだろ」


「ああ、着てるドレスが自分のいつものイメージと違いすぎて恥ずかひでふっ!!!」


突然、音速(ぐらいに感じるはやさ)で突進をかましてきたヒールがみごとに敏樹の顔を捉えた。


「う、うるしゃい!!!」


顔だけを電柱から見せる渚が顔を真っ赤にして吠える。


敏樹はピクピクと震えながら地面に転がっていた。


千尋はそんな二人を交互に見て、それから深いため息をついた。


「まったく」


千尋は近くに転がっていたヒールを手に取り、渚の元まで歩いていく。


「こ、こっちに来るな!!」

「うるさい。せっかくのヒールを投げ出してケンケンしてるような女子は黙って靴を履きなさい」


そう言って千尋は渚にヒールをさしだす。


「あ、ありがとう」


渚は千尋からヒールを奪うように受け取り、足を通す。


「で、なんで隠れてるんだよ。せっかくのドレス姿なんだから見せてくれよ」


「・・・てないから」


「へ?」


「似合ってないからだ!!」


渚が顔を真っ赤にして噛みつくように吠える。


千尋は一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに大笑いした。


「なに笑ってるんだ!!」


「だ、だってさ・・・ははは」


「ふん、どうせいいんだ。僕になんてどうせこんな洒落たものは似合わない。それぐらい自覚している」


渚は少し悲しそうに顔を下げた。


千尋は笑いながら渚の手を引く。


急の事で渚も反応出来ず、なされるがまま前にでた。


そこは電柱につけられたらライトの下で、そこには黒猫のように見ているだけで吸い込まれそうな妖艶な黒いドレスを身に纏った渚の姿があった。


「こんなに綺麗なんだ人に見せない方が損だ」


千尋はふざけ口調でそんなセリフを吐き、片膝をつき頭をたらす。


「黒き鎧を纏いしお姫様。今宵は私とダンスに行ってくれませんか?」


「ぷっ」

渚は口を片手で抑えながらも、小さく笑った。


「なんだよ。せっかくカッコつけたのに」


「だって、お前・・・そのせりふは流石に臭いぞ」


「うるせぇ。で、答えは?」


渚は微笑みながら、千尋の手をとった。


「喜んで」

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