闇夜を飾る純愛のオーロラ
「頼む!!」
「断る!!」
平日の昼休み。
のほほんとした雰囲気の教室に響くふたりの声。
教室中の視線が二人に集まる。
そこには頭を地面につけ願いを申し出る敏樹とそれを見ながら長女お手製の昼食を食べる千尋の姿があった。
「本気と書いてマジと読むぐらいマジでたのむ。いや、頼みます!!」
「だから、その頼む内容を言ってみろ」
「・・・・・・言ったら絶対、お前受けてくれない」
「そんなもんに、良いだろうなんて言えるか、ボケ」
「そんな!?俺ら親友だろ?」
「今まで楽しかったよ・・・前園くん」
「急に素っ気なさすぎるよ!!」
そんな感じでこの二人の大声による話し合いはクラスメートの耳を総出させながらも続いた。
過半数のクラスメートたちがまたあいつ等か、みたいな雰囲気を醸し出しながら耳を傾け、食事をしている。
クラスメートの一人がそんな二人にいい加減嫌気がさしたのか、イライラを体現する足音を引き連れ二人に近づく。
「お前ら、うるさい」
「あぁ、鬼ヶ島。ごめん。声が大きかったかな?」
「全くだ。あと、僕のことは名前で呼べと言ったろ」
「ご、ごめん。久々の登場だったから」
「ん?久々?何を言ってるのか意味が分からんが何かむかっとくるぞ」
「それより聞いてよ、久々に登場した鬼ちゃん」
「久々とか言うな!!」
渚のとんでもスピードの蹴りが敏樹を廊下まで吹き飛ばす。
「ん、ごほん。で、おまえ等はさっきから何を言い合ってるんだ?」
「それが前園が意味の分からないことを・・・」
「意味不明じゃないだろ。ただお願いしてるだけじゃん。鬼ちゃんからも頼んでよ!!」
「こいつが意味不明なクズなのは今に始まったことじゃないだろ。あと、キモいからその呼び方はよせ」
「まぁ、そこは置いといて。頼む!マジで困ってるんだよ」
「だから、内容をはなせよ」
「ん?なんだ、このクズは内容も話さず頼んでいたのか?クズだな」
「鬼ちゃん・・・さっきから言葉の途中途中がグサグサ心に刺さるんだけど」
「うるさい、クズ」
「千尋ぉ、鬼ヶ島ちゃんがいじめるぅ〜」
「いや、一方的にお前が悪いと思うぞ」
「まぁ、冗談はこのぐらいにして・・・おい、ク・・・前園。頼み事内容を言ってみろ」
「クズって言いかけたよ!?」
「何かの聞き間違いだ。それより早く言え」
「うぅ〜・・・言ったら千尋はお願い聞いてくれるかい?」
「まぁ、内容によるな」
「そのお願い事ってのは・・・」
「願い事とは?」
ごくり
千尋と渚以外の息を飲む音が聞こえる。
噂好きなクラスメートたちが必死に聞き耳をたてている証拠だろう。
千尋がそんなクラスメートに呆れるさなか、敏樹が重たい口を開く。
「一緒にパーティーに出席して欲しい」




