料理が火を噴くバトルロワイヤルⅩⅢ
「それは・・・・・・」
沈黙がリビングに広がる。
妹たちの息を飲む音がはっきりと聞こえた。
それは千尋が誰と遊園地というなのユートピアに行きたいかを決める一言だ。
「勝者は――」
「「「「「勝者は?」」」」」
「――――無し!!」
またもや沈黙が部屋を独占する。
だが、先程までの緊張感はなく、呆れたようなため息が飛び交う。
「にぃに・・・そりゃ無いわ」
「ちぃくんがそこまでバカだったなんて私悲しいわ」
「ヘタレ」
「べ、別に選んでくれなくても香奈は泣かないぞ?だから、遠慮なく言ってくれ」
「お兄様・・・・・・コメントのしようがございません」
香奈以外の罵倒を千尋はかるくいなし、話を続けた。
「俺がこんな結果を出したのはさ、理由があるんだよ」
「「「「「理由?」」」」」
「この料理はどれも美味しかったし、確かに勝敗はつけがたい。だけど、そんな無粋な理由で引き分けにしたわけじゃない」
「じゃ、じゃあ何で・・・」
「お前たちの気持ちが詰まってたから」
「へ?」
妹たちはお互いの顔を見ながら首を傾げる。
千尋は苦笑いをうかべなからも話を続けた。
「この料理一つ一つには俺のためを考えていろんな試行錯誤がされてる。その気持ちに順位をつけることなんて俺には出来なかったんだ」
「・・・にぃに」
妹たちは兄の言葉に感動して、その余韻にしたっていた。
これでめでたく終わると千尋は思っていた。
だが、そこには仕掛けても無いのに起動する爆弾があった事を千尋は忘れていた。
前園敏樹。
彼の一言で間宮家はまた戦場へとなるのだった。




