料理が火を噴くバトルロワイヤルⅩⅠ
「うん・・・美味しい」
その一言で葵の顔にさらに明るい輝きが光った。
「で、でも・・・アオお姉さまのは料理と呼べますの?」
まながおどおどそんな事を言い出した。
その顔色から自分の料理が審査されなかったことに不満をもち、その道連れをつくろうとしていることが伺えた。
「そうや!それは確かに美味そうやけど料理とはちゃうんやないん!!」
何故か、関西弁で麻貴が追い討ちをかける。
「・・・君達は決定的な事を見逃している」
千尋がテーブルに両肘をつき、小学生くらいの子供に眠らされて事件を解決している某探偵風な口調でしゃべり始めた。
「君たちは確か、葵さんが料理に取りかかった後から調理場に入ったはずだ」
「そや、それがどないしたん?」
「なのに、君たちの方が仕上がるのが早かった・・・。これはすくならからず葵さんが料理をしていたからだ!!」
「っ!!」
「で、ですが!それはタイミングを計ったと言う事じゃないんですの!!」
「ふむ。確かにそうではないとは言い切れませんね」
「ほら、みぃ・・・」
「今の時点では!ですがね」
「「な、何だって!!」」
「調理場をみてください」
その声に従い、二人の視線が調理場に向く。
「葵さんが使っていた所には鍋、ミキサー、そしてまだ温かさの残るオーブンがあります」
「そ、それがどないしたんや!!」
「中を順々に見てください。鍋の中にはプリンのために作られたカラメルソースが。ミキサーにはアイスとソースに使われたフルーツが。そしてオーブンにはトウモロコシから作られたあまりのコーンフレイクが残っているはずだ!!」
「千尋警部!3つとも現場から発見できました!」
「さて、お二人さん。これでも葵さんが料理をしてないと」
その言葉に麻貴とまなはうなだれ、手をあげて言った。
「「降参です」」
パチパチ
音のした方を見ると香奈と絢が拍手をこちらに向けていた。
だが、2人の反応は正反対だった。
香奈は本当に楽しかったらしく目を爛々と輝かせながら、千尋たちを見ているのに対し、絢はゴミだめのゴキブリでも見るかのような目をしていた。
「あ、あの・・・絢さん?」
「終わった?」
「「「はい!すいませんでした!!」」」
三人同時に土下座をするのだった。




