料理が火を噴くバトルロワイヤルⅦ
「さて、後半戦の始まりです」
「なぁ、前園実況や」
「ハイ、なんでしょう!!」
「後半戦って何のことだ?しかも、さっきからお前は誰に話しかけている」
「そんなの読者の皆さんに決まってるでしょう!!こんなに間をあけて作者は何を考えているのやら。そのためにも前置きをしてやってんたんだ、てやんでい!!」
「意味がわからねえよ!!作者だって色々あるんだろ。俺らがそれを言い始めたら終わりだろ」
「さて、体育会系の二人の極ウマカレーをいただいた後ですが、次はだれの料理が姿を現すのでしょうか」
敏樹は千尋の言葉を軽くかわし、実況に戻った。
千尋もため息をつきながらもミニディスプレイに目を戻す。
「さて、私としては絢選手が一番に仕上げてくると思っていたんですが、少し時間がかかっているようですね」
「まぁ、料理は時間をかければ旨みが出てくるものが多いからな。そこらへんも考慮してのことだと思うぞ」
「ほう…。では料理に時間をかけることが大切だと?」
「いや、そうでもないと思うけどな」
「では、千尋さんにとって一番大切なことは?」
「愛かな…?」
その一言と同時に画面が真っ赤に染まる。
驚いてそちらを見ると、妹たちが鼻を押さえていた。
どうやら鼻血を噴き出したらしい。
千尋がティッシュを片手にキッチンに駆け込む。
「ど、どうした?大丈夫か?」
「だ、だいひょうふ。だから、むこうにひってて」
「そ、そうか」
千尋がティッシュを絢に預けてリビングに帰ってくると敏樹がニヤニヤと笑っていた。
「なんだよ…気持ち悪い」
「いやはや、面白くてな」
「……それより、料理の方は?」
「うん?もう違うカメラで見れるよ」
「……そうか」
自分の家の個人情報の安全性について一度しっかり見直す必要がありそうだ。
そんなことを考えているとディスプレイが点滅した。
「出来た!!」
その声と同時にリビングの空気は一瞬にして激変した。
そこにはゴスロリ服を鼻血で真っ赤にした茉奈の姿が。
そして、その手には真っ黒なフルコース。
千尋と敏樹の唾を飲み込む音が妙にはっきり聞こえた。




