料理が火を噴くバトルロワイヤルⅥ
ここは間宮家のキッチン
この神聖な舞台を背に立ちあがった五人の女性
自分の腕に全てをかけ、今日、その五人が競う
その名も――
「男の胃袋を手につかめ!?第一回チキチキお兄ちゃんのためなんだからね?料理対決ぅ!!」
どんどんパフパフ!!
敏樹がひとりでにリビングでクラッカーやラッパを鳴らし、盛り上がってた。
「さて、今回の料理対決を実況します、自称、皆の耳の恋人、前園敏樹です!!よろしく(O_<)-☆。さて、さっそくゲストの紹介です。今日の解説&判定をしてくれます、間宮家長男、間宮千尋さんです」
「はぁ……よろしく」
「どうしました?元気がないですよ!!」
「いや、いきなりすぎて頭がついていってないだけだ。で、まずはじめにお前はいつ来た?」
「ん?ついさっき。麻貴ちゃんからメールが来てさ。なんか面白そうだなって思って走ってきたぜ!!」
「そうっすか」
「まぁ、とりあえず納得いってもらったとこで今回の勝負のルールの紹介をさせていただきます。なに、簡単なことです。この家にある食材を使ってお兄ちゃんのために愛のこもった朝食を作っていただきます」
そこで、冷蔵庫から出された数多の食材が妹たちの前に並べられる。
千尋はそれを見て溜息をついた。
「もったいねぇ。これ今日中に全部食べなきゃ……明日どうすんだよ」
「そう後ろ向きに考えんなよ。それにお前、妹さんがお兄ちゃんのために心をこめて料理を作ってくれるってんだ。嬉しくねえのか?」
「そ、そりゃ………嬉しくないわけないだろ」
千尋はうつむきながら恥ずかしそうに顔を赤らめぼそっと言った。
パシャッ!!
その機械音とフラッシュが千尋を襲う。
「ツンデレいただきましたぁ」
敏樹はにやけながら一眼レフカメラを掲げ、その液晶画面を千尋に見せる。
「なぁ、お、おまっ、消せ!!」
千尋は顔を真っ赤にしながらそれを奪おうとするが敏樹はそれを軽々と足でいなす。
「いいよ、いいよ。良い顔でねぇ。お、その表情もらい」
「よせ、消せ!!今すぐ消せ!!」
「お、お前、あ、あぶね!!」
敏樹がリビングにある絨毯に足を取られ転んだ拍子に首からカメラを奪い取る。
そして、すぐにカメラに収められた写真を消していく。
「ふぅ、これでよし」
「ふふふ」
「何がおかしい」
「だってさ、千尋さん。俺がそんなバカな真似をすると?」
「な…何だと?」
「撮ったらすぐに家のパソコンにデータは保存されるようになってる」
「おまえぇぇぇえぇぇぇぇえ」
「あは、あははは」
千尋に襟元を掴まれて首を縦横無尽と振られる敏樹は楽しそうに笑っていた。
その状態が十分ほど続き、あきらめた千尋は敏樹を解放した。
だが、その顔にはあきれと怒りが混同した鬼のような表情があった。
「で、その写真はどうするつもりだ?」
「そんなの決まってるだろ?」
敏樹がそんなことを言って、エプロンや料理着に着替えた絢たちの元へ行く。
そして、耳元で何かを話して、絢たちは嬉しそうにはしゃいでいた。
そして、今朝あったように妹たちが円になんて話し合っている。
「じゃ、じゃあ………10セットと抱き枕を5つ」
「毎度!!」
「ちょっとまてぇぇぇえぇえぇぇっぇぇぇ!!」
「………?」
「何、不思議そうにしてんだ!!本人目の前にして盗撮写真を堂々と売買すんなよ!!」
「またまたぁ」
「俺は本気だ、ボケぇ!!」
「恐ろしい子!!」
「恐ろしいのはお前だ!!」
「もう!!千尋君。今は料理中ですよ。めっ!」
「お前がそんな声を出すなよ。本気でキモいぞ。……絢たちも何、平然と買ってんだ」
「だってぇ……」
「しかも、あんなに早くって……まさか、お前ら」
「「「「「………………………」」」」」
わざとらしく五人総出で視線をそらす。
その額には汗がダクダクと流れ出していた。
千尋はゆっくりと、はっきりとした口調で、子供をしつけるように言った。
「正直に言ってみろ」
「「「「「てへッ☆=」」」」」
全員が同時に同じポーズをとる。
なんてシンクロ率。水泳の監督も驚きだ。
「今日の午後はお前らの部屋の掃除な」
「「「「「そんな~」」」」」
抗議の声が上がるがとりあえず無視。
「それより妹ちゃんたちはいいのか?早くしないとお昼になっちまうよ?」
敏樹が楽しそうにカメラをいじりながらぼやいた。
「「「「「……………」」」」」
数分の間。
絢たちはすぐに雷に打たれたような表情をうかべる。
「「「「「あぁっ!!」」」」」
せっせと自分の作業に戻る妹たち。
「絶対、忘れてたろ」
千尋のそんな小言にも反応することなく作業をに取り組んでいた。
「さてはて!!なんやかんやありましたが実況に戻りましょう!!」
「なぁ…こんなになったのにそれ…まだ続けるのか?」
「もちのろん!!」
「あっ、そ」
千尋は呆れたように溜息を吐き、妹たちに目線を戻す。
「まぁ、とりあえず、選手の紹介をいたしましょう。まず、一番手は優勝候補、家事のことなら何でもござれ、間宮家長女、間宮絢選手っ!!」
敏樹の声に反応するようにいつのまにか用意されていたミニディスプレイに絢がアップになって映る。
「これ、いつしかけた」
「ん?さっき」
「もう…つっこまないぞ」
「そうなのか?つまらないなぁ。まぁいいや……続いての選手の紹介だ。次はまさかのチームで参戦。スポーツなら任せておけ!!体育会系のこの二人、間宮麻貴&香菜選手ぅ!!」
『イエ~イ』
「続きまして、何をするかはわからない。間宮家三女、間宮葵選手!!」
「その説明はなんとなく失礼じゃないか?」
『…………………………』
葵は画面に目もくれず、千尋の声にも反応せず料理に取り組んでいた。
「さて、最後だ。暗黒に身を包み、全てを意のままに。間宮家の不思議ちゃん、間宮茉奈選手!!」
『ふふ、目に物見せてやりますわ』
「さて、紹介が終わったところで早速動きがありました。絢選手が鍋に何かを入れています」
「あれは鰹節だろ。たぶん、味噌汁でも作る気なんだろ」
「千尋さん、解説ありがとうございます。では、絢さんが今入れたのは鰹節だとして、そこに煮干しを入れたのはどうしてですか?」
「えぇっと、家庭の味ってやつで俺が作るのは毎回煮干し入れてその後、ワカメでだしをさらにとって、味噌を少なめで作るんだよ。そうするとあっさりした味噌汁になるんだ。家は朝が早いのが多いから飲みやすい方がいいとおもってね」
「ほう?では、あれは妹さんたちへの愛から出来た味付けと」
「まぁ・・・簡単にいえばそうだな」
「「「「「へぇ~」」」」」
なぜか、絢たちから感嘆の声が上がる。
「さて、ノロケはこのぐらいにして次の選手を見てみましょう。おおっと、香奈選手と麻貴選手が鍋に何かを次々と放り込んでいる!!これをどうみますか?千尋さん!!」
「・・・・・・わからん」
「へ?」
「正直・・・あの2人が何を作り出すかさっぱり検討がつかないんだ。せめて、食えれば良いんだけど・・・」
千尋が額の汗を拭う。
敏樹が爽やかな笑顔を浮かべ、千尋の肩を叩く。
「どんまい('-^*)b」
「・・・・・・・・・」
その後も敏樹のふざけた実況に的確なツッコミと解説を千尋が入れながらも妹たちの料理は進み、三十分が経過。
「「できた!!」」
〈i61133|7232〉
一番にそう声を上げたのは麻貴&香奈ペアだった。
ドン!!
千尋の目の前に置かれたのは赤く煮えたった液状のものだった。
何故だか煙がDESUの文字となって見えた。
「さぁさぁ、お兄ちゃん!!食べてくれ」
香奈が目をきらきらさせながら千尋を見上げていた。
きっと、美味しいといって食べてくれることを期待しているのだろう。
「ささ、千尋さん食べて下さい!!」
「………じゃ、じゃあ、いただきます」
千尋がゆっくりとそのスープ(?)を口に運ぶ。
「ン!!」
「ど、どうした千尋!!」
敏樹が千尋に駆け寄る。
「からぁっ!!」
千尋が火を噴いた!!
「みずゅ!!」
敏樹からコップを受け取った千尋は唇を真っ赤にして水をのみこむ。
「ああ、辛かった。でもあと味がさっぱりしてて上手いな」
千尋が次々とスープを口に運ぶ。
「な、なな、なんとぉ!!千尋さんの口から上手いが来ましたぁぁぁぁあぁぁぁあぁああぁぁぁ」
敏樹が驚嘆の表情をしながら千尋のスープをスプーンにとり、飲み込む。
「からっ!!ああ、でも確かに後味うまい」
「だしょだしょ?」
麻貴が自慢げに胸を張っている。
香菜もそれを真似して胸を張った。
「それは部長に聞いた特製スタミナスープなんだ」
「へぇ~。確かに美味しいよ。今度、レシピを教えてくれ」
「うん」
麻貴は嬉しそうにほほ笑んだ。
――刹那
殺気を感じ、そちらを見ると、キッチンから睨みつける六つの目が。
「さて、次はだれの料理が出てくるのか!?料理対決!!後半戦に進む!!」




