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絶対妹大戦  作者: 長門葵
9章~料理が火を噴くバトルロワイヤル~
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料理が火を噴くバトルロワイヤルⅤ




「遊園地ってどういうこと?」




妹たちは目を光らせ千尋に言い寄る


千尋は顔をひきつらせながら、ぎこちない笑みを浮かべた


「ほら、この前生徒会の仕事で帰りが遅くなっただろ?」


妹たちは力強く首を縦にふる。


「その日は葵と帰る約束してたんだけど・・・それで一緒帰れなくて。だから、その代わりに遊園地に行こうって約束してたんだよ」


千尋も実際、話すまですっかり忘れていた。


だが、言い訳をするわけではないが…最近は生徒会で何かと忙しく、それどころではなかった。





「は、はい!!」




声のする方を見ると絢がそこでなぜか背筋をぴんとはり、手をあげていた。


「じゃ、じゃあ・・・前、この前!!私と一緒に買い物行こって話した時、日誌を中島くんの代わり置いてくるって行って一緒に行ってくれなかったから私とも遊園地に行ってくれるよね?」


「はい?」


たしかに千尋はついこの間、絢と買い物のに持ちをする約束をしたが、クラスメートの中島が職員室に呼ばれていたので日直の仕事をかわりにやったが、その時は自分の代わりに暇そうな麻貴を荷物持ちとして行かせたはずだが…


「それでも、約束を破ったことにはかわりないでしょ」


「で、でも、それとこれとは話が……」


「じゃ、じゃあ!!」


絢の言葉に冷や汗を額に浮かべる千尋のうしろで麻貴が元気な声で手をあげる。


「あ、あたしもこの前、ちぃ兄とバッティングセンターに行く約束をドタキャンされた!!だからあたしとも遊園地!!」


「それはお前のせいだろ……」


千尋の言うとおり、麻貴の言った日の前日に麻貴が学校の練習で理科棟のガラスを割ってしまったために千尋はその謝罪と後始末をしに学校へ行っていた。


「じゃ、じゃあ、私もこの前から黒魔術の手伝いをお願いしているのにお兄さまはいつも今度と言ってどこかに行ってしまいます。それの侘びとして私を遊園地に連れていくべきです!!」


「いやぁ……だって…ねぇ?」


千尋が乾いた笑いを浮かべる。


正直に言うと茉奈の趣味に付き合わされるのはごめんだった。


「わ、私もきっとなにかお兄ちゃんに約束破られてるぞ!!」


「なんだよ。その曖昧なものは」


「きっとあるんだぞ!!」


妹たちはここぞと手をあげて抗議の声をあげる。


そんな中、千尋の腕が何かの力によって後ろにひかれる。


確認するようにそちらを見ると葵がぎゅっと千尋の腕を抱きかかえていた。


「私が!!約束したの!!」


その叫びに全員が一瞬、言葉をなくす。


「で、でもそんなの…アオちゃんだけなんてずるいよ」


麻貴の言葉に妹たちは首を縦に振る。


「お、おい!!いい加減にしろよ。俺抜きで勝手に話を進めるなよ」


「にぃにのせいなんだから、黙ってて」


「そうかっかすんなよ。それより、俺さ……朝飯まだだからさ。先にご飯食べようぜ」


千尋的にはご飯を食べて、その流れでこの話が流れればいいと考えていた。


だが、その考えの斜め上を行く意見が出てきた。


「それだ!!」


絢が何かをひらめいたように千尋を指さす。


嫌な予感に押しつぶされそうになりながらも一応、聞いてみる。


「なにがですか?」


その問いににっこりと笑顔で答える絢。


「だから、ちぃくんが一番おいしいと思えた朝ごはんを作った人が遊園地に行けるの」


「いや、ちょっと……」


千尋が止めに入ろうとしたが、その前に五人の義妹たちが輝く瞳に闘志をめらめらと燃やし臨戦態勢に入る。


「ふん。いくら絢姉でも私は負けないよ?」


「いつも朝ごはんを作る私をなめてもらっては困るよ」


「この前、部長に教わった特製スタミナ料理を見せてあげるよ!!」


「ふふ、私の全力を見せるときがきましたの」


「か、香菜もがんばるぞ!!」


「あ、あの~………俺に拒否権は…」


「「「「「ない!!」」」」」


「ですよねぇ~」


涙を浮かべながら妹たちの後ろに続いて部屋を出る。


千尋は階段を下りながらつよく願った。







「早く…帰ってきてくれ。俺のすべての権利」






その答えの代りに下の階のキッチンで妹たちの楽しそうな声が聞こえるのであった。


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