夕日で模られたガラスの瞳
千尋たちが生徒会室の前に着くと中から優雅な匂いが鼻をくすぐった。
千尋が一回ドアをノックすると小町が勢いよくドアを開けた。
「お、きたきた。実は来ないんじゃないかと心配してたんだ」
小町は楽しそうに笑い、千尋の頭に手を置く。
「ほら、千尋いじりはそこまでにして早く中に入ってもらいなさい」
凰華が紅茶をすすりながら、小町に注意を投げかける。
先程、室内から匂った優雅な匂いはこの紅茶が原因だったらしい。
「さっそくだが百合。そちらは?」
急に話しかけられ、慌てる百合。
凰華はそれを楽しそうに目を細め、微笑みながら見ていた。
一回、深呼吸をして落ち着いたのか百合は話をはじめた。
「こ、こちらは間宮さんの妹さんで・・・き、今日は手伝いをしてくれるって」
「そう。それはありがたいね。なんせ、人材不足だからね。生徒会長の結月・L・凰華だ。よろしく」
凰華が手を伸ばすと葵は一歩前に出て、その手を握り返す。
「間宮千尋の妹、間宮葵です。よろしく」
葵はにこりと笑うがその表情からは敵意がにじみ出ていた。
「で、千尋。質問をいいかな?」
「はい、なんですか?」
「後ろの三人も手伝ってくれるのかな?」
凰華が不思議そうに廊下を見つめる。
「二人は俺の友達だと思います。あと一人はしりません」
「では、あの二人組は千尋の知り合いでもう一人は新聞部のパパラッチってとこか」
凰華は少し考えるような素振りを見せるがすぐに顔を上げ微笑む。
「まぁいいとしよう。では、今日の仕事内容を説明しよう」
凰華は一枚の用紙をとりだした。
そこには学校に存在する全部活動の名前が書かれていた。
「今日から全部活動に体験入部をして部活動の実態調査をする」
そういうと、凰華はポケットから色つきの棒を取り出した。
「ペアはこれで決めよう」
凰華のイタズラじみた笑顔に嫌な予感を感じずにはいられない千尋だった。




