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絶対妹大戦  作者: 長門葵
7章~ダウトな出会いがジョーカーとの再会~
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ダウトな出会いがジョーカーとの再会Ⅸ


「なぁ、たしか前回の話ですごくいい感じに終わったはずなんだけど」


「………………………………………」


「なぁ、鬼ヶ島ちゃん?」


「…………………うるさいぞ、前園」


「……これはねぇよ。いろんなものが台無しだよ」


「………………………………………………………………………………」


渚は柱に隠れて何かを真剣に見つめていた。


その視線の先には千尋と百合が楽しそうに話していた。


渚は千尋と別れてすぐに柱に隠れ、そこから今まで千尋を尾行している。


敏樹は渚が何かしでかすんじゃないかと心配に一緒に千尋のあとを追って来た。

渚は完璧に尾行出来ているつもりだろうが、先ほどから何度か千尋がこちらを気にするような素振りを見せていた。


ばれていて尾行も何もあったものじゃない。


敏樹はすでに隠れるのをよし何度か千尋に手を振った。


それを確認するたび千尋はため息をついていた。


もう確証的にばれてる。


先ほどの友情的な約束はなんだのだろうかと敏樹は何回も心の中でつっこんでしまった。


敏樹はもう一度大きなため息をついた。


そして、また千尋の方に目線を戻すと渚同様に千尋のあとを追う人影が視界に入った。


「千尋・・・・・・お前も大変だな」


敏樹は苦笑いを浮かべながら小さく呟いた。








「あいつらは何をしてるんだ・・・・・・」


千尋は大きなため息をついた。


その後ろには渚と敏樹が柱に隠れてこちらの様子をうかがっていた。


その他にも何人か柱に隠れていた。


多分、義妹のうちの誰かか新聞部の人だろう。


「信用も何もあったもんじゃないな」


ため息をもらしながらつぶやくと百合が不思議そうに首を傾げ、見上げてきた。

「どうしたんですか?」


「いや………何でもないよ。それより少し急ごうか」


「は、はい!!」


千尋が少し歩調を早めると後ろの足音も早まる。


いくらかそのまま足音は千尋と同じペースで歩いてきたが、階段前になると不意に走るように足音が聞こえるペースが早くなる。


千尋が止まるとその足音は少し大きめな音をたてたと思ったら、数秒間消えて聞こえなくなった。


次の瞬間、千尋の背中に衝撃が走った。


「にぃに。やっほ」


千尋が振り向くとそこには葵がいて、Vサインをつくりながら笑っていた。


「何してんの?」


「何してんのじゃないよ。走ったら危ないだろ?しかもここは階段だ。間違えて落ちでもしたら大怪我だぞ」


「…………………ごめんなさい」


千尋に諭されるように注意を受けた葵は落ち込んだように頭を下げ、謝罪の言葉を口にする。


千尋の子供を叱る親のような顔が笑顔に変わった。


そして、千尋は優しく葵の頭を撫でた。


「まぁ、今回は何もなかったから良しとしよう。で、なんで葵はこんなところにいるんだ?」


「ん?にぃにが見えたからついてきただけだよ」


「そうか。でも、なんで隠れてたんだ?」


「いやぁ~、あそこで前園さんとかが面白そうなことしてたから乗っかてみよかと」


千尋がもう一度、敏樹の方を見ると手を振ってきた。


「もう、隠れる気さえねぇな」


ため息をついてから葵の方へ向き直る。


「これから俺は用事があるから一緒には帰れないよ?」


「えぇ~。久々に帰りが一緒になったのに!!」


「あ、あの…………」


百合がおびえながら千尋の袖をつかむ。


「ああ、ごめん。紹介するよ。これは俺の妹で葵。で、こっちは鷺宮百合さん。俺のクラスメートで聖女神話学園から来た交換留学生」


「間宮葵です。よろしく」


「ゆ、百合です。よ、よよ、よろしくお願いします」


二人はお互いにお辞儀をして軽い挨拶を交わした。


葵はすぐに千尋の方へ向き直る。


「…で、にぃに?用事ってまさか……」


「まぁ、生徒会の手伝いかな」


照れたかのように鼻の頭をかく千尋。その額にはじんわり汗が浮かんでいた。


葵はじぃっと千尋を睨みつける。


「……じゃあ、私も生徒会室まで行く」


「へ?」


「にぃにの付添ってことでいいでしょ?」


「う~ん……どうだろう?鷺宮さん」


「ま、まぁ……人数不足なのは確かですし……来てくれると助かります」


「ほら」


「まぁ、鷺宮さんがそう言うなら良いんだろうけど……」


「ほら、うじうじ言わない」


そう言って葵は千尋の手をとって歩きはじめる。


「ちょ、ちょっと待て!」


「ほら早く、百合さんも」


「ま、待ってください!!」


三人はそのあとも色々と話しながら歩いた。


廊下にはその三人の笑い声が響いた。


その後ろには二人の尾行者と一人の追及者がいて、その三人の後を息をひそめながら追っていた。



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