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絶対妹大戦  作者: 長門葵
2章~始まってしまった物語~
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始まりは誕生日!?

朝の日差しが部屋の中に差し込み、小鳥のさえずりが耳に優しく語りかける。間宮千尋の寝る隣で目覚まし時計が大きな声で叫び続ける。


その時計が寝ぼけ眼の千尋の手で止められる。それと同時にドアが大きな音をたてて開かれた。


「おにぃ、起きて」


「ん~、あと五分だけ…」


「もう…」


女の子の優しい声とともに間宮千尋の体に…


「チェエェェェェェエェェェェェェストオォォォォォォォォォォォオォォ」


足が振り下ろされた。


「ぐちぶっ!!」


ベッドから転がるように這い出し、腹を抱え込む。


「まったく、おにぃが起きないからだよ」


少し顔を赤く染めながらまんざらでもない顔で言うが、人を足蹴した時にする表情ではない。


「…腕を上げたな、麻貴」


「えへへ、でもおにぃ、腕じゃなくて脚だよ」


上手いこと言ったろみたいなドヤ顔をしないでほしい。そこまで上手くはないから。


この女の子は間宮麻貴(まき)。間宮家の次女で高校1年生。


千尋の義理の妹だ。


運動神経抜群。活発的で部活の助っ人としていつも引っ張りだこだ。


「早くしないと絢お姉ちゃんが怒るよ」


「うん、着替えてすぐ行くから待ってて」




(あや)とは間宮家の長女。高校2年生で千尋と同い年だ。


新婚旅行に出てばっかりの父と母にかわりによく家事をしてくれている。


「今日のご飯はな~にっかな♪」


鼻歌を響かせながらリビングに入ると、四人の女の子が仲良くテーブルを囲んでいた。


次女の麻貴、三女の(あおい)、四女の香菜(かな)、五女の茉奈(まな)


「もう~にぃに、遅いよ」


「そうだよ、早くしないと香菜と葵お姉ちゃんが暴徒となってしまうわ」


「何だと、茉奈だっておなか鳴らしてたじゃないか」


「そ、そんなことないわ!おかしなことを言わないでほしいものです香菜!」


「ほらほら喧嘩しない、ご飯の近くで暴れると怒るよ」


千尋が静かに「めっ」とポーズをとると二人ともぶつぶつ文句を言いながら座りなおした。


葵は中学3年生で受験生。そのためか色々とお願いされる。千尋のことを小さいころからにぃにと呼んでいる。


茉奈と香菜。中学1年の双子。


茉奈は読書好きでもの静かな印象だが、香菜は子供らしい活発さでいつも騒いでいる。


双子なのに相反する性格だ。


「おお~今日はスクランブルエッグにサラダか。あと、これに…」


「コーンスープがつけば最高!でしょ?」


キッチンからお盆にスープの入った深皿を持ってやってきた絢が得意げに言った。


「よくわかってらっしゃる」


「お兄ちゃんのことだもん。わかるよ」


スープを配り終わった絢は、そう言って自分の席に座る。


それを目で確認した千尋は手を合わせて


「みなさん、全ての命に感謝をこめて…」


「「「「「いただきます」」」」」


一斉に食事のあいさつをすませ、食事が始まった。


「あ、そうだ。お兄ちゃん、今日放課後になにか予定ある?」


「ん、別にないけど…今日なんかあったけ?それとも買い物の荷物持ちとか、かな?絢」


「もう、今日はお兄ちゃんの誕生日でしょ」


そういえば、今日は千尋の誕生日だった。


今日で千尋は17歳になる。


たしかに、めでたい日なのだろうが、千尋にとってはそこまで重要な日ではなかった。


どちらかというと義妹たちの誕生日や発表会といった日程の方が断然、千尋にとっては大切な日なのだ。


なんせ、父の代わりの保護者は千尋なのだから。


「でね、今日は何が食べたいかなって…」


「ん、絢が作った物なら何でもいいよ」


「もう、そういうことじゃなくて!!」


「だって、絢の作るご飯は全部おいしいもの」


「…もう」


顔を真っ赤にしてうつむく絢。それを見ていた葵は不機嫌そうに箸を加えた。


「…むぅ、にぃには絢ちゃんばっかりほめるぅ」


「葵もこの間のテストでいい成績だったからな。今度、なにかプレゼントするよ」


「わ~い」


「「「私たちには」」」


対抗するように声を上げる。


「麻貴はこの間の大会で大活躍だったんだってね。茉奈は作文で表彰されたんだってね。香菜はクラス委員長になったんだって。みんな、すごいよ。本当に自慢の妹たちだ」


「「「えへへ~」」」


三人共にうれしそうににやける。


「で、話を戻すけど…誕生日パーティーの前に大切な話があるんだ」


「ん?いまじゃダメなの?」


「うん…今はちょっとね」


「わかった。じゃ、早く食べて学校行かなきゃね」


「「「「「は~い」」」」」


その後、和気あいあいと食事は進み、学校へと向かった。




千尋たちが通うのは成兄学院(ぜいけいがくいん)。小中高の一貫校になっている。なので全員、同じ敷地内にいる。


「おう、千尋。また、お前はかわいい妹さん連れてうらやましいな、この野郎」


「お、今日もうるさいな。前園は」


「ひどいな、この野郎」


この男は前園敏樹(まえぞのとしき)。千尋の小学校時代からの悪友だ。


「おはよう、前園くん」


「おお、絢ちゃん。今日もまぶしいね」


そんな口説き文句を言ったものだから、前園の鳩尾に的確に千尋からこぶしが叩きこまれた。


「ごふっ、なかなかだぜ。…それより千尋、誕生日おめでとう」


「ありがとう。しかし、よく覚えていたな」


「そりゃ、親友のだぜ」


すこしうれしい気持ちを感じつつ、その包みを解くと中からは男性と女性が裸で…


「どうよ、俺のお宝本よ」


「死ねっ」


「ひでぶっ」


千尋の蹴りでエロ本を抱えたまま吹っ飛ぶ前園。それとほぼ同時に担任教師が教室へとはいってきた。


「では、HRを始めるぞ。と、前園はなんでエロ本抱えて倒れてんだ。とりあえずこれは没収」


「先生、そ、それはひどい」


教室はどっと盛り上がった。そのあとも何もなく授業は進み、学校での一日は終わりを告げた。




「ただいまぁ~」


千尋が玄関を開けるとパパッンとした破裂音が千尋を襲った。


「「「「「お誕生日、おめでと~~」」」」」


クラッカーの音と義妹たちの声に驚いて千尋は尻もちをついてしまった。


「あ、ありがとう」


「ほら、早くお兄ちゃん」


「ちょ、ちょっと待ってよ」


リビングに行くとそこには立派なケーキに豪華な食事が並んでいた。


「わぁ、すごい!!」


「皆で用意したんだよ」


「みんな、本当にありがとう」


そう千尋が言うと皆うれしそうにはにかんだ。


しかし、すぐに義妹たちは真剣なまなざしに変わった。


「お兄ちゃん、大切な話があるっていったじゃん」


「う、うん」


静かに義妹たちはそれぞれ一枚の手紙を取り出した。


そして、大きく息を吸い込み……












「「「「「ずっと、好きでした!!私と結婚を前提に付き合ってください」」」」」

















義妹、全員に告白をされた。

























「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!」

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