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絶対妹大戦  作者: 長門葵
7章~ダウトな出会いがジョーカーとの再会~
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ダウトな出会いがジョーカーとの再会Ⅴ

新生徒会の残りのメンバーの挨拶もすぐに終了し、集会はすばやく閉会となった。


生徒たちは一斉にざわめきはじめる。


校内では間宮千尋と生徒会との現実味のない噂で持ちきりだった。


教室では千尋の周りに人が集まり、ベルリンの壁なみに厚い人の層が出来ていた。


「おい、間宮!!」


「あれは何事だ」


「あの方と知り合いなのか!?」


「あの人のメアドくれ」


「あの人の下着をくれ」


次々と(主に男子から)投げられる質問。


しかし、当の本人である千尋は某ボクサーのように真っ白に燃え尽きていた。


口から長く深い息が吐かれ、魂でも抜けているのではないかと思える程だった。


しかし、人の好奇心とは強いもので千尋に対する質問は止まることはなかった。


「はいはーい。質問するならマネージャーのこの前園敏樹を通してからにしてね」


「なんだよ!!前園は引っ込んでろ」


「そうよ!!私たちは間宮くんに聞きたいの!!」


「そんなこと言ったって、そんな一斉に聞いても答えが帰ってくるわけないっしょ?」


『うっ!!』


まさかの正論に固まっていた人影が一斉にたじろぐ。


「授業はじめま~す。席につきなさ~い」


「お、授業が始まるな。ほれ、散った散った」


英語教師が教室に入ってくると文句を言いつつも、その集団は解散した。


「えぇ~と、今日はまず皆さんに紹介したい人がいま~す。じゃあ、入って~」


英語教師の間延びした声に次いでドアが音を立てて開く。


そこには女子生徒が立っていた。


おどおどと周りを見ながら教卓の前まで歩き、そこで向きを変えて一回お辞儀をする。


その間に英語教師は黒板に大きく『鷺宮百合』と書いた。


「今日、紹介された~交換留学生の~鷺宮百合さんで~す。ではぁ~、挨拶を~」


そう言うと百合は一瞬、体をビクつかせ、またお辞儀を今度は深々とした。


「は、はじめ・・・まして。さ、鷺宮・・・百合で・・・す。み、皆さんと同じ学びやでが、がが、がんばります!!よよよ、よろしくお願いしましゅ」


噛んだ。


最後にとてつもなく可愛らしく噛んだ。


それに気付いたのか顔を真っ赤にして俯いた。


男子が一斉に感動の声をあげた。


「では~席は間宮の隣でぇ~」


そう言われると早歩きで席に向かう百合。


恥ずかしさのあまり、足元をきちんと見ていなかったのだろう。


「きゃっ!!」


盛大に転けた。


『おぉ~!!』


男子の感嘆の声が教室を満たす。


ついには泣き出す男子も出てきた。


「いたた…」


赤くなった鼻の頭をさすりながら起き上がる百合。


「だ、大丈夫?」


千尋がハンカチをポケットから取り出し、百合に差し出す。


「す、すいません」


もうしわけなさそうに受け取る百合。


その時にはっと何かに気づいたようで、「あっ」と声をこぼした。


「あ、あの…間宮さんって…生徒会を手伝ってくれるって言う?」


「さ、さぁ?よく分からないんだけど…そういうことになってるらしいね。あはは…はぁ~」


苦笑いを浮かべ話す千尋。


最後にはため息までついてしまった。


百合はそんな千尋の気持ちも知らず、無邪気な笑顔を浮かべた。


「よろしくお願いします!」


千尋はその笑顔に目を奪われた。


じっと百合を見ていたのか、百合が不思議そうに首をかしげる。


「な、なにか…私の顔になにかついてますか?」


「い、いやぁ……あははは」


照れてごまかすように笑いながら顔をそらす。


急に襟が引っ張られ、千尋は後ろに倒れそうになる。


「な、なにすんだよ!!」


後ろに振り向くと絢がにこやかに笑っていた。


その背後にはどどどと効果音が聞こえそうなぐらいの怒りオーラが立ち昇り、千尋の眼には仁王像が見えた。


「うれしそうね……お兄ちゃん?」


「あ、あやさん?」


「ふふふ」


「ちょ、なにかかんちが……」


ひゅっ


千尋の前を何かがものすごい勢いで通り過ぎ、壁にかなりの音をたてて突き刺さる。


「へ?」


千尋がそちらに顔を向けるとシャーペンがきれいに壁に床と水平の状態で突き刺さっていた。


「な、ななな、なんだ、これ!?」


投げつけられた方向に顔を向けると、渚がシャーペンをくるくるとペンを手の中で回していた。


「ふん」


機嫌を損ねたように顔を背ける渚。


千尋は困惑した顔でため息を漏らした。


「俺が何をしたっていうんだ」


そんな千尋を心配そうに見上げる百合。


「大丈夫ですか?すごい汗ですよ」


そう言って、先ほどかしたハンカチで千尋の汗をぬぐう百合。


すぐに千尋を襲うものすごい殺気。


それを感じ取った瞬間、すぐに第二のシャーペンが千尋の顔をかすめ、襟で首を絞められた。












お昼休みまで千尋は事あるごとに殺人的なシャーペンと衣服による首絞めに、計各三十回襲われ続けた。









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