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絶対妹大戦  作者: 長門葵
6章~ユニークな写真立ての大乱闘!?~
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ユニークな写真立ての大乱闘!?Ⅲ

なんだかんだで試合は進み、今第8戦目。


「なかなかやるな、千尋」


「うるせえ、くそ親父」


にらみ合う二人。


勝敗は3対4で千尋が負けていた。


「では、八戦目の内容はこちら!!」


敏樹がボタンを押すと大画面にそれまたでっかく『女装対決』と映し出されていた。


「ふ、ふざけるな!!」


千尋は顔を真っ赤にして抗議の意を唱えた。


それを見た英司は鼻で笑い、見下したような目線で話し始めた。


「そうだ、こんなガキにそんな事できるわけないだろ?全く、不戦勝とは楽なもんだ。あはは!!」


千尋の額に血管が浮き上がる。


ゆっくりと顔をあげるとそこには笑顔があったが、会場にいた誰しもが感じられる殺気を放っていた。


「いうじゃねぇか。年にあった精神年齢を持ちあわせないジジイは女装しておままごとでもしてろ」


淡々と千尋の口から零れる一言一言に殺気が込められ会場が息をのんだ。


しかし、英司は何でもないように千尋を笑った。


「おいおい、逃げ出したチキンが何を言おうと負け犬の遠吠えだな?なぁ?」


その台詞に舌打ちをし、英司の前まで歩いてくる千尋。


「いいだろう。やってやるよ。やれば良いんだろ!?」

その言葉に会場が一気に盛り上がる。


『さぁ、いい感じに盛り上がって来ましたところで、この二人を女装させてくれるゲストを呼びたいとおもいます。』


二人の元に黒いマントを身に着けたゲストやらがやってきた。


『千尋を女装させるのは千尋の妹、葵ちゃんだぁ!?』

「よろしく!!」


葵は声援に答えるように手を振るとにやにやしながら千尋のほうへ振り向く。


「にぃに、覚悟してね?最高に可愛い女の子。いや、男の娘にしてあげる」


鼻息荒く語る葵にかなりの身の危険を感じる千尋。


千尋が英司の方を向くとそこには詠子が立っていた。


どうやら、英司のゲストは詠子らしい。


『さて、ゲストの方の紹介も終了し、セットの準備も完了いたしましたので女装対決を始めたいと思います!!』


開始を伝える笛の音が会場に響き、女性陣が一斉に動き出す。


うれしそうにさまざまな衣装を手に取る葵と詠子。


それを遠目に眺めていた千尋はゆっくりと英司に近寄りぽつりとつぶやいた。


「なぁ、親父。俺ら……死ぬんじゃないか」


「奇遇だな、我が息子よ。俺もそんな気がしてきた」


二人同時に大声で笑い始める。


しかし、女性陣はそれも気にせず服選びに専念する。


その背中には度し難いオーラが見えたとのちに千尋と英司が語ったそうだ。



―20分後―



『さて、両者が着替え終わったようです』


なぜか敏樹は少し前かがみで鼻息を荒くしていた。


『まずはじめは、英司選手です。どうぞ!!』


その声と同時にカーテンが開かれ、そこにはチャイナ服をきた英司がいた。


『おおっとこれは!!詠子さんはチャイナ服をセレクト。英司選手の背の高さを上手く利用した選択です。さらにロングの髪形に変えることで小顔効果、そこにナチュラルメイクで誰がどう見ても女性にしか見えない!!詠子さんはかなりの完成度に仕上げてきました!!』


敏樹の解説のあとに英司がくるっとその場で回る。


その姿はまさに美しい女性で会場からも感嘆の声が上がる。


『英司選手ありがとうございました。さてお次は千尋選手です』


カーテンが開かれ、女装した千尋が現れた。


会場が絶句した。


『こ、これは!!』


敏樹は眼を見開いた。


そこには箒をもった千尋は昭和風の召使の服に身を包み、その顔は恥らいからか少し赤みを含んでいた。


その姿に会場全てが眼を奪われた。


『なんてことだぁ!!千尋選手は召使をモチーフに!!ジャパニーズメイド!!なんてことだ!!これは言葉では表せない。ただ一言、可愛い!!』


敏樹は興奮気味かつ早口で解説をする。


可愛いと言われた千尋はさらに顔を赤くし、うつむきながらぽつりと言葉を口からこぼした。


「ば、ばかぁ」


『うわぉぉぉぉぉーーー!!』


会場全体から歓喜の声。その表情とセリフは会場の老若男女、全ての心を奪った。


『なんという高勝負。さて、では審査に入りたいと思います。審査をするのはソフト部より選別された十人の部員にしていただきます』


ソフト部員がカメラに映し出され、それぞれが手を振ったり、おじぎをしたりと行動をする。


『では早速、端から札をあげていただきましょう』


その声のあと、ソフト部員は札を順々にあげていった。


千尋、英司、千尋、千尋、英司、千尋、英司、英司、千尋、英司。


ちょうど半々になるように票が分かれた。


『これは困りました。ここで、特別審査員を呼びたいと思います。特別審査員さぁん!?』


「はい!!」


その声のする方を見るとそこには、野球部の部長、源氏球児(げんじきゅうじ)が立っていた。


『ソフト部に対抗して出演していただきました』


そんな理由か!!と突っ込もうとした千尋だが、自分の格好に気付き縮こまってしまった。


『さっそくですが!!源氏さん、審査をお願いします』


球児はゆっくりと札をあげる。


そこには千尋の文字が。


『これは千尋の文字。この勝負千尋選手の勝利だぁ!!』


会場がわっと盛り上がる。


『さて、では勝者の千尋選手にインタビューしてみましょう。詠子さん?』


『はいは~い。さて、可愛いちぃくん?今の感想は?』


会場はさらに盛りあがり、拍手や口笛、「かわいい~」などの声が上がり、千尋は顔を真っ赤にした。


次の瞬間、千尋は脱兎のごとく、駆けだした。


そこから逃亡した千尋が戻るまでに1時間かかった

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