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絶対妹大戦  作者: 長門葵
6章~ユニークな写真立ての大乱闘!?~
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ユニークな写真立ての大乱闘!?Ⅱ

千尋は椅子に縄で縛られ、暗い大きな会場のようなところにいた。


一斉にライトが点灯し、その光の先には一人の男がマイクを持って立っていた。


そいつは大きく息を吸い込み、叫んだ。


『と、言うわけで!!父と息子、どちらがより男らしいか!?大決闘をここに開催します!!』


「なにが、と、いうわけなんだ‼」


『本日は実況を努めます前園敏樹と…』


『解説を努める間宮詠子で~す』


『の二人でお送りします』


「話を聞けえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇええぇぇ!!」


千尋の心からの叫びも届くことはなく、話は進められていく。


『では、さっそく説明に入ります。この大決闘は父こと英司さんのプライドと息子こと千尋さんの意地をかけて十本勝負をしてもらいます』


『負けるとそれに因んだもの壊す、もしくは公開していきますよ~』


「待て!!俺のプライドってなんだ!?何をするつもりだ‼」


『うるさいですね。そんな千尋君の恥ずかしい写真です。それ、ぽちっとな』


そう言って敏樹が手前のボタンを押すと大きな画面に小さな男の子の写真が映し出された。


『これは千尋君が二歳の時、犬の糞を踏んで泣いている写真です』


その声で会場は笑いに包まれた。


「あ、あとで…殺す」


『さて、千尋くんいじりもこの辺にしといて…さっそく一本目の対決に入りたいと思います』


会場は一気に暗くなり、一点にスポットライトがあてられる。


そこには布で隠された台があった。


『勝負名はこちら!!』


そう言って敏樹が大画面を指差すとそこには『料理対決』と書かれていた。


『さてこれに挑戦するのは……』



『青コーナー、マミィィイイィィィィヤァァァァァァ…エェェェェェェェェエェェエエェイジッィィィィィィィィィ!!!』


プロレスでよくつかわれる音声とともにエプロン姿の英司がスモークを必要以上にたいて入ってきた。


「みんなぁ、ありがとぅ。おれもぉ、あい、ゴホッゴホッ」


バカみたいに煙を焚くものだからむせてしまったようだ。


『赤コーナー、マミィィィィィィィィィィイィヤァァァ…チィィィィヒィィィロォオオォォォォオオオオオオオオオオ!!!』


同じように紹介の音声のあとにスポットライトに照らされる千尋。


しかし、そこにいたのは縄で椅子に縛られた千尋だった。


『おおっと、これは千尋選手のいきなりの性癖アピールか!?』


敏樹の声でまたも会場がどっと盛り上がる。


「ふざけるな。俺だって縛られたくて縛られてるわけじゃない」


縄を黒子の方々に外されながらつっこむ気も失せたのか、ため息を吐きながらエプロンを身につける。


「さて、親父。茶番に付き合ってやる。感謝しろ」


「おお、言うじゃねえか。しかし、そんなこと言ってられるのも今のうちだぞ?」


『さっそく火花が両者の間にバチバチとちってますね。では、料理対決。開始!!』


その声と同時に千尋と英司は食材を選び下ごしらえに入った。


『さて、詠子さん。さっそく二人は準備に取り掛かりましたが…どうですか?」


『ふむ。ちぃくんは流石ね。手早い、しかも正確。ほれぼれしちゃうわ』


「なんかやりずらいな、これ」


照れたのか鼻の頭をかく千尋。それを悔しそうに睨む英司。


「俺は。俺は!?」


『そうねぇ。英司さんはなんていうか…大ざっぱ?』


「ありゃ?」


英司は音をたててずっこけた。


それによって会場がさらに盛りあがった。


「余裕だな。親父」


「お前こそ、いい度胸じゃねえか」


そう言って二人は同時に鉄板に油を引いた。


『おや?これはまさか…』


『たこ焼きね』


「これが男の料理だぁぁぁ!!」


ボールに入ったタネを豪快にかき回す英司。それに対して慎重に具材を均等に切り分ける千尋。


相反する二人が同じ料理を真剣に作っていた。


 ―十分後―


「「できた」」


二人が同時に声をあげる。


『どうやら仕上がったようです。今回の料理の審査員は…』


『こちらの方々です』


そうしてスポットライトが当てられた先には絢、渚、球余が座っていた。


『では早速、実食です』


敏樹のかけ声とともに審査員席に真っ黒い塊が…


「さすがにこれを食べたくはないんだが…」


「ぼくもまだ死にたくない」


「だ、大丈夫ですよ。そ、それにお父さんの手料理ですし…」


絢の一声が効いたのか三人はゆっくりとたこ焼きを箸で持ち上げた。


そのまま意を決めて口に運ぶ。


「「「・・・・・・」」」


『さて、審査員が全員黙ってしまいました。お味はどうでしょうか』


「お、おお」


『お?』


「おいしい……」


『うそ!?』


敏樹は実況かつ司会者という立場をわすれ、本気でつっこんでしまった。


「ああ、以外に普通だ」


「ふむ、さすが間宮の父と言ったところか」


『ま、まぁ、色々ありましたが点数をどうぞ』


効果音とともに三人が点数の描かれた札をあげる。


『ええっと、合計は26点です』


「おっし!!」


英司は嬉しそうにガッツポーズをとる。


『さて、続いて千尋選手のたこ焼きです』


「はい、これです。あ、ちょっと待ってね」


審査員席前にたこ焼きをおいて、調理場から鍋を持ってくる。


そして、鍋の中からとろみのある液体をたこ焼きにかける。


「冷めたらいけないと思って、あったかく食べてもらうためにたこ焼きを油で揚げて、あんかけたこ焼きにしてみました」


千尋がそういって説明をしながら静かに女性陣の前に料理を運ぶ千尋。


『配り終わったところで、みなさん、実食です』


英司のときと違い、三人はすぐに口にたこ焼きを運んだ。


『さて、お味は?』


「・・・・・・・・・・あ」


『あ?』


「味の宝石箱やぁ!?」


三人が同時に某レポーターのような口調で泣きながら感想を叫ぶ。


「こんな美味しいたこ焼きは初めてだ。ありがとう、間宮」


「僕は世界の新たな発見に出会うことに成功したんだ」


「私、生まれてよかった」


次々に泣きながら意味のわからないコメントを告げる。


『さて、泣くのはいい加減によして点数をどうぞ』


その声とほぼ同時と言ってもいいだろう。


全員が十点の札をあげた。


『この勝負…千尋選手の勝ち!!』


「く、くそ!!…だが、まだ負けたわけじゃないぞ!!」


英司は握りこぶしを千尋に向ける。


千尋はため息をついて一言。


「まだ、続くのか?」

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