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絶対妹大戦  作者: 長門葵
6章~ユニークな写真立ての大乱闘!?~
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ユニークな写真立ての大乱闘!?

千尋が詠子を母として受け入れた次の日あの朝。


千尋の部屋のドアが大きな音を立てて震える。


時刻は朝の6時。


休日の朝にはなんとも似合わない音だ。


少なくともさわやかな朝には絶対ない音だろう。


さすがの千尋もそれには苛立ち、ベットから体起こし怒鳴る。


「うるさい!!」


「父親に向かってうるさいとなんだ!!」


「今、何時だと思ってる!近所迷惑もいいところだ‼」


「大丈夫だ。先にうるさくするとお菓子を持っていってある」


「あんたは何に気をつかってんだ…」


呆れて溜息しか出ない千尋。


「それよりも昨日の続きだ‼」


「……いい加減にしてくれよ」


千尋はげんなりした顔でまた一つ、大きなため息をついた。


話は昨日の夜にさかのぼる。




千尋が詠子のことを母さんと呼んだその夜。


泣きやんだ詠子は嬉々として電話をかけていた。


その相手は英司。


「聞いて英司さん!!ちぃくんが、ちぃくんが私のことを『母さん』って呼んでくれたの!!」


声は弾み、電話の前でぴょんぴょんと跳ね上がる詠子。


だが、次の瞬間に電話から聞こえたのは喜びの言葉でも悲しみの言葉でもなかった。


ただ無言。


そして、すぐに電話の切れた音が受話器から聞こえてくる。


「あれ?えいじさぁ~ん」


「どういうこうとだぁぁあぁぁぁあぁぁ」


ものすごい勢いで玄関のドアが開けられた。


そこには間宮家当主、間宮英治が立っていた。


「お帰りなさい、英司さん」


「詠子さん、ただいま」


「おう、親父。お帰り」


「千尋!!そこに座れ!!」


いきなりのことで意味が分からなかったが、とりあえずその言葉に従って正座をする千尋。


「良いかよく聞け」


そう言って英司は大きく息を吸い込んだ。そして、大声で叫ぶ。


「詠子さんは俺のものだぁぁぁぁぁ」


「……………………………………………………………………………………………は?」


千尋は自分がおかしくなったのかと思って聞きなおした。


まわり(詠子さん以外)もぽかんと口を開け、呆然としていた。


「たとえ息子だろうと詠子さんは渡さんぞ」


「何をほざいてやがりますか。このバカは…」


「父親に向かってバカとなんだ」


「でも、英司さん。やっとちぃくんがおかあさんて呼んでくれたんだもの。今までの分もラブラブしなきゃ」


そう言って詠子は千尋に抱きついた。


「「「「「「ああぁーーーーー!!」」」」」」


なぜかその行動に反応したのは英司だけでなく、義妹5人も動いた。


「ち、ちひろ!!お、お前なんてことを」


「ま、待て!俺は何もしてない」


「お兄ちゃん!!あんなことまでしたのに…ひどい!」


「麻貴!!何を口走っているんだぁ!!」


「にぃに!!何をしたの!!」


「お、落ちつけ!ただ頭なでて、手をつないで帰って来たぐらいだ」


「ず、ずるい。香菜の頭もなでろぉ」


「ぐふっ」


「茉奈の頭もなでて下さい!!」


「ま、まて、ごふっ」


「ついでにお母さんもなででぇ」


「ちょ、詠子さんまで」


「母さんって呼んで」


「か、母さん…って!!そういうことじゃなくて」


なぜか千尋は妹たち&詠子の頭をなでていた。


さきほどまで騒いでいた英司はなぜか泣きながら地面に文字を書いていた。


「お、ちょっと…離れ…ろぉ」


「いいじゃん」


「えへへ、おにぃの手はあったかい」


「か、香菜。ずるいわよ。私にも。…うふふ、本当にあ、あったかい」


「ちぃく~ん」


なんとか千尋はその場から離れようとするが、妹+αがそれを許さなかった。


「いい加減にしなさい!!」


そんな雰囲気を一瞬にして吹き飛ばした一声。


全員がその声の方を見上げるとそこには怒りに震える間宮家長女、絢の姿が。


「おとうさん!!」


「はいっ!!」


「いつまでうじうじしてるの。はやく着替えてきて」


「はいっ」


「お母さんは夕飯の支度中でしょ!茉奈と香菜は宿題!!葵はお風呂の準備。麻貴は手を洗ってきなさい!!」


「「「「「は、はい!!」」」」」


絢の指示に従い全員が動き出す。


「最後にお兄ちゃん」


「は、はい。なんでございましょうか!!」


怒られると思って背中をぴんと張る千尋だったが、次に来た絢の行動は千尋の予想外のものだった。


「・・・・・・・」


「あ、あやさん?」


絢はそっと千尋の胸に頭をあずけた。


「・・・・ぱいした」


「へ?」


「心配したんだから!!」


千尋の胸に顔を埋める絢を見ると少し震えていた。


泣いているのだろう。


千尋はそっと絢の頭に手を乗せた。


「ごめんな」


「……ばか」


「あ、絢お姉ちゃんずるい」


二人がそちらへ顔を向けると香菜が指させいてこちらを見ていた。


その声につられて次々と女性陣が集まってくる。


「ああ、本当だ」


「ずる~い」


「私も!!」


「ついでにお母さんも」


もう一度、女性陣に囲まれている千尋。苦笑しつつも自分の幸せを感じていた。


そんな中、一人の男が怒りに震えていた。


間宮英司は後ろに鬼が見えるほどの怒りをまとい、一歩一歩と千尋に近づく。


そして、千尋の前で立ち止まり、指を突き指して一言






「勝負だ‼ちひろぉ!!」





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