2/162
プロローグ
あれは間宮千尋が5歳の時だった。
父親である間宮英司が再婚した。
千尋の母である間宮理恵子は千尋が生まれてすぐに病気で帰らぬ人となった。
そして、五年の月日がたち英司は新たなパートナーを見つけたのだ。
その相手とは霧尚詠子。彼女もまた最愛の人を事故で亡くしたらしい。
しかし、千尋にはそんな事はどうでもよかった。
千尋は詠子を認めてはいなかった。
たとえ詠子以外が父の再婚相手でも認めはしないだろう。
千尋の母は理恵子ただ1人なのだ。その志は強固なものだった。
しかし、そんな考えも簡単に吹き飛ばしてしまう出来事がすぐに千尋を襲った。
詠子には5人の娘がいた。
千尋にしたら妹となる5人だ。
しかも、みんな自分より小さく千尋になぜか懐いていた。
詠子を認めたくはないがその子たちには自分みたいに親のいない苦しみを感じさせたくはなかった。
千尋はこの5人の兄になる事を心に決めた。
…そう、あいつらがあんな行動に出るまでは