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絶対妹大戦  作者: 長門葵
14章~水も恋も流れは廻るのだ~
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水も恋も流れは廻るのだ!ⅩⅩⅡ

こんちゃーす(。・ω・)ノ

長門葵です。


ポケモン二十周年映画見たんですよ。いやー泣きましたね。バタフリーとか別れるシーンとかピカチュウがしゃべるとことかねーもうね...え?そんな話どうでもいい?


それもそうだ。


では、本編スタートです!

 相手を想い、悪役(ヒール)を演じたお姫様(マリア)と、姫様からもらった夢を孤独(ひとり)で叶えようとした平民(こうた)のお話は、なんとかハッピーエンドで幕を閉じた。


 色々とあったが、なんとか丸く収まり満足する千尋は外を眺める。日はすでに休みに入り、星たちが夜の始まりを知らせ始めていた。時計の短針は七を指差していた。


 ボロボロになったドレスを着替えに戻ったマリアを見送ってきた幸太がドアを潜ってきたので丁度いいと千尋は疑問をぶつけた。


「こんな早く閉めていいんですか?これから夕飯時でしょ。お客様まだまだ来そうなのに」


 すると、幸太は苦笑しながら頭を叩く。


「もちろん明日からそうするつもりだよ。でも、今日はこれ以上君たちに手伝ってもらうわけには行かないしね。それに夜はすこし大衆食堂というよりちょい呑みな感じの雰囲気の店にしようかって思っててね。西隆寺さんにも手伝ってもらって、今日はその作戦会議をしようと思ってね。それにバイト募集の張り紙もまた作らなきゃ」


 その瞳に静かに燃える炎を確かめるように幸太は拳を作る。千尋はそれを見て微笑む。


「あ、それと遅れたけど、今日はありがとう。これ三人のお給金。受け取って」


 そういって幸太は千尋に三枚の茶封筒を渡す。素直に受け取った千尋は不躾にもその場で中身を確認した。すると中には諭吉さんが三人も。それも三人で、ではない。一人一人に三万ずつ支給されているのだ。


「こんなもらえませんよ!」


千尋は慌てて茶封筒を押し返すが、幸太は笑いながら手を振ってそれを受け取ろうとしなかった。


「今日もうけたのは本当にラッキーだったんだ。そんな幸運を運んでくれた神子さんには、御布施も多めにしないとバチが当たっちゃう」


「そんな大したこと、俺たちはしてませんよ」


顔を伏せる千尋に幸太はにやりといたずらっぽく笑った。


「これは目上からの押し付け、いわばパワハラだ。だから、気兼ねなく受け取ってくれ。それが嫌なら裁判にならないよう示談金として、もっと払わなきゃになっちゃうよ」


「でも……」


千尋は困惑して、茶封筒を意味もなく上下に扇ぐ。すると、敏樹が肩を組むように千尋に飛びついた。


「おいおい、大将。くれるって言うんだから受け取ろうぜ。人の行為を無下にするのは逆に失礼ってもんだぜ。それでも引け目を感じるなら今度はその金でまたここに金を落とせばいい。だろ?シェフ幸太」


「その通り!これは一種の宣伝だからね。君たちに媚売っとけば若いこがお客としてもバイトとしても掴めるかもしれない。これは先行投資ってやつさ」


敏樹と幸太は意見を笑みを浮かべてサムズアップをする。そんな二人を交互に見て、千尋は観念したようにため息をひとつ、大きくこぼす。


「わかった、わかりました。ありがたくいただきます。……でも、こんな大金支払ってすぐに潰れたなんて許さないですよ。今度は他の義妹(いもうと)とその友達も連れてこのお店、満員にするんで覚悟しててください」


「うん!ありがとう!」


幸太は満面の笑みで手をさしのべる。それを千尋は握り返し、熱く握手を交わすのだった。


その後だった。幸太が思い出しようにふと言った。


「あ、妹さんと言えばあの二人は?二人にも御礼しなきゃとおもってるんだけど」


「あ!!」


千尋は大口をあけて顔を真っ青にした。


二人のことをすっかり忘れていた。お店が忙しかった、マリアとのゴタゴタもあった。そんな感じでいつのまにか二人のことを意識から外してしまっていた。


千尋は慌てて裏に駆け込む。


そう、あの双子にしては静かすぎるのだ。自分が裏で待っててっと指示を出しなのだが、待つのに飽きて外に出てしまったのではないか。もしそんなことになってたら、変な男に絡まれてるかもしれない。誘拐なんてこともありえる。千尋の頭のなかには最悪な出来事か花火のように打ち上げられ、千尋の鼓動を早めた。


「香菜!茉奈!」


勢いよく休憩室の扉を開けた。


すると、二人はそこで突っ伏して穏やかな寝顔を浮かべていた。


「ん~?にいちゃんしごとおわったぁ~?」


「ふぁ~おにいさま」


二人は千尋に気付き、寝ぼけ眼を擦りながら状態を起こす。


「よかった~」


千尋はよろよろとその場にへたりこむのだった。


◇◆◇


幸太が後から追い付き、二人に茶封筒を手渡す。二人はピョンピョンと飛び跳ねながら喜んだ。千尋が二人からその封筒を確認のため受けとると、その中にも一万円が。千尋は慌てて返すそうとするが、また敏樹と幸太が結託し同じようなやり取りをしたあと、双子の手の中に納まる結果となった。


「流石に未成年だから9時には帰えらなきゃだと思うけど、今ちょうどプールの方がライトアップしてるんだ。良かったら遊んできなよ。すごいロマンチックだって評判なんだよ。きっと気に入ると思うな。もし何かあったら保護者役として僕の名前だしてくれても構わないからさ」


と、幸太が話す。すると女子陣が目を光らせた。


「千尋、行こう!今すぐ行こう」


「レッツゴーにいちゃん!」


「おにいさま!これは神の思し召し!ぜひ、今すぐにでも馳せ参じましょうぞ」


興奮しているのか変な感じになりながら三種三様に千尋を引っ張る。茉奈に関して語尾もおかしな感じになっている。千尋は苦笑しながら、幸太に視線を向ける。


「ありがとうございました。それはそうと幸太さんもどうですか?掃除も終えましたし、良かったら西隆寺さんも誘って」


「え、ああ……うん、そうしようかな」


幸太はほほをほのかに赤らめながら鼻頭を指で引っ掻いた。そして、千尋の提案に乗っかり歩み出そうとした時だった。


バン!


裏(休憩室)に続く扉がものすごい勢いで開いた。そこにはラフだが上品にまとめた格好に着替えたマリアの姿が。


先程のお嬢様スタイルより接しやすそうなのに、全員が一歩下がる。仁王立ちする彼女は微笑んでいるが、額には青筋が浮かび、後ろには『ゴゴゴ』という効果音の文字と鬼神が見えたからだ。


「幸太さん?」


「な、何でしょうか?」


全身汗だくになりながら幸太は聞き返す。しかも、いつの間にか正座をして。マリアはニコニコと笑いながら聞いた。


「今日の売上が消えてるんですが……どういうことでしょうか?」


「それはその……ごにょごにょ」


もごもごと話す幸太。


マリアはおもいっきり行きを吸い込んだ。


「このお馬鹿さぁぁぁぁぁん!」


「ごめんなさぁい」


怒号のラッシュが飛び交う中、千尋たちは逃げるように忍び足で店から出るのだった。

ここまでお読み頂きありがとうございます(*´ω`*)


ナイトプール編のはじまりとして、この話を書きましたがどうでしたか?


楽しんでいただけたなら幸いです!


【感想・レビュー・ご指摘、随時大募集中です。ミンナカイテクレルヨネ|д゜)チラッ】

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