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絶対妹大戦  作者: 長門葵
14章~水も恋も流れは廻るのだ~
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水も恋も流れは廻るのだ!ⅩⅨ

こんちゃーす(。・ω・)ノ長門葵です。

今回もお読みいただきありがとうございます。

書くことないんで、本編をお楽しみください!


では、本編スタート


「ありがとうございました!クッキングショーは終了です。短い時間でしたが、お付き合いありがとうございました」


幸太が脱帽し、頭を下げると拍手喝采。用意していたサンドイッチも幸太が追加していった分も含めて三分の二売れた。閑散とした閑古鳥も逃げ出すような先程までの状況からは考えられないほどの大盛況だ。


「さぁさぁ、残りわずか!早いもん勝ちだよ!……幸太のあんちゃん、あたしの分も残ってるんだよね」


「ふふふ、我が僕の力により産み出したこの供物を食らえ。さすれば真の世界が見えるだろう」


売り子に転じてくれた香菜と茉奈のおかげもあった。この二人がお客さんからかわいいと評判を呼び、客寄せパンダ状態だった。特に香菜は社会人の人から、茉奈は子供たちに大人気だった。


「闇の力よ、我が真意を示せ!」


「「ちめちぇ!」」


小さい子ども達が茉奈の台詞を復唱する。これはどうなんだ?と苦笑しながら店内でその様子を見守る千尋。そんな千尋に幸太は駆け寄ってきて手を取る。もうそれからは興奮冷めあらぬ感じでブンブンと握った手を振る。


「やったやったやったよ千尋くん!」


さすがのテンションにちょっと引きぎみに笑う千尋だが、表情を引き締め、空いているもう片方の手で幸太の肩を掴む。


「まだ喜ぶのは早いですよ。勝負はこっからです」


そう言われてポカンとする幸太を置いて、千尋は外に出る。丁度、残っていたサンドイッチも売り切れたところで、客足がはけようとしていた。


そこで千尋は声をあげて叫ぶ。


「こちらのサンドイッチのような軽食はもちろん、ガッツリ食べたい方向けの肉料理、カロリーを気にしてる方のためのヘルシーな料理、その他も多種のメニューを用意しています!あなたのご要望に答えるレストラン。大衆食堂かもめに是非ご来店をお待ちしております!」


叫ぶだけ叫んで、千尋は店内に戻っていく。


最初はざわざわと喧騒がたつ程度だったが、一人が中に入るとまた一人、また一人とすぐに店内は満員になった。笑顔と会話で溢れる店内。敏樹や渚が料理を運び、千尋が料理のアシスタントをしながらなんとかお店を回す。


「ぼかぁ、うれしいよ」


なんて、調理しながら泣きじゃくる幸太。そんな状態でも料理を失敗なくしあげるのだからすごい。


「ほら泣いてる暇はありませんよ。お客さん外にも何人かお待ちして頂いてるんで、どんどん料理出さないと」


千尋は出来上がった料理をお盆に乗せて、そこに1枚メモを乗せる。そこにはこう書かれていた。


『あなたの本音を聞かせてください』


その言葉の下に例のレビューページに飛ぶアドレスが書かれている。これはかもめの評判を回復するための手段だ。この紙で実際にそのページにとんで、レビューを書いてくれる人なんて本の一部だろう。それでも塵を積もっていくしかないのだ。それが、この店がこれから先も営業するために必要なことなのだ。


さすがにラッシュはそう長い時間続かず、そのうち客足も落ち着いてきた。そこで、幸太が提案をしてきた。


「よかったら休んできて。さすがに皆でいかれちゃうと困っちゃうけど……って、ごめんね!なんか、上から目線からの物言いになっちゃった。手伝ってくれてるのに、もし予定あるなら帰ってもらって全然大丈夫だよ。流石に一人じゃ少しお客さん待たせるかもだけど、大丈夫。なんとかなるよ」


フライパンの上でスパゲッティを混ぜ合わせながら、サムズアップする幸太。高校生組三人は嘆息を漏らしながら顔を合わせる。しかし、その表情は不満の気持ちなど欠片もなかった。


「ここまできて船をおろされてもね」


と、敏樹が楽しそうに笑う。


「幸太さん、暴走しそうだしね。それに…いい思いも多少させてもらったし」


尻窄みな台詞をはきながら、恥ずかしそうに髪をいじる渚。


「今日限りですが一緒に頑張りましょ」


千尋はそういってガッツポーズをとる。


「皆…ありがどぉぉ」


幸太は号泣しながら、猛スピードで調理をしていった。


話し合いの結果、敏樹が先に休憩に入り、その間は千尋も給仕に回った。そこでギャルにナンパされたりと一波乱あったが、それはまたの機会に。まぁ、そんななんやかんやありつつも店は順調に運営できていた。


数分後、敏樹が飲み物を持って休憩から戻ってきた。


「ほい、炭酸ドリンコ」


「サンキュ」


千尋は飲み物を受けとると渚の元に向かう。敏樹から受け取ったドリンクを渚に手渡すと裏手を指差す。


「先、休憩入ってきなよ」


「ん、悪い」


渚はそういって、着替えに更衣室に向かった。といってもエプロンをおきに行くだけだ。すぐに戻ってくる。そこで敏樹が二人に声をかけた。


「二人で休憩してきなよ。席も空いてきたし、俺一人で充分だって」


「ひゃに!?」


いきなりの提案に何故か渚がかおを真っ赤にする。ニヤニヤしながら手をひらひらとふる。渚はぶつくさいいながら店の外に出る。千尋もそれに続こうとしたら、敏樹が千尋の肩を掴み止める。


「なんだよ」


千尋が怪訝そうにそう言うと、敏樹が耳元で囁いた。


「店の外であのお嬢様がずっと中覗いてんの。ついでに声かけてきてよ」


(そういうことか)


千尋は納得した。渚ならそんな不審な動きをしているマリアをほって置かないだろう。そこでなにか一悶着起きたときに、ブレーキ役として千尋も着いていけということだ。逆に渚ほど喧嘩慣れしていない千尋が絡まれたときに、突破口として渚が助けになる。そう言った意味で二人で行けと敏樹は言ったのだろう。


(まずは話してみますかね)


千尋はそう思って渚のあとを追う。


「いってら~」


敏樹は楽しそうに笑って千尋を送り出した。千尋が予想してた斜め上の事態が起こると期待の意味をこめて。



ご愛読、ありがとうございます。

長門葵です。

ついに再登場お嬢様ってなフラグを立てつつ今回はお店の復活編な訳でしたがどうだったでしょうか。

次回はお嬢様の狙いが聞ける(かもしれない)話となる予定ですので、お付き合いいただければ幸いです。


【感想・ご指摘・催促、随時募集中です】


以上、長門葵でした!

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