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絶対妹大戦  作者: 長門葵
14章~水も恋も流れは廻るのだ~
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水も恋も流れは廻るのだ!Ⅸ

書き始めた高校生時代から大学生になったらもっと時間ができて更新できるなんて思ってました。

ですが、バイトで思うようにいきませんでした。

大学生の時、もっと金に余裕ができて、もっと更新もできるはず。そう思っていました。

炎上した遠い勤務地のプロジェクトにばっか送られ、思うよう更新できませんでした。


何が言いたいかというとですね。

お待たせしてすみませんでした!!!orz

 プールに反射する光がきれいな紅葉をはっきりと映し出す。夏真っ盛りの今、紅葉した楓などがそんなところにあるはずもなく、肌色のうえに映し出された手形のことを揶揄しているのだが。


「なんでだよ」


 しょんぼりと足だけプールに千尋はがっくりと肩を落として、水面に映る自身の顔を見つめる。


「大将は少し乙女心覚えろよ。天然のタラシのくせにそういうことは本当に疎いよな」


 敏樹≪としき≫は紙コップに入った炭酸飲料を手渡しすると、千尋のとなりに座る。


「俺はこれでも気をつけてるつもりだぜ。それにタラシであるつもりをねぇし、そんなことをした覚えはねぇぞ」


「そういうとこだぞ、大将」


 眉間をおさえながら、敏樹はわざとらしくため息を吐き出す。


「あれ見てどう思う」


 そう言って、敏樹は自分たちの目の前の方向へ指をさす。千尋はその先に視線を動かすと、そこは先ほど暑くないのかと問われ、千尋の顔に大きな紅葉を代金として、分厚いスカート等を取り外し、黒のビキニへと軽装になった茉奈と、楽しそうにぴょんぴょんと跳ねる香菜、それをやさしい笑みで見ながらともに遊んでいる渚の姿があった。


「たのしそうでなによりだ」


「ちっっっっっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!」


 いきなり叫びだした敏樹の咆哮に千尋だけならず、周りの客もびくっと跳ね上がる。


 すっと立ち上がり、敏樹の顔面に手をそっと添えて、腕の力だけで敏樹を持ち上げる。


「うるせえよ、周りに迷惑だろう」


「ご・・・ごべんなさい」


 敏樹を開放すると、手を痛めたかのように振りながら顔をおさえて小さくうめき声をあげる敏樹の隣に再度腰をおろす。


「で?」


「あい。で、って?」


「さっき、違うと叫んでたろ」


「ああ、女の子の扱いだよ。扱い」


 敏樹は頭の後ろに手を組みながら、視線をもう一度、茉奈や香菜、渚の法へ戻す。


「大将は楽しそうって言ったけどさ、ほかに感想はないのかよ」


「う~ん・・・とくにはないけど」


「そこだよそこ」


 敏樹は指を千尋の顔に突き出す。

 

 鬱陶しそうにその指をつかみ、顔の前からどかした千尋は、怪訝そうに眉間にし皺を寄せる。


「どれだよ」


「あの子たちを見て、何も思わないのかって言ってんだよ。男の機能どっかに落としてきたのかよ」


「どういう意味だ」


 さらに眉間に皺を寄せる。


 しかし、敏樹のにやにやとした笑みに観念したかのようにため息とともにその表情を崩す。


「義妹たちも女の子・・・か」


「忘れてなかったか。えらいじゃないか大将」


「でもさ、茉奈も香菜も中学生だぞ。そういう対象に見るのもな。なんか、男とかいう前に人としてどうかと」


 敏樹はわざとらしく大仰にため息を吐く。


「ここで話してんのは俺とお前さんだけなんだぞ。内容は法律に引っかかるほどの下世話な話をしよってんじゃないんだ。むしろ高校男児としては普通だろうよ、大将」


「でもなぁ」


「でももさももねぇよ。んっじゃ、渚ちゃんはどうなのよ」


「う~ん・・・」


 千尋は視線だけを渚のほうへ動かす。


 飛び跳ねることで揺れる控えめながらもしっかりと女性であると視聴する胸。無防備に晒された引き締まった腹部。水面からたまに出てくる華奢な脚部。


 不覚にも千尋は鼓動が早まるのを自覚してしまった。


「どうなのよ、大将」


「なんと言えばいいか分かんないけど、すごく女の子してる」


「だろ~」


「でも・・・」


 千尋がこぼした一言に今度は敏樹が怪訝そうにする。


「で~も~?でもなんだよ」


 千尋は少し気まずそうに敏樹から視線を外し、小さな声で答えた。


「友達を、そういう目で見るのは・・・なんか侮辱してるよで、気が引ける」


 その言葉に頭を振り、残念そうに千尋を見つめる敏樹。


「なぁ、間宮。お前の中じゃ、女の子は守ってあげなきゃいけないお人形さんだたっとしてもよ、あの子たちはあの子たちなりにあがいて、女であろうと成長してんだぜ。お前さんはいい加減それを認識しべきだ」


 敏樹の真面目な話に驚いたように目を見開き、あきれたように、それでいて納得したような何とも言えない笑みを浮かべる。


「お前にそんなこと言われるとはショックだな、前園」


「そりゃどういう意味だよ」


「ははは」


 声だけの笑みを漏らすと、千尋の表情に陰りができる。


「俺もわかってんだけどな。いつまでも待たせるわけにもいかないし、真剣に考えないといけないって」


 敏樹はぽんと千尋の肩を叩くと、その背後に周りこむといきなり蹴り飛ばして千尋をプールに叩き込む。


「ぷはっ、ふ、ま、前園」


『コラー!君たち!飛び込まないでください!』


 監視員の注意も気にする様子もなく、敏樹は馬鹿笑いをして、その姿を千尋は唖然と見つめている。


「そんな辛気臭い顔してんじゃねぇよ。可愛い女子が目の前で楽しそうに遊んでんだ。だったらもっと気軽に楽しんでこうぜ大将!」


 敏樹はニッカリと笑った。


 

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