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絶対妹大戦  作者: 長門葵
14章~水も恋も流れは廻るのだ~
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水も恋も流れは廻るのだ!Ⅵ

絢が離脱して、残る尾行は二人。


四女、五女の香菜、茉奈と水着を買うためにご近所でなんでもそろうと有名なラブワンに来ていた千尋。


次の手はすでに千尋の中で決まっている。


次なるターゲットは麻貴である。


「にーやんにーやん」


「いきなりへんな言葉遣いになった香菜さん。なんだい」


「計画通り」といかにも悪者っぽいどや顔で笑っていた千尋の服の袖を香菜がつんつんと引っ張る。


「ここはどこどすへ?」


「お前さんはどこ出身だよ。・・・ちょっとひさびさに体を動かそうと思って」


千尋はゲームセンターを抜けた先にあるスポーツコーナーというところを指差す。


「まだ帰るにも早いし、遊んでこうぜ」


千尋がにっこり笑うと香菜は顔を輝かせて、猛ダッシュ。


「全く香菜は。見失わないように早く行きましょ」


そんなことをいう茉奈だったが、年相応に楽しみな雰囲気を感じる。


その証拠にどんなものがあるのか背伸びをしながら見ている。


そんな二人を見ていると自分も楽しくなってしまう。


千尋は茉奈に引っ張られながら、定期的にここに来てもいいかななど未来のことを考えていた。


のどやかな空気のなか、後ろでギリギリと歯ぎしりする影が。


「ずるいぞ双子ども~」


麻貴が千切れん勢いでハンカチを噛み締めている。


というか、すでに三枚ほどダメにしている。


「いくよあおちゃん」


「外から見てるだけでよくない?」


「なにかあってからじゃ遅いんだよ」


「ええ~」


葵を引きづりながら麻貴は3人を追いかける。


後ろからきちんと尾行組が追いかけてきているのを確認した千尋は心の中でよしよしとガッツポーズをとりながら中をすすむ。


「はじめて来たけど結構種類あるんだな」


これは単純な感想だ。


アーチェリー、ストライクアウト、バッティング、フリースローなどある程度のスポーツはできるようになっていた。


「なにがしたい?」


二人にそんな疑問をとばすと口火をきられた銃のようにポンポンと種目が打ち出された。


「はいはい、じゃあ香菜のいったサッカーのやつからやろうか」


そうして、香菜のストライクアウト。茉奈のアーチェリーと回って、「たのしー」「これぐらい余裕ですわ」と満足げな二人をつれて、千尋はある種目のマシンの前で止まる。


「お、これ景品がここの商品券と最近テレビに出た掃除機だって。挑戦してみようかな」


景品のポスターが貼られていたのはバッティングマシーン。


『二十本中十八本ホームランコーナーに入れば景品交換!!』


なんとも難易度の高いことが書かれていた。


「ちょっと無謀な気がするが挑戦してみようかな」


「さすがにーちゃん!」


「お、おにいさま。さすがに厳しくないですか」


期待の眼差しを向ける香菜と不安そうにする茉奈。


千尋は二人の頭をなでると機械にコインをいれる。


「いっちょ、かっこいいところでも見せますか!」


結果は二十本中五本のホームラン。


それでも十分すぎる気がするが、少し不服そうな顔で戻ってくる千尋。


「残念です」


慰めてくれる茉奈に先導されるように近くの椅子に腰を下ろす。


「結構難しいもんだな」


「あれでも十分だとおもうぞにーちゃん」


香菜はストライクアウトでもらった風船ガムを膨らませながら、何の気もなしに呟いた。


「あーあ、麻貴が居てくれたらあんなの余裕だろうな」


わざとらしく大声(迷惑にならない程度)で文句をたれる。


「自慢の妹麻貴なら俺の仇もいとも簡単にやってくれるんだろうけどな。悔しいな~」


大根役者もいいところの演技だ。


「なんなら、私も挑戦しよっか」


香菜がガムをちり紙に包んで椅子から元気よく立ち上がるが、千尋はそれを拒否した。


「時間もあんまりないから次行こうか」


そうして、3人はスポーツコーナーを離れた。


後ろからは「にーさんの敵ぃ!」と大声とホームランの音が響いていた。


残るは一人だ。

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