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絶対妹大戦  作者: 長門葵
14章~水も恋も流れは廻るのだ~
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水も恋も流れは廻るのだ!Ⅱ

ラブワンに買い物に来ていた千尋、香菜、茉奈の三人は目的の水着売り場がある三階に向かっていた。


「おお!早い早い!」


ラブワンのエレベーターは扉と逆位置にある壁がガラス張りになっており、香菜茉奈の二人はそこにはりついていた。


「すごいぞにいちゃん!」


「少しは落ち着いたら」


香菜は飛び跳ねる勢いで感嘆の声を漏らし、茉奈もその行動を注意しながらも食い入るように外の景色を見ていた。なんだかんだいいながらも二人ともまだ幼さを残すところに千尋は微笑ましさを感じずにはいられなかった。


「ほら二人とも。もうすぐ三階だよ」


聞きなれたベルの音ともに多少の振動で到着を告げるエレベーターと別れ、三人は水着売り場へと向かう。


衣服売り場の隣に作られた特設コーナーに目を向けるとマネキンたちが各自自慢のポージングを取りながら水着を披露していた。


「荷物は見とくから好きなの選んできな。決まったら教えてね」


千尋がそう言うと香菜はリードから放たれた犬のようにだっと売り場に飛び込み、茉奈はきょろきょろと物珍しげに視線を漂わせながらゆっくりと進んでいく。


千尋は近くに設置されているベンチに腰掛け、ショルダーバックから一枚のチラシを取り出す。それはラブワン一階にあるスーパーのチラシだった。


「今日の夕飯は・・・卵が安いし炒飯と出し巻き玉子作って・・・あ、トマトと鶏肉も安い。オムライスもありかな・・・」


チラシの特売ゾーンをにらみながら今日の献立に思いをはせる。その姿はまさに主婦そのものだ。


チラシを眺めながらうーんうーんと唸っていると香菜がとっとっと駆け寄ってきた。


「にいちゃんにいちゃん!これなってどうかな!」


「ん?どれどれ・・・って!?」


チラシから顔を上げると香菜がなんと露出度の高いモノキニの水着を持っていた。


「ふふ~ん。これでにいちゃんもメロメロだ」


何をほざいているのだろうかこの義妹は。


千尋は頭を抱え、ため息を漏らさずにはいられなかった。


「ふふふ。にいちゃんも流石に言葉もでないか」


「ばか」


「いてっ!」


千尋が軽く頭を小突くと香菜は涙目で恨めしそうに睨む。


「そうだ!」


何かを思い出したかのように香菜は試着室を指さす。


「茉奈がなんか呼んでたぞ」


なんだこの既視感は。


なにか嫌な予感をおんぶするように千尋は重い足取りを試着室前まで運ぶ。


「どうしたんだ茉奈」


「あ、お兄さま!」


嬉しそうな声とともにいきおいよく開かれるカーテン。


そこにはパレオの水着を着た義妹の姿が。セパレで露出は抑えられていると思いきや、上半身はかなりきわどいマイクロビキニを選択していた。


「ど、どうでしょうか?」


「なんで二人揃って」


千尋は大仰なため息とともに二人に説教をすることを決めた。

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