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絶対妹大戦  作者: 長門葵
13章~年二回の大騒ぎ
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年二回の大騒ぎⅩⅨ

「あはは。あはははははははは-!!」


詠子は笑い声をあげ、酒瓶を持って踊り子も顔負けに片足立ちで回る。


「ちょっとお母さん。落ちついて!」


長女絢が酔っぱらった詠子を止めに入るが、詠子はのらりくらりとその手を避ける。


「何するの絢ちゃん。私はこれから大事な話があるのよ」


詠子は自分を捕まえようとする絢に華麗かつ強烈なチョップを額に打ち込むと全員を見ることのできる位置に鼻歌を奏でながら移動する。


「さてはて、発表するわよ~。あ、あと忠告~。次、邪魔したら・・・ひねりつぶすぞ」


まさに蛇に睨まれた蛙のように詠子の眼力に子どもたちはすくみあがり、ただひたすら首を縦に振るだけの人形のようになっていた。


「みんないい子ね~。ほら、絢ちゃんもそんなとこでぐずってないでみんなと一緒に整列。せいれ~つ」


子供たちは詠子の前に一列に並ぶ。


絢も泣きべそをかきながらその列に加わる。


「じゃあ、今日の掃除で頑張った力に順位をつけていきたいと思います!はいっ!拍手っ!」


ぱちぱちぱちぱち!


「こんなことを仕切る母親を褒めたたえなさい!」


『さすがですお母様!』


「よ~し。いくわよ。第五位から!」


子供たちが半ば呆れた視線を向ける中、詠子は口で絶妙にうまい鼓笛隊を表現しながら三周回って決めポーズ。


「麻貴ちゃん!はい拍手!」


みんなに拍手される中、麻貴は鼻の頭をかきながら少し残念そうな笑みを浮かべた。


「別に五位だってがんばってなかったわけじゃないわよ?」


「わかってるって。今日は少し自分のものに集中しすぎたからね。仕方ないよ」


「それがわかってるなら、女の子として成長したわね」


「はっ!ありがたきお言葉でありますお母様!えへへ」


「ふむ。精進したまえ」


麻貴の答えに満足そうにうなずく詠子は次の発表に入る前ぶりなのか、今度はどこらともなく取り出したフラフープを腰で回そうとしたが上手くいかず、すぐに地面についた。


何故がそれに詠子は大爆笑し、一通り笑ったあと息を切らしながらナイスガイポーズを取る。


「四位!茉奈!」


「わ、わたくしですか!?」


呼ばれた茉奈は心外だと声をあげた。


「納得いかない?」


茉奈に近づいた詠子は今流行のアゴクイで目線を上にあげ、じっくりと開かれた瞳を覗きこむ。


「茉奈はね。確かに頑張ったわ。でもね。いちいち汚れた服を気にしてたら仕事の進みが遅くなってしまうのは当然よ。一人はみんなのために。それを忘れてしまったから、貴方は四位。わかった?」


「は、はいですの」


言い包まされた茉奈はしゅんとうなだれてしまう。


茉奈の必死な理由を知っている千尋はなんだかかわいそうになり擁護しようと口を開けたが、千尋の声より先に詠子の指が千尋の唇にとまった。


「でも、茉奈は頑張ったわ。いつもじゃそんな姿絶対見れないからお母さん嬉しかったわ」


「は、はい」


にっこりと微笑む詠子の素直な言葉に頬を染めて茉奈は照れた。


「もう面倒だから踊りは抜きにして、三位の発表いきま~す」


詠子は眠くなってきたのか柱によっかかり、座りこむ。


「三位香菜!」


「はい!」


香菜はおおきな声で返事をして手を上げる。


「よく頑張りました」


「えへへ。一位じゃないのは残念だけでど私頑張ったぞ!」


「ん。えらいえらい」


詠子になでられ、香菜は満面の笑みを浮かべる。


香菜が列に戻ると詠子は手をあげ、ピースを掲げる。


「続きまして第二位。それはぁ~~葵ちゃん!」


「お、残念」


葵は言葉とは逆に満足そうな笑みをつくってその言葉を受け取る。


「ふむ・・・」


何を思ったのか詠子は四つん這いで葵のもとまで近づく。


「ねぇ、葵ちゃん」


「な、なにかな?」


葵に抱きつくように詠子は顔を耳元に近付ける。


「もっと素直になってもいいのよ」


「え?」


耳元でそっと囁くと詠子はすぐに葵から離れ、先ほどまで寄りかかっていた柱に手を付き立ちあがる。


「さてはて・・・みんなお待ちかね!一位の発表で~す!」


元気を取り戻し意気揚々と跳ねる詠子とは反対にほかの面子は息を飲んで発表されるのを待った。


残る面子は千尋と絢の二人。


いつも家事をする二人が最上位と最下位にわかれる。


それは全員が想像もしていなかった結果である。


「どぅるるぅる~じゃん!一位はちーくんです!前にきてください」


『おぉ~』


膝をつき崩れ落ちる絢とその場で唖然とする千尋。


みんなの拍手を背にうけながら、戸惑いつつも詠子の前に出る。


「みんなのフォローしながら、みんなの手の届かないところを率先して掃除してくれてましたね。そんなガンバリ屋のちーくんにこのペアプール券プレゼント!」


ひゅうひゅう~


「あ、あの母さん。ちょっといい?」


千尋は詠子から二枚の室内温水プールのペアチケットをうけとり、その後申し訳なさそうにつぶやいた。


「ん?なにかな?デート券をもった王子クン?」


母親のよくある子供に対するあおりに千尋は苦笑を浮かべる。


「このチケットは好きに使っていんだよね?」


「そうよ。気になるあの子を誘ってOOOとかOOOとかしてもいのよ!」


「あはは。何言っての詠子さん」


母親の教育的によくない言葉に真顔になって怒る千尋。


鬼気迫る息子の態度にも酔いどれは大声で笑ってみせた。


「OOOは冗談として別にここにいる馬鹿ども意外を誘っても誰も文句は言わないわ」


「あはは」


苦笑しつつも千尋は申し訳なさそうに頬をかき、後ろを振り返る。


「茉奈、香菜。ちょっとおいで」


呼ばれた二人は疑問符を浮かべながら千尋の前に出る。


「え~、ごほん」


わざとらしい咳払いのあとに


「ここに特別賞としてこのチケットを二人に譲りたいと思います」


『・・・え?』


「正直、お兄さんはだれかを誘う甲斐性は持ち合わせてないので二人で遊んできてください」


『えぇ~!?』


その後、千尋は義妹たちにもみくちゃにされた。


そんな騒ぎでこの年二回開かれる大騒動は幕を閉じた。


ラストシーンにお互いに笑いあう小さな女の子たちを義妹たちにもまれながらも千尋は確かに見て終わったのだった。

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